第23回 営業スキルの向上…営業社員のスキルアップはなぜ難しい?

営業社員のスキルアップを実現することはなぜ難しいのでしょうか?

よく「2:8」という言葉を耳にします。
営業力の高い2割の営業社員、なかなか営業力の上がらない8割の社員…

多くの営業組織で大型案件や難易度の高い案件、組織の売上を2割の営業社員に依存し、8割の営業社員はマネージャーがフォロー…
その結果、組織全体での売上に限界があり、2割の社員やマネージャーが疲弊している
そして、8割の社員のモチベーションが上がらない…
こんな企業が多く見受けられます。

しかし、多くの企業の営業を支援している中でこのように思うことが多い。
8割の営業社員のスキルがもう少し上がっていればもっと楽に売上が上がるのに…

ある会社で下記のような状況がありました。

営業社員Aさんの顧客から問い合わせが入りました。
・・・人事管理システムをリニューアルしたいとのこと。
長年取引をしている既存顧客からの引き合いです。

結果は、競合他社に決まってしまった。価格も安価で提案したのに…

なぜ?
提案が顧客の要望とずれていたそうです。

もう少し顧客とAさんの関係が作れていたら…
きちんと案件の背景から要望を抑えられていたら…
上司がチェック・指導し受注を獲得できていたでしょう。

つまり、
顧客との関係を作るスキル
案件の背景を聞き出すスキル
が身についていたら上司の指導で受注を獲得できていた…

なぜ、このスキルが身についていなかったのか?

日々の上司の指導を振り返ってみると
顧客との関係に対して、
□もっと顧客へ通って関係を作れ
□同業他社の事例など(具体的な例を出して)を話して関係を作れ
背景を聞き出すことに対して
□なぜ買いたいのか、なぜ課題があるのかを聞くように
□課題やニーズ、要望だけでなく顧客の事業や業務などを聞くように
と指導している…
しかし、なかなかできない。

営業社員の方からこのような言葉を耳にすることが多い。
【1】指導されたとおりにやろうとしているんだけどなかなかできない
【2】顧客や案件ごとに上司の言うことが異なる

ここに営業社員のスキルアップを実現するための大きな問題点が潜んでいます。

【1】に対して
たしかに、上司や2割の営業力の高い社員は、同業他社の事例などを
話しながら関係を作っていましたが、
話し方や組み立て方など多様なスキルも備わってコミュニケーションをとり
関係を作っている・・・
つまり、「同業他社の話」というスキルは一部でしかなく
関係を作るための要件をすべて指導していない。

【2】に対して
上司はいつも同じこと(考え方、やり方)を言って指導しているつもりですが、顧客や案件の状況が異なるためアウトプットする指示・指導が異なる・・・
その結果、部下は違うことを指導されているように思ってしまう。

少し個人向け営業と法人向け営業を比べてみましょう。

個人向け営業は比較的、商品説明やヒアリング方法など営業方法を標準化し、ロープレなどを実施しているケースが多いのですが、法人向け営業は、あまり標準化せず上司や先輩の同行や個別の状況に対しての指導が中心です。

これは、法人向け営業の方が個々の顧客や案件の状況が異なり、その異なる顧客や案件の状況に合わせて営業活動を行わなければならないため営業方法が標準化できず、指導が個別的になってしまっているのです。
個人向け営業はアプローチ量が多く顧客の傾向にアプローチしているのに対し、法人営業は個別の顧客の状況にアプローチしているからです。

この個別の顧客の状況にアプローチする営業のスキルアップを実現するためには
下記の三つが必要です。

【1】営業の基本的な型
これは自社の商品やターゲットを考え、どのような営業を行うべきなのか、
営業プロセスや商談の組み立て方、顧客への訴求方法など。
前述した「いつも同じことを言って指導しているつもりになっている考え方ややり方を形にするということです。
しかし、この「型」はマニュアルにはりません。これだけでは実践できない。

【2】必要なスキルの細分化、明確化
これは【1】の型に対して必要なスキルを明確にするということです。
これが漠然としてしいるために適正な指導ができていないというケースが多いのです。
「Bさんは顧客とのコミュケーション力が高い」という言葉を耳にすることがありますが、このコミュケーション力とはどんなスキルでしょう?
このコミュニケーション力を細分化すると
話す内容や話し方、話す順番や組み立て方、顧客への反応の仕方、態度…
などコミュニケーション力を構成する要件は多数あります。
営業スキルを上げる指導とは、そのスキル要件(知識含む)を細分化し、部下の営業スキルを分析し不足点を指導しなければならないのです。
「コミュニケーション力」という言葉ではスキルアップはできません。

【3】応用力・実践力
前述したとおり法人向け営業は異なる顧客や案件に対応しなければなりません。
そのためには、【1】の型を理解したうえで型を応用する力が必要です。
つまり、訓練と実施・検証の繰り返しです。
【1】の型に対して実践し、【2】のスキル要件を振り返り修正させる…

どんな仕事でもスキルを習得させる方法は同じです。
本質や考え方、やり方を理解し、その仕事に必要なスキルを理解し、実施・修正を繰り返しながらスキルは身についていくのです。

これは営業も同じ。
営業という仕事は、かなり幅広いスキルが必要であり、多種多様な状況に対応しなければならない。
そのため、教育や指導が部分的や場当たり的であったり、漠然としてしまうことが多いのです。

顧客の課題が複雑化し競争が激しい今日、売上は営業スキルにかかっています。
ぜひ一度、この三つを振り返っていただき、営業社員のスキルアップに活かしていただければ幸いです。

次回は11月6日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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