第115回 提案営業では商品に関係する課題ではなくビジネス課題を考える

御用聞き営業から脱却するためには、顧客の課題を考え提案する力が必要。しかし、考えられない、分からない……、そのため御用聞き営業から脱却できない。顧客の課題は商品や技術面でなく顧客のビジネスから考えなければなりません。今回は、顧客のビジネス視点で顧客課題を考える方法についてお話しします。

提案営業では商品に関係する課題ではなくビジネス課題を考える

最近、御用聞き営業から提案営業や課題解決型営業に変えないといけないと言っている経営者や営業責任者が増えています。御用聞き営業と提案営業や課題解決型営業との大きな違いは、お客さんの課題を誰が考えているかです。

御用聞き営業は、お客さんが考えて営業が聞いてくる。
提案営業や課題解決型営業は、営業自らが考えて提案する。

でも、お客さんの課題ってどうやって考えるんだろう?

ある人材紹介会社の営業の場合

ある人材紹介会社の営業担当Aさんが上司Bさんとお客さんの課題について考えていました。お客さんは広告代理店のセントコーポレーション。

営業担当Aさん
「セントコーポレーションのホームページを見たんですけど、課題が分からなくて……」

上司Bさん
「どんな人材が必要かを考えるんだよ」

Aさん
「どんな人材か、ですか……」
「DXを進めている会社が多いからIT技術者が必要なんじゃないですか?」

Bさん
「最近、IT技術者の人材紹介注文が増えているもんな」

Aさん
「IT技術者は多くの会社で採用を進めていて取り合いになっているから、セントコーポレーションも採用には苦労しているんじゃないですか?」

Bさん
「そうだな、訪問した時にIT技術者の採用課題について提案してみろ」

そして、セントコーポレーションの人事担当Cさんを訪問。

営業担当Aさん
「今、DXを進めている会社が多いようですので、御社でもIT技術者が必要なのではと思ったのですが……」
「IT技術者は取り合いになっているので採用に苦労している会社も多いようですが、御社はいかがでしょうか?」

人事担当Cさん
「そうですね、うちでもIT技術者の採用を進めていて、現在、人材紹介会社二社にお願いしているんです」
「御社でもいい人がいたら紹介してもらえますか?」

Aさん
「ぜひ、ご協力させてください」

Cさん
「うちで募集している人材は、年齢が20代後半から30代で、IT企業で2年以上経験を積んできた人、必要なスキルは……」

Aさん
「分かりました、会社に戻って探してみます」

あれっ、課題を考えていったのにお客さんの要望を聞いてきただけ。
既に募集していて他社に依頼している注文をもらってきただけ。

課題を考えずに「どのような人材が必要ですか?」と御用聞きをすれば注文をもらえたのではないでしょうか?
訪問する前に課題を考えても意味がない……。

どうして御用聞き営業になってしまったのか

Aさんは何が良くなかったのでしょうか?
Aさんと上司Bさんの会話から考えてみてください。

Aさんは、既に募集しているDX推進のためのIT技術者(顕在課題)の注文をもらってきました。

Aさんが考えた課題は、
「DXを進めている会社が多いのでIT技術者が必要」……ただの一般論
「IT技術者は多くの会社で取り合いになっているから採用に苦労している」……ただの一般論

Aさんは、いきなり人材や採用の課題を考えています。その結果、考えた課題はセントコーポレーションのことではなく、“世間一般の人材や採用の課題”。

お客さんの人材や採用の課題は、その上のビジネスの課題から生まれてくるものです。お客さんのビジネスが分からない状態で考えられることは“世間一般の人材や採用の課題”だけです。

ビジネスの課題(=上位の課題)→人材や採用の課題(=下位の課題)。

例えば、
「セントコーポレーションは紙の広告ビジネスからWeb制作ビジネスに切り替えようとしている」
「Web制作ビジネスでは、デザインの他に顧客管理やSNS連携などシステム開発が必要になる」
……上位の課題

そうすると、「顧客管理やSNS連携などのシステム知識のある人材が必要」
……下位の課題

お客さんのビジネスは何なのかを考える

御用聞きから提案営業や課題解決型営業に変えるためには、「お客さんの課題はお客さんに聞く」から「お客さんの課題をあらかじめ考える」に変える必要があります。そのためには、人材や採用といった商品に直接関係することではなく、お客さんのビジネスを考えましょう。

お客さんの上位の課題(ビジネス課題)を考える方法は……

「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

次回は12月19日(月)更新予定です。

今月のクイズ(営業のクイズ)

顧客課題の想定
あなたはWeb会議システムの営業です。
お客さんのホームページを見たら組織が製造業界本部、流通業界本部だったのに営業本部、技術本部に変わっていた。
何を考える?

関連するページ・著者紹介

この記事のテーマと関連するページ

営業支援システムテンプレート

一件一件のお客様とじっくり商談を行う、案件攻略型営業スタイルにピッタリの営業支援システムです。詳細の案件情報管理によるステップを踏んだ戦略的営業スタイル、部門・担当者ごとの予実績管理による数字の組み立てなど、大塚商会の営業ノウハウの一端を組み込んだシステムです。営業力強化に取り組みたい企業におすすめです。

営業支援システム(SFA) 営業日報管理(Daily Report)テンプレート

「営業日報を手書きやExcelで管理しており、顧客ごとの商談が分からない」「訪問件数は多いが実績が上がらない」このようなお悩みをお持ちの方向けに、おすすめのシステムです。1日の営業日報を登録するだけで、顧客ごとの商談経緯を把握でき、効率化のポイントが分かります。ルート型営業に最適です。

この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

公式Facebookにて、ビジネスに役立つさまざまな情報を日々お届けしています!

お仕事効率研究所 - SMILE LAB -

業務効率化のヒントになる情報を幅広く発信しております!

  • 旬な情報をお届けするイベント開催のお知らせ(参加無料)
  • ビジネスお役立ち資料のご紹介
  • 法改正などの注目すべきテーマ
  • 新製品や新機能のリリース情報
  • 大塚商会の取り組み など

お問い合わせ・ご依頼はこちら

詳細についてはこちらからお問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ

0120-220-449

受付時間
9:00~17:30(土日祝日および当社休業日を除く)
総合受付窓口
インサイドビジネスセンター

ページID:00234515