第84回 外出、イベント自粛の営業は手段でなく営業戦略の質を変える

新型コロナウイルス感染症対策の影響で「顧客に訪問できない」「提案できない」……、しかし、今期の売上も上げないと……。そのため、Webやメールと手段を変えようとしている営業が多いように思います。しかし、顧客と会えなくなった今、変えるべきことは手段ではなく営業戦略です。今回は、自粛が続く状況で考えるべき営業戦略についてお話しします。

外出、イベント自粛の営業は手段でなく営業戦略の質を変える

外出禁止、在宅勤務、イベント中止……。しかし、期が変わり今期の売上も上げないといけない。しかたなく、メールやWeb会議で対応しようとしても、顧客から返事がこない、打ち合わせできない。

「外出もイベントもできない状況でどうやって売上を上げたらいいのか」

とある会社からの相談

ある会社の営業部長Aさんから相談を受けました。

営業部長Aさん
「今までは、『展示会やテレアポ』→『顧客訪問』→『商品紹介・提案』と進めていたけれど、展示会やテレアポ、顧客訪問ができなくなってしまった。既存顧客や検討している顧客とはWeb会議で商談できるけど、他の顧客はアポイントもとれない」

「では、今どうしているのですか?」

営業部長Aさん
「このような状況でも今期の売上目標は達成しないといけないから、今やれることとしてメールで営業を……」

「結果はどうです?」

営業部長Aさん
「ほとんど返事がこないんです。返事がきても『在宅勤務だから今は検討していない』と言われて……」

展示会やテレアポ、顧客訪問ができない。

在宅勤務だから今は検討していないと断られる。

みなさんは、どうします?

量から質へ、営業戦略の転換

少し、通常の活動(今までの活動)と外出やイベント自粛を強いられた活動(今の活動)を比較してみましょう。

営業部長Aさんは「展示会やテレアポ、顧客訪問ができなくなってしまった」と言っています。

通常の活動との違いは何か?

既存顧客や検討している顧客とはWeb会議で商談できると言っているので、展示会やテレアポ、顧客訪問ができないということは、

  • 顧客に商品紹介をする機会が少なくなった
  • 会える顧客が少なくなった
  • 提案したい顧客から情報を聞きにくくなった

ということは、通常の活動は今と比べて

  • 顧客に商品紹介をする機会が多かった
  • 会える顧客が多かった
  • 提案したい顧客の情報を聞きやすかった
  • *あくまでも外出やイベント自粛を強いられた今の活動と比べてのことです。

つまり、通常の活動は「多くの顧客に訪問し、商品を紹介し、顧客の情報を聞いて、検討している顧客に買ってもらう」活動をしていたけれど、その活動ができなくなったということです。

「商品の購入を検討している多くの顧客に会う」ことを前提にした量を重視した戦略ができなくなってしまいました。

イベントや外出自粛により「展示会やテレアポ、顧客訪問」ができなくなった結果、「商品の購入を検討している多くの顧客に会う」という前提が崩され、量を重視した戦略が進められなくなった今、どうしたらよいのか?

質を重視した戦略でカバーしなくてはなりません。
「多くの顧客に商品を告知」という量よりも「誰に、何を、どのように伝えるか」という質を重視した営業戦略です。

「何を、どのように伝えるか」

「在宅勤務で今は検討していない」ということは、商品の購入を検討していないということ。当然、「商品を紹介したい」「状況を聞きたい」では、顧客が興味を持たないため「在宅勤務だから検討していない」「状況が落ち着いてから」となるでしょう。

では、どのようなことであれば興味を持ってくれるのか?

在宅勤務だから何も興味を持たない、考えないということはありません。期初という状況で、新型コロナウイルス感染症対策で在宅勤務を強いられているからといって「何も考えない」ということはありません。

おそらくほとんどの会社では、戦略や計画、体制、環境や前期の課題の対策について考えていることでしょう。であれば、顧客が興味を持つことは、戦略や計画、体制、環境や前期の課題の対策です。

在宅勤務で商品の購入を検討していないのであれば、伝える内容も商品の内容や魅力から顧客が興味を持つ内容に変えなくてはなりません。

  • プロモーションで行う、ホームページの商品紹介ページやメルマガ、Webセミナーで伝える内容
  • 営業活動で行う、顧客へのメールの文章、顧客に送るパンフレットや資料の内容

「展示会やテレアポ、顧客訪問ができない」のであれば、ターゲット業界(同業他社)や顧客の戦略や計画、体制、環境や前期の課題に関する内容に変えてみてください。

「誰に、何を、どのように伝えるか」という質を重視することは、外出やイベント自粛を強いられ、顧客と会うことが難しいから必要ということではありません。多くの顧客に訪問し、商品を紹介すれば売れるという時代ではない今日の営業にとって、通常の活動でも必要なことです。

「顧客訪問ができないから今やれることとしてメールで営業」とWebやメールなど手段ばかり考えている営業が多いように思います。
この機会に営業戦略について見直してみてください。

営業戦略の質を変える方法は……
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

次回は5月18日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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