第79回 営業改革では、交渉業務、社外業務のほかに考察業務の環境を整える

「提案書をちゃんと作れない」「戦略や計画を考えない」……部下の提案書や戦略、計画に悩んでいる営業マネージャーは多いものです。しかし、彼らにちゃんと考える時間を取らせているでしょうか? ほとんどの営業担当者は仕事の合間に提案書を作成しています。課題解決型営業や戦略営業は「考える」ことから始まる営業です。今回は考える営業を促進する環境についてお話しします。

営業改革では、交渉業務、社外業務のほかに考察業務の環境を整える

今日の営業現場

今日の営業では、提案書、計画、戦略……考えて作成する仕事も増えています。

しかし、うちの営業社員は「提案書をちゃんと作れない」「戦略や計画を考えない」「提案書や計画書を作ってきてもいい加減だし」……と悩んでいる上司は多いものです。

ところが、部下に「ちゃんと考えて作れよ」と指導すると、
「そんなことを言ったって時間がないんですよ。働き方改革で残業を減らせって言うし、売り上げを上げろって言われるし」と反論する部下。

そして上司は、
「結構社内にいるじゃないか。俺が若い頃はほとんど外出で社内にいられなかったぞ」

なぜ、社内にいる時間があるのにきちんと作れないのでしょうか?

上司が「俺が若い頃はほとんど外出で社内にいなかったぞ」と言いますが、確かに昔は「営業は外出するのが仕事だ、社内にいるな」と指導されたものです。

今は昔に比べて
「社内にいる時間が増えている」
「情報共有の環境も整えられている」
「モバイルの導入も進み、社外で仕事をする環境も整えられている」

しかし、
「提案書をちゃんと作れない」「戦略や計画を考えない」「提案書や計画書を作ってきてもいい加減」

確かに、昭和から平成初期の営業と比べると、社内にいる時間も増え、情報共有や社外で仕事をする環境も整っているはずです。

営業業務の変化

ここで「ご案内営業、御用聞き営業、リレーション営業」と「課題解決型営業、戦略営業」の違いを考えてみましょう。

「ご案内営業」は、会社が作った商品を案内(説明)して買ってもらう営業
「御用聞き営業」は、お客さんの要求を聞いてきて合う商品を紹介する営業
「リレーション営業」は、お客さんと関係を作り商品を買ってもらう、仕事(要求)をもらう営業

では、「課題解決型営業、戦略営業」は?

「課題解決型営業」は、課題や解決策を考え理解させる営業
「戦略営業」は、顧客の経営課題や組織、予算を把握し攻め方(戦略)を考えて実行する営業

「ご案内営業、御用聞き営業、リレーション営業」は行動中心の営業です。
対して「課題解決型営業、戦略営業」は考えることから始まる営業です。

つまり、「社外業務」「交渉業務」という2種類の仕事に「考える」仕事が加わり「社外業務」「交渉業務」「考察業務」という3つの種類に変わっているのです。

では、「考察業務」の環境は本当に整っているでしょうか?
つまり、営業にとって「考える仕事」の環境は整っているでしょうか?

「考える仕事」にとって必要なことは?

それは、「頭の切り替え」と「集中」です。
この「頭を切り替える環境」と「集中する環境」が整っていないことが、今日の営業にとって大きな問題になっています。

提案書を作成している営業社員を見てみると……

顧客訪問から帰ってきて自分のデスクに戻り提案書を作成。
提案書を作成し始めて5分ほどたったところで顧客からの問い合わせの電話。

顧客との電話が終わり提案書を作成していると10分ほどたったら上司が横に来て
「A社の見積書はどうなっている?」
営業社員は「あっ、まだ作っていません。すみません、今日中に作ります」

上司への対応が終わって30分ほどすると若手社員が
「すみません、明日の訪問に持っていく資料を確認してもらいたいんですけど」

若手社員の資料確認が終わり、提案書を作成していたら経営企画部から
「今月の売上報告書が出ていないんですけれど、月末なのですぐに提出してください」
提案書の作成をいったん止めて売上報告書を作成。

売上報告書を完成させて提出したら21時を過ぎていたので、提案書の作成は翌日に。

このような営業社員が非常に多いのです。

「提案書作成」→顧客の問い合わせ対応→「提案書作成」→上司の見積り確認→「提案書作成」→若手社員の資料確認→「提案書作成」→売上報告書作成→翌日「提案書作成」

顧客の問い合わせ対応、見積り確認、若手の資料確認、売上報告書は異なる思考の仕事です。
頭を切り替えて提案書を作成できているでしょうか?
提案書の作成に集中できているでしょうか?

営業の仕事の3つの種類のうち、新たに増えた「考察業務」を推進するためには、考えるための「頭を切り替え」て「集中」できる環境が必要です。

営業の提案書、戦略や計画は片手間でできるほど簡単な仕事でしょうか?
考えるための時間と環境を整えましょう。

「課題解決型営業、戦略営業」にとって「考察業務」は重要です。

考察業務を促進する方法は、
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次回は12月16日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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