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第77回 顧客を知りたければ「どこに、何が書いてあるか」調べ方を標準化する
課題解決型営業や戦略営業には顧客の情報が必要です。その顧客の情報は顧客に聞いて知ろうとする……しかし、教えてくれない。経営課題や戦略、計画や予算、組織関係……インターネットが普及し情報公開が進んでいる今日では、有益な情報がたくさん公開されています。今回は、顧客の情報を調べる方法についてお話しします。
顧客を知りたければ「どこに、何が書いてあるか」調べ方を標準化する
課題解決型営業や戦略営業は顧客の情報から考える営業です。
顧客の情報がなければ成り立たない。
Aさん
「御社の課題をより理解するために必要だと思いまして」
顧客担当者
「さっき営業部と技術部のコミュニケーションが課題と話したじゃないですか。今まで拠点が離れていたので、事業所を統合するときに、もっと連携を密にする必要があるって」
Aさん
「そうなんですけれど、その理由とか背景を知りたくて」
顧客担当者
「経営課題なんて聞いてどうするの?」
Aさん
「……、参考までに知りたかったので……。すみません」
会社に戻って上司に報告すると……
Aさん
「聞いたんですけれど教えてもらえなくて」
上司
「聞き方が悪いんだよ」
Aさん
「じゃあ、どう聞けばいいんですか?」
上司
「……」
Aさん
「そもそもデスクや什器の営業だから、事務所移転の情報とお客さんの要望を聞ければいいじゃないですか。経営課題なんて教えてもらえないし、必要ないですよ」
上司
「お客さんのIR資料とか読んだ?」
Aさん
「読んでいません」
上司
「自分のお客さんなんだからIR資料ぐらい読んでおかないと。有価証券報告書にはいろいろと書いてあるよ」
Aさんは多少不満げに
「……、分かりました」
Aさんは、自分の席に戻ってから顧客のホームページで有価証券報告書を探して見てみました。
ところが100ページも……。
ほかの仕事もあったので、後で読もうと思い一カ月がたってしまいました。
ここで質問です。
Aさんは、どうしたら担当顧客の経営課題を把握できたのでしょうか?
上司は、どのように指導すればよかったのでしょうか?
上司は「聞き方が悪いんだよ」と指導していますが、いきなり「経営課題は?」「御社の戦略を教えてください」と聞いたって教えてくれないでしょう。仮に「御社のことをもっと知りたいので」や「上司に聞くように指導されているので」と前置きをしても「聞いて何をしようとしているのか」と不審に思われるでしょう。
商品の提案に対して直接的な課題でない経営課題や戦略は質問するのではなく会話の中で聞き出さなければなりません。そして、顧客と経営課題や戦略について会話するためには情報(ネタ)が必要です。
そのためには、事前に調べておかなければなりません。
では、なぜAさんは調べないまま、有価証券報告書を読まないまま、一カ月もたってしまったのでしょうか?
有価証券報告書にはさまざまなことが書いてあり、有益な情報がたくさんあるのに……。
営業という仕事は、関係者が多く、流動的な仕事です。
集中して調べようと思っても、
- 上司から営業の進捗(しんちょく)状況を聞かれ対応しないといけない
- ほかの部門から資料の確認の問い合わせが入り対応しないといけない
- 顧客からも電話やメールがきて対応しないといけない
今日は時間があるので調べてみようと思っても、
- 急ぎの引き合いが入り対応しないといけない
- トラブルが発生すると、上司に報告し、顧客に謝罪にいかないといけない
- 上司に売り上げが足りないと怒られて、ほかの顧客に訪問しないといけない
まとまった時間を作りにくい……。
営業の仕事の特性を考慮すると、顧客のことを把握するためには、短時間で調べる、移動中や仕事の合間に調べる必要があります。
しかし、100ページも……。
「IR資料ぐらい読んでおかないと」「有価証券報告書にはいろいろと書いてあるよ」と指導されても、仕事に追われている営業には調べられません。
インターネットが普及し情報公開が進んでいる今日、さまざまな情報が公開されています。
「会社概要」「事業内容」「組織図」「採用情報」「有価証券報告書」「決算説明会資料」「事業報告書」……。
営業活動に有益な情報は調べることができます。
その反面、情報量が膨大で、探すのも、調べるのも大変。
「今日は何もしないでいいから顧客のことを調べなさい」といえるのであればよいのでしょうが、そんな状況はめったにない……。
営業担当者が顧客の情報を調べるためには、「どこに、どのような情報があり、その情報から何を考えるのか」を明確にしておく必要があります。
「どこに、どのような情報があるか」が明確になれば、短時間で調べる、移動中や仕事の合間に調べることができるのです。
課題解決型営業や戦略営業には顧客の情報が必要です。
営業部として、情報の探し方や情報から考えることを標準化しましょう。
「ホームページを見ろ」「有価証券報告書を読め」では必要な情報を探せないのです。
顧客の情報の調べ方は、
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス
次回は10月21日(月)更新予定です。
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