第8回 顧客との関係強化とは? …課題解決型営業は「信頼の営業」

さまざまな企業、営業社員の方々に指導をしていて、

「A社とは関係ができている」「A社の担当者とは関係ができている」

という言葉をよく耳にします。

確かに、定期的に訪問してA社の要望をよく聞いてくる。

しかし…
「積極的な提案や幅広い提案ができずに取引が広がらない」
「顧客の要望ばかり聞いてきて、こちらの要求を通せず、結果的に価格やサービスなどで無理をしている」

こんなシーンが良く見受けられます。

「関係ができている」と言っているのになぜでしょう?

課題解決型営業では、関係ができているか否かよりもどのような関係を築いているかという「関係の質」が重要なのです。

「信頼の営業」と「信用の営業」 ・・・課題解決型営業は「信頼の営業」

課題解決型営業とは、顧客の状況を聞き、悩みや課題を一緒に考え、アドバイス(解決策を提案)し、解決へと導く営業です。
顧客にとって、悩みを相談する相手でなければなりません。
「信じて頼られる営業」でなければならないのです。

前述の例もそうですが、現在の営業で「顧客との関係ができている」という場合の多くが、使われる関係になっています。

つまり、「信じて用いられる(使われる)営業」

  • 「信頼の営業」:頼られる関係、相談される関係
  • 「信用の営業」:用いてもらう、使われる関係、要望や要求を言ってもらう関係

課題解決型営業は、「信頼の営業」であり、頼られ、相談される関係が必要なのです。

相談関係とは?

まず、次の質問を考えてみてください。
「皆さんがプライベートでよく相談する人、しやすい人はどのような人ですか?」

私は10年以上営業の指導をしてきましたが、その際に必ずこの質問をしています。
すると8割以上の人が同じ5つの要件に当てはまる人に相談しています。

当社では、これを「相談関係の五つの要件」と言っていますが、
要するにこの5つの要件を実践している人は相談されやすいのです。

皆さんもこの質問について考えてみてください。

顧客との関係構築における大きな間違え その1 …「技術の知識や専門知識で信頼を」

顧客に信頼されようとしたときに営業の方は何をするか?

  • 実績や事例を理解させる(自社・商品のこと)
  • 技術や強みを理解させる(自社・商品のこと)
  • 会社のバックグラウンドを理解させる(自社のこと)

これが、信頼されるために必要でないとは言いません。
しかし、顧客から見たら相談する、頼るというより、使えるか、使えないか、取引して大丈夫か否かを判断する材料です。

顧客が悩みを話したくなり、一緒に解決策を考えてほしくなる相手は、悩みに対して理解でき、共感してくれる相手。
つまり、相談関係を築くためには、技術や専門的な知識(自社・商品のこと)よりも悩みに関する知識(顧客のこと)があり、その悩み(顧客のこと)を理解・共感できることが重要なのです。

顧客との関係構築における大きな間違え その2 …「定期訪問で関係を作る」

よく、「定期的に訪問してお客さんと関係作れ」…こんな指示をよく耳にします。

しかし、訪問することで関係を作る…これは難しい

皆さんが相談したい、頼りたいと思う人の行動はどのようなものでしょうか?
期待していない人が、何度も通ってきたらどう思うでしょうか?

誤解しないでほしいのですが、営業で定期的に訪問することが間違えであると言っているわけではありません。
関係ができた相手に定期的に訪問することは間違えではありません。

「関係を作るために定期的に訪問」するということが間違えであると言っているのです。
つまり1~2回の面談で期待され、頼られる関係を築けなければ後はないのです。

その証拠に、皆さんの会社の新規開拓営業の状況を振り返ってみてください。
こんな状況をよく見ます。

新規で50社訪問しました。その中で将来的に可能性がありそうな30社に絞って定期的に訪問し関係を作り、来期の案件を獲得しよう。
1年経ってみて訪問しているのは30社中2~3社ぐらい。残りの27社~28社は関係を作るどころか訪問すらできなくなっているのです。

アポがとれない、訪問する材料がない、何の話をしてよいかわからない…
これは、初めの1回、2回で相談関係を作れていないからです。

課題解決型営業とは、「信頼の営業」であり頼られる関係を構築することが前提です。
しかし、今日の営業では顧客との関係の作り方を間違えてしまっているケースが多い。

それは、
「よく思ってもらいたい」「悪く思われたくない」「買ってもらいたい」
とすべて顧客に対しての意識がへりくだっているからです。

本来、相談され、頼られるためには、顧客との対等な関係を作らないといけない。
皆さんは、へりくだった相手に相談しやすいでしょうか?

次回は8月1日の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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