第12回 営業マネジメント…問題だらけの営業マネジメント

ほとんどの企業で営業のマネジメントは問題を抱えており、また日々苦労しながら行っている。しかしなかなか改善しない・・・なぜでしょう?

営業は、個人主義で行い、属人性に依存してきた仕事であり、結果主義、売上至上主義でプロセスを軽視してきました。
その結果、計画の精度に対する意識が低く、実践した後の検証や対策がおろそかになり、営業全体の精度が上がらないということが大きな課題になっています。
最近はプロセスを重視している企業も増えてきていますが、営業の特性を踏まえて適切なプロセスを作り、管理している会社は少ない。

つまり、PDCAのDoばかりで、PlanやCheck、Actに対する
「意識が低い」、「漠然としている」または「ない」、「適切でない」・・・

≪営業指導でよくみるシーン ・・・漠然とした目標≫
上司Aさん「うちの目標は金額だけ、案件規模がバラバラだから件数はいらないんだ」

  • → 果たして売上金額という目標だけで具体的な行動計画に落とせるのでしょうか?
  • → 目標達成のための行動計画がなくて、売上目標を追うことができるのだろうか?
  • → 結果的に、大型案件が受注できたらラッキー、できなかったらあきらめるということになっているのではないだろうか?

≪営業指導でよくみるシーン ・・・対策のない報告会≫
営業会議で上司が部下に対し進捗状況や案件状況の確認ばかりになっている報告会

  • → 確認ばかりで売上が上がるのだろうか?受注が取れるのだろうか?
  • → 営業活動の時間を割き、全員が集まる価値があるのだろうか?

≪営業指導でよくみるシーン ・・・場当たり的、断片的な情報だけでの指導≫
部下Bさん 「担当者は前向きですが、決裁者が理解してくれないみたいです」
上司Aさん 「じゃあ、自分が行くから決裁者と商談する場をセッティングしろ」

  • → 果たして、案件が進まないのは、決裁者が理解してくれないからだけなのだろうか?
  • → 他のことが原因だった場合に決裁者と話しただけで案件は進むのか?

≪営業指導でよくみるシーン ・・・数値だけで判断≫
上司Aさん 「商談の件数が少ないから売上目標がいくわけない。商談数を増やせ」

  • → 原因がわからないで商談を増やせるのか?
  • → 市場や商品の問題だったら商談を増して売上があがるのだろうか?

簡略化し、多少誇張しているかもしれませんが、実はほとんどの営業組織で似たようなシーンが見受けられます。

マネジメントとは・・・
・・・目標や目的に対して、現在の資産や状況を最大限に活用し達成するよう導くこと

営業のマネジメントとは・・・

【1】売上計画の達成
【2】顧客からの受注の獲得
という目標に対して、現在の資産や状況を最大限に活用し達成するよう導くこと。

【1】売上を上げるための資産や状況とは・・・

  • 見込み案件の量や質
  • 営業社員や販売チャネルの量や質
  • 商材の量や質
  • 販促施策やアプローチ方法
  • 会社の信用力やブランド
  • 市場環境、競合状況

【2】顧客から受注を獲得するための資産や状況とは・・・

  • 顧客の状況(課題や予算、戦略や計画、決裁者や関係者、政治的な背景など)
  • 競合の状況(商品力や営業力など)
  • 営業社員や販売チャネルの質(顧客との関係や営業スキル、戦略・計画遂行力、マインドなど)
  • 商品力(商品の機能や価格、柔軟性や対応力)
  • 会社の信用力やブランド力

ということは・・・
営業マネジメントは、目標である売上計画の達成や顧客からの受注の獲得に対して、上記の資産や状況を洗い出し、それらを最大限活用(考察)した有効な計画や対策を策定し実践させ、目標達成へと導くこと。

皆さんの会社では、この資産・状況のすべてを最大限活用(考察)しているでしょうか?
最大限活用(考察)するためには、すべてを把握していなければなりません。

しかし、この資産や状況は多種多様で、複雑かつ変化するものであり、また読みにくいものです。
計画や対策を策定し実践させ目標達成を実現するためには、非常に高度な「PDCA」が必要になります。
そのため、下記プロセスが重要になってきます。

  1. 目標を明確にし、具体的にする
  2. 目標達成に対し、関係する資産や状況をすべて洗い出し的確に判断する
  3. 目標達成に対する、資産や状況のギャップを洗い出す
  4. そのギャップのそれぞれに対し、実現可能な対策を策定する
  5. 継続的に、目標、資産・状況、ギャップ、対策を管理し、継続的に検証・修正する

しかし、個人主義、経験主義で行われている営業では、その高度な「PDCA」が困難であり「やってみなければわからない」というプロセス軽視や、結果主義になり、マネジメントが感覚的、断片的になってしまっています。

期初の営業計画では
「昨年と同じような計画を立てている、本当にこれで目標が達成できるのだろうか」
日常の営業活動では
「達成できるかわからないまま、やみくもに頑張っている」
「課題が漠然として、対策がたてられないまま、一生懸命頑張っている」
その結果
「売上目標を追えない・・・」
こんな状況がよく見受けられます。

とはいえ、今までさまざまな企業の営業を支援してきて、初めからすべて整備するというのは非現実的であるとも思います。
そのため、自社の状況を踏まえ、段階的に整備していくことが必要でしょう。

次回からは、PDCAを実現する営業マネジメントとはどのようなものか?そのマネジメント力を強化する方法などを寄稿させていただきます。

次回は12月5日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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