ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第2回 営業のあるべき姿とは? …課題解決型営業のプロセス
今回は、営業の本質のお話をしましょう。つまり、営業は何をしないといけないのか?
「営業は顧客に価値を提供し、その結果として対価を得る」
最近、多くの営業本ではこのように書いています。
これを聞いて「当然」「わかっている」「やっている」と言う方も多いでしょう。
ただ、実際の営業ではそうなっていない・・・
≪営業のよくある間違い その1≫
商談前に、顧客のHPを見ている。
その目的を聞いてみると、顧客のことを知らないと話ができない、何も知らなかったら
信用されないということ。
・・・その結果
◆ 商品説明ばかりになってしまう。
◆ 「何か課題はありませんか」「何かお困りのことは・・・」と聞いてしまう。
≪営業のよくある間違い その2≫
会社や商品を理解させようとする。
・・・その結果
◆ 機能や強み、実績や事例を一生懸命説明している。
◆ ご案内営業になってしまう。
≪営業のよくある間違い その3≫
課題が聞けたらすぐ提案、見積依頼が来たらすぐ見積り
・・・その結果
◆ 価格をたたかれる、値引きの要求が多い、単なる価格勝負。
◆ なかなか決まらない、最後に失注。
「営業は顧客に価値を提供し、その結果として対価を得る」
これを行うとはどういうことか・・・
「顧客に価値を提供する」
これは言わずもがな「顧客の課題解決を実現し、その効果やメリットを提供する」
ということです。
つまり、営業の仕事は「顧客の課題と企業の資産や商品の機能を結びつけ、
課題解決を実現し、その結果、効果やメリット提供すること」です。
ただ、大半の企業では、「商談」や「提案」「見積」「クロージング」などのプロセスで
営業を管理し、営業社員はこのプロセスで活動をしています。
これは、営業社員が「何をしたか」、つまり営業社員の行動を管理するプロセス
(自社の視点でのプロセス)にしか過ぎず、顧客の課題解決を実現するプロセスでは
ありません。
「顧客の課題と企業の資産や商品の機能を結びつけ課題解決を実現する」
これを実現するのであれば、顧客の課題を把握し、解決しなければという意欲を高め、
解決策を理解させ、実現へと導く、このプロセスで管理し、営業社員はこのプロセスを
基準に行動しなくてはなりません。
「どうやって課題を把握しようか」また「課題は把握できているか」
「どうやって解決しなければという意欲を高めようか」また「意欲は高まっているか」
「どうやって解決策を理解させようか」また「解決策は理解させられたか」
「どうやって実現へと導こうか」また「実現へと導けたか=受注獲得」
つまり、顧客がどのように課題を理解し、検討し、判断していくかを考え、
その顧客の視点で実践していく課題解決型営業のプロセスです。
競合との差別化が難しく、顧客の課題が複雑化し、予算の抑制や投資を選別する時代では、
この課題解決を実現する営業が売上を上げるのです。
参考資料:課題解決型営業のプロセス(株式会社セントリーディング Webサイト)
≪課題解決型営業における正解 その1≫
・・・事前準備は、課題の想定
商談とは、課題を発掘し、解決したいと思わせ案件や提案依頼を獲得することです。
そのためには、商談前に顧客の様々な情報から課題を想定し、どうしたらその課題を
発掘できるかを準備してなければなりません。
≪課題解決型営業における正解 その2≫
・・・商品は期待を確保するもの
商談では、どんな商品かを理解させること自体にはあまり意味がありません。
それよりも会社や商品に期待し相談したいと思わせることが重要です。
顧客は「商品の内容=機能」に期待するのではなく「用途」から生まれる「効果」に
期待するのです。
その結果、顧客は相談するのです。
≪課題解決型営業における正解 その3≫
・・・顧客は課題ではなく解決する必要性にお金をかける
顧客は課題解決にお金をかけるのではありません。課題解決から生まれる何かに
お金をかけるのです。
その何かが把握できていない、またはその何かをしっかりと理解させていない
提案や見積に対して、当然、かけるお金は少なくなり、また投資するプライオリティも
下がってしまいます。
次回は2012年2月1日更新予定です。
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