第83回 営業を頑張る価値は、評価ではなく身につく力と将来の自分

「営業はモチベーションが大切」誰もがそう思うでしょう。しかし、評価や給与体系、環境を改善しても変わらない。その結果「うちの営業は受け身、自分で考えない」と社員の資質の問題にしてしまう……。今日の営業は難しく、苦労の多い仕事。前向きに頑張るためには営業という仕事の価値を理解する必要があります。今回は、営業という仕事の価値とモチベーションについてお話しします。

営業を頑張る価値は、評価ではなく身につく力と将来の自分

売上目標を達成するためにも、戦略や改革を進めるためにも、新商品や新規事業を拡大するためにも、営業社員のモチベーションは大切です。いずれも、自主的に考え積極的に取り組もうという姿勢、力を付けよう・成長しようという意欲が必要です。

しかし、営業責任者から聞こえてくるのは、「うちの営業は受け身、自分で考えない」「新しいことに積極的に取り組まない」「勉強しない、改善しようとしない」。

その結果、
売上が伸びない、新商品が売れない、新しい領域を拡大できない……、そして辞めてしまう。

30年以上経験を積んだ営業責任者は、「昔はもっと自分で工夫したのに」「もっと売上を上げるために必死だったのに」とぼやいている……。

とある会社の取り組み

ある会社で営業企画担当をしているAさんが、営業社員のモチベーションを上げようと取り組んでいました。

(1)評価と給与・昇進体系の改善

売上目標に対する意識を持たせるために、評価制度を変えて、売上目標を達成すると昇給・昇進しやすくした。

(2)働く環境の改善

残業が多いという不満を解消するために、モバイルを配布して外出時に仕事ができるようにした。

(3)仕事量の改善

事務作業が多いという不満を解消するために、アシスタントを付けて事務作業を減らして営業活動に専念できるようにした。

そして、1年が経過。
「評価制度を変えたって、そもそも目標が高すぎる」「外出時に仕事ができるのはいいけど、相談しにくくなった」「事務作業は減っても、社内調整や根回しが余計に必要になって大変」
そして、今年も営業社員が辞めてしまった……。

モチベーションを上げるための取り組みとは

ここで問題です。

この(1)(2)(3)の取り組みは何なのでしょうか?
本当にモチベーションを上げるための取り組みなのでしょうか?

この取り組みを企画し推進したAさんは、
「営業社員の要求を聞いて一生懸命に取り組んだのに……」

営業社員の要求を聞いて一生懸命に取り組んだのになぜ変わらない?
「うちの営業は何をやっても愚痴ばかりで変わらない」と、推進したAさんのモチベーションまで下がってしまいました。

答え:
これは、モチベーションを上げるための取り組みではなく、モチベーションを下げないための取り組みだからです。

Aさんは、営業社員の不満を聞いて解消しようとしています。つまり営業社員のモチベーションが下がる要因を解消しようとしているのです。しかし、モチベーションを上げるための取り組みはしていません。

一見、(1)の昇給しやすくするということはモチベーションを上げるための取り組みのように見えますが、これもモチベーションを下げないための取り組みです。

終身雇用の時代であれば頑張って成果を上げ、目標を達成すると出世し、権限も給与も上がるという夢や将来が想像しやすく、モチベーションを上げることができました。

では、今日の営業社員の夢や将来は?
雇用が流動化し、自分で自由に将来を考えることができ、将来の選択肢も多い今日では、「将来ずっとこの会社にいるかどうか分からない、出世よりも自分のやりがいにこだわる」。

自分で自由に将来を考えることができ、将来の選択肢も多いということは、良いことのように思えますが、反面、将来や夢を自分で探さないといけない、見つけにくくなっているということです。

「将来ずっとこの会社にいるかどうか分からない、出世よりも自分のやりがいにこだわる」という今日の営業社員にとって、昇給は短期的なものであり、将来を考える材料になりにくいのです。

営業職の価値を創造する

では、営業社員のモチベーションを上げるためにどうすればよいのでしょうか?

まず「営業という仕事が何なのか?」を考えなくてはなりません。

当たり前のことですが、モチベーションを上げる対象は営業という仕事であり、営業という仕事にやりがいを持たせる必要があります。その営業という仕事が何なのか理解していなければ、やりがいを持たせることもできません。

ただ商品を売るだけでも、足で稼ぐだけでもありません。今日の営業は、「戦略や計画、顧客の課題と解決策を考え、ヒアリングや提案をする、予算や決裁者を交渉する仕事」「対人関係で成り立ち、常に売上・利益目標を追う仕事」……。

この仕事を一生懸命に取り組むことで身に付く力は、「市場分析力や戦略・計画策定力」「情報収集力や課題・ニーズ(商品)分析力」「説明・ヒアリング力やコミュニケーション・関係構築力」「人間性や人脈」「目標意識、努力、諦めない心」や「売上、収支計画・管理力」……。

つまり、ビジネスの総合力が身に付くのです。
営業という仕事を頑張ることでビジネスの総合力が身に付き、これらの力を身に付けた将来が今日の営業を頑張る価値なのです。

マネジメントや後輩の指導・教育をすることも。
世の中に受け入れられる商品を企画することも。
コンサルタントになることも。
事業を立ち上げることも、会社を設立し独立することも。

このビジネスの総合力を身に付ければ、全てできるようになるのです。

営業という仕事の本質を見ずに、安易に評価や給与、環境や仕事量を変えようとしている会社が多く見受けられます。

しかし、モチベーションを上げる取り組みがあるからこそ、モチベーションを下げない取り組みも生きてくるのです。

当たり前です。いくら不満を解消しても、やりがいを感じなければモチベーションは上がりません。

今期の売上ばかりを考えさせるのでなく、もっと将来を考えさせましょう。評価や給与体系、環境や仕事量を改善する前に、営業という仕事の価値を考えましょう。

営業社員のモチベーションや営業改革を進める方法は……、

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次回は4月20日(月)更新予定です。

今月の3択クイズ(営業のクイズ)

クロージング

社長からの指示で検討しているし予算もあるけど、現場が反対しているらしい。
受注できたら今期の目標を達成できる。何とかしたい。
……さあ、どうする?

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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