第73回 顧客との関係のうえで成り立つ営業では期待以上が大切

顧客満足度調査で多い回答に「要求には応えてくれるが、要求しないと提案や情報提供、アドバイスがない」……。営業は顧客との関係のうえで成り立つ仕事。顧客の要求に応えることも大切ですが、要求されていないことで「期待以上」の顧客満足を得ることも大切です。今回は「期待以上」の顧客満足を得るためのPOINTをご紹介します。

顧客との関係のうえで成り立つ営業では期待以上が大切

顧客に要求されたことには一生懸命に応えようと提案書を作ったり、社内を調整したりするけれど、要求されていないことはあまりやらない……
顧客にとって役に立つ提案や情報提供……顧客に感謝されること、顧客との関係を強化できることなのになぜ?

顧客の営業企画担当者から問い合わせが入り、営業担当Aさんが訪問しました。

Web会議の導入を検討しているとのこと。
・営業部で使いたい
・今期の方針として、営業の組織力強化、新商品の提案を促進
・営業担当者には、外出時にノートPCを持たせている

Aさん
「営業部でWeb会議の導入を検討されているとのことですが、どのような目的に利用されるのですか?」

営業企画担当者
「直行直帰や出張が多いので外出先から営業会議に参加できるように。それと、新商品を提案させるために上司や商品企画部の指導が必要なので」
「先日、営業部と商品企画部のミーティングでWeb会議を導入しようということになって、私の方で探しているんです」

Aさん
「そうなんですか、直行直帰や出張が多いと会議や指導がやりにくいですよね」

営業企画担当者
「一昨年に拠点を集約してから直行直帰や出張が増えて、営業会議に参加できない人もいるみたいで」
「それに、新商品の提案が進まないんですよ。提案には商品の機能や性能の知識も必要なのに、商品の種類が多いからみんな覚えられないみたいで」

Aさん
「Web会議で使う資料はどのようなものが多いんですか?」

営業企画担当者
「営業会議では、Excelの営業進捗表と商談履歴、新商品の提案指導では、PDFの商品カタログ、それと機能や性能をまとめた商品マニュアルを使っています」

Aさん
「商品の種類が多いってどのくらいあるんですか?」

営業企画担当者
「現在、売っているものだけで100種類以上、それに、納品して廃版になっているものもあるので150種類ぐらいはあるんじゃないかな」

Aさん
「そんなにあるんですか、それじゃ営業の人も覚えきれないですよね」

営業企画担当者
「そうなんです。私も昨年まで商品企画部にいたんですが、営業からの問い合わせが多くて、いつも資料を探してメールで送り電話で指導していたんです」
「うちの業界は商品のライフサイクルが短いので、もっと新商品の企画に注力しないといけないのに」

Aさん
「そうなんですか、商品企画部の人も大変ですね」
「すると、条件はノートPCでExcelやPDFファイルを共有しながら会議ができるということですね」
「利用人数は営業部、商品企画部あわせて○○人ぐらいですか?」

営業企画担当者
「そう、○○人」
「あとは、自宅や出張時のホテル以外に喫茶店で使うことも考えてチャット機能も必要」
「それと期初に予算をとっていなかったので、100万円以内で探していて」

Aさん
「わかりました。当社のWeb会議は……(商品説明)」

Aさん
「それと、当社のWeb会議はノートPC以外にタブレットにも対応していて……」

営業企画担当者
「それは、必要ありません。ノートPCを配布しているので」

Aさん
「他に何か条件やご要望はありますか?」

営業企画担当者
「来月には導入したいと言われているのでなるべく早く提案してください」
「それに、評価制度の見直しもあって忙しいので早めに決めたいと思っています」

会社に戻って……

上司
「150種類もあるんだったら、マニュアルをWebで管理して簡単に検索できるシステムも必要なんじゃない?」

Aさん
「そうかもしれませんが、お客さんの要求に入っていないし」

上司
「その話はした?」
「同業他社の事例もあるし、ずいぶん負担が減って評価されているよ」

Aさん
「いいえ、話さない方がよいと思って」
「予算が100万円しかないのでオーバーしてしまうし、営業部と商品企画部のミーティングで決まっているようなので」

上司
「言うだけ言ってみればいいじゃん」
「お客さんのためになることだから情報提供ぐらいした方がいいんじゃない?」

Aさん
「評価制度の見直しもあって忙しいみたいだし、それに、提案を受け入れてもらえるタイプじゃないので」

言うだけ言ってみればいいのに、なぜ言わない?

顧客満足度を考える時に以下の3つの基準が必要です。

顧客の期待(要求)に対して……「以上」「同等」「以下」
「以下」は当然ですが顧客満足度を下げる
「同等」は維持、つまり顧客満足度は上がらない
「以上」は顧客満足度を上げる

つまり、顧客満足度を上げるためには、顧客の期待(要求)以上の提案や情報提供、意見やアドバイスが必要なのです。

しかし、ほとんどの営業が「同等」を目指している……。
顧客の要求以上のことを考えるのではなく、顧客の要求を聞き、要求に対して忠実に応えようとする営業。

Aさんも、顧客の要求である「ノートPCでExcelやPDFファイルを共有できるWeb会議」「100万円の予算」「早く提案してください」に応えようと「同等」を目指していますが、それ以上のことを考えていない、やろうとしていない……

なぜ、「同等(顧客の要求を聞き、要求に対して忠実に応えようとする営業)」を目指すのでしょうか?

理由は3つあります。

1つ目は、要求してもらう意識ばかりで、自ら提案して理解させ売上を上げるという意識が低いこと。
2つ目は、忙しい、余裕がない……要求に応えることで精一杯。
3つ目は、余計なことを言うと嫌われる、忙しいのに手を煩わせると嫌がられるという意識。

たしかに、忙しい時に長々と余計な話をすると嫌われるかもしれない……
また、一度調整して決まったことをぶり返されると嫌がられるかもしれない……

しかし、Webで管理して簡単に検索できるシステムの提案や事例などの情報提供は、営業企画担当者にとって役に立つものであり、Aさんにとって要求されていないため期待以上の顧客満足を得られるものです。

であれば、提案や事例などの情報提供をしないのではなく、忙しい営業企画担当者、一度調整して決まったことに対して、どうしたら嫌がられないかという方法を考えるべきです。

営業は、顧客との関係のうえで成り立つ仕事です。
その顧客との関係を強化、改善するためには要求に応えるという「同等」も大切ですが、「期待以上」により顧客満足度を上げることも大切です。
顧客の要求以外に「何をしてあげたら」期待以上の満足が得られるかを考えることは大切です。

要求に応えるという「同等」を目指すのではなく、「期待以上」を目指して「何をしてあげたら」を考えましょう。
人は、自分のために一生懸命に考えて言ってくれたこと、やってくれたことに感謝することはあっても嫌がらないものです。

顧客満足度のフレームと期待以上の顧客満足を得る方法は……
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次回は6月17日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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