第69回 経営課題や戦略の会話はひとつ落した情報から入る

顧客の経営課題を把握して、ターゲットの課題やニーズを聞き出そう、営業戦略や戦術を考えようという営業が増えてきています。しかし、顧客担当者に聞いても「私には分からない」「私には関係ないので……」とうまくいかない、聞き出せない……。今回は、経営課題から課題やニーズを聞き出すためのPOINTをご紹介します。

経営課題や戦略の会話はひとつ落した情報から入る

「商品を紹介しただけでは売れない」「お客さんに検討していることや要望を聞こうとしても教えてくれない」
ということで、経営課題を把握して、経営課題の会話から課題やニーズを発掘し案件を獲得しようという営業が増えてきています。

しかし、一生懸命に顧客の経営課題を調べて訪問しても、うまくいかない、聞き出せない……。

求人広告の営業担当Aさんが、スーパーマーケットを展開している会社の人事担当Bさんと面談した時のことです。

Aさんは、事前に顧客のホームページから経営課題を調べていきました。
IR資料に……
「鉄道沿線の再開発や大規模マンションなどの新設により各店の周辺環境が変化している」
「周辺環境の変化への対応力を強化し既存店の収益力を向上する」

そして、人事担当Bさんと面談……。

Aさん、
「御社のIR資料を見たのですが、鉄道沿線の再開発やマンションの新設などで周辺環境が変化しているお店が多いんですか?」

Bさん
「そのようですが……」

Aさん
「そうすると、需要も変わるでしょうからお店の対応も変えていかないといけないんですよね?」

Bさん
「私は人事なのでよく分かりませんが、そうだと思いますよ」

Aさん
「採用面でも何か変える必要はあるんですか?」

Bさん
「あるかもしれませんが、店舗のことだから私には分かりません」

Aさん
「……」

Aさんは、「周辺環境の変化への対応力を強化」という経営課題を調べて、会話の中で採用面の課題を聞き出そうとしています。
しかし、これでは「採用面で何かお困りのことはありませんか?」とダイレクトに聞くご用聞き営業と変わらない……。

その結果、会社に戻ってきて「相手が人事担当者だから会社の経営課題や戦略の話をしたって意味がないんですよ」

「担当者だから」「人事だから」「総務だから」「情報システムだから」「購買だから」……「経営課題や戦略の話をしたって意味がないんですよ」
よく聞く言葉です。

そんなことはありません。

各部門や各担当者の仕事は、「経営課題や戦略→部門課題や戦略→チーム課題や戦略」と落とされているものです。
ということは、担当者だから、人事だから、総務だから……関係ない、意味がないということはありません。

では、なぜAさんは「私は人事なのでよく分かりませんが、そうだと思いますよ」「あるかもしれませんが、店舗のことだから私には分かりません」と言われてしまったのでしょうか?

関係を持たせ、意味を持たせるためには、経営課題や戦略を相手の立場に落とす必要があります。

例えば、「鉄道沿線の再開発やマンションの新設が増えてお店の環境が変わっているようですけど、販売スタッフの体制やシフトにも影響あるんですか?」と聞いていたらどうだったでしょう?

「周辺環境の変化への対応力を強化」という経営課題は、各店舗に対し、仕入れや販促だけでなく販売スタッフの体制、シフトの柔軟性を要求しているかもしれません。
すると、全社的な人件費の管理やコンプライアンスを管理している人事部に影響を及ぼしているかもしれません。
「周辺環境の変化への対応力を強化」は人事部に関係ない話と思われるかもしれませんが、ひとつ落した「販売スタッフの体制やシフトにも影響」は関係ない話ではなく、興味を持つ話かもしれません。

「周辺環境の変化への対応力を強化」という経営課題は、さまざまな部門やチームに落とされ、またさまざまな部門やチームの仕事は影響を受けています。

皆さんも考えてみてください。

総務部にはどのように落とされていますか? また影響を受けていますか?
情報システム部にはどのように落とされていますか? また影響を受けていますか?
購買部にはどのように落とされていますか? また影響を受けていますか?

経営課題や戦略を調べて会話するのではなく、経営課題や戦略からターゲットの部門にひとつ落とした情報を考え準備し、会話しましょう。
ひとつ落とした情報で会話をして盛り上がれば経営課題や戦略についても聞けるのです。

「経営課題や戦略を聞き出す」方法は……
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次回は2月18日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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