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第4回 営業にとっての商品とは? …商品とは顧客に期待させるもの
昨今の営業で、提案力強化や顧客の課題解決が重視されているわりには、いまだにほとんどの営業の方がご案内営業になっています。
今回はご案内営業から脱却するために、商品をどう考えるべきかというお話をしましょう。
~ 価値を売るということはどういうことか? ~
「皆さんは顧客に何を売っていますか?」「顧客にとっての価値は何ですか?」
最近、営業経験のある方にこのような質問をすると
「顧客に価値を提供してお金をもらう」
「課題解決や導入による効果が顧客の価値」
と答える人が多い。
つまり、顧客にとって必要なものは課題解決や効果であり、価値を売っていると答えています。
下手をすると自社の商品に価値がないから売れないと言う営業社員もいるぐらい。
では、顧客との商談で説明している量が多いものは何でしょうか?
一番多い : 商品の機能やしくみ
次に多い : 実績や事例、強み
一番少ない、またはない : 効果
と効果に対する説明が一番少ない、またはしていない。
売るものであり顧客にとって最も必要なもの、つまり一番理解させるべきものの説明が一番少ない、または説明していないのです。
なぜでしょう?
では、別の質問をしてみましょう。
「商品説明の目的は?」
この質問を営業研修の場でしてみると、大半の営業の方がこのように答えます。
「どんな商品かを理解させること」
「強みや商品の良さを理解させること」
「自社の商品を信用させること」
商品の機能やしくみとその素晴らしさ、実績や事例による信用を伝えようとしています。
つまり、「商品そのもの」を理解させようとしているのです。
~ わかっているのになぜできない? ~
顧客にとって必要なものは課題解決や効果であり、価値を売っていると理解しているのに、機能やしくみとその素晴らしさ、実績や事例による信用を伝えようとしている…
わかっているのになぜできないのでしょうか?
商品に対する認識を間違えている
課題解決型営業とは、「顧客の課題と企業を結び付ける活動」
その営業で「価値を売る」ということは、顧客の課題を発掘し、機能や資産で解決策を構築し、解決策と効果を理解させ、解決策と効果に対し受注を獲得するということ。
その中で、初めにする商品説明の役割は、期待をさせることです。
つまり、顧客が営業に対して課題を伝え相談するための前提となる期待の確保。
営業にとっての商品とは理解させるものでなく「期待を確保」するものなのです。
そして、顧客は何に期待するのか?
・・・顧客は、課題解決や効果に期待をするのです。
そもそも「期待の確保」は難しい
そして、この「期待の確保」は意外と難しく、大半の営業の方ができていません。
それは、期待するもの=課題解決や効果はいずれも顧客の中にあるものであり、顧客を知らなければ「期待を確保」することができないからです。
パンフレットを持ってやたらと訪問する
・・・これで「期待の確保」ができるのでしょうか?