第21回 顧客の把握(2)…『顧客の想定 ~ホームページの見方』

前回のコラムで「課題解決型営業では、幅広く、深い情報が必要であり、そのためには『想定』が必要とお話をしました。
今回はその『想定』を行うための顧客のホームページの見方についてお話ししましょう。

ほとんどの営業社員が商談の前に顧客のホームページを見ている。
しかし、見た情報をあまり使っていない・・・

使わないのであれば、顧客のホームページを見る必要があるのでしょうか?

ある営業社員と商談に同行し、商談が終わったあとに聞いてみました。
私 「顧客のホームページを見ていったようだけど、役に立った?」
営業社員A 「はい、事前に顧客のことを調べていくべきだと思いました。」
私 「商談を見ていて、調べた情報は使っていなかったけど、なんで役に立ったの?」
営業社員A 「でも、調べていかなかったら顧客と話ができなかったと思います」
私 「調べた情報を使っていないのに?調べなかったら今日の商談は変わっていた?」
営業社員A 「・・・」
私 「それは、自分が顧客の話を理解できただけじゃないの?」
営業社員A 「・・・」
私 「顧客が話した内容や収集できた情報、顧客に理解させた内容や顧客の理解度
・・・調べなかった時と何か変わった?」
営業社員A 「あまり変わってない」

では、なぜ役に立ったと思ったのでしょうか?

それは、営業社員自身の安心感や自己満足。
つまり、顧客の話を理解できたという自己満足とその結果役に立ったという気になっただけであり、営業活動の目的である案件やニーズの発掘、顧客の検討促進、受注の獲得には役に立っていないのです。

それでは、調べていったのになぜ役に立たなかったのでしょうか?

その理由は二つあります。

  • 事前にホームページで顧客の情報を調べる目的を間違えている
  • 調べる内容、把握する情報が有効でない

一つ目は、本コラム第3回でお話ししましたので、今回は二つ目の「調べる内容や把握する情報」についてお話します。

私が実施している研修の「顧客課題仮説化研修」の中で実際の顧客のホームページを見て顧客の状況や課題を分析してもらうのですが、その分析結果(回答)で下記のようなものが多い。

顧客のIR情報をみて
「ここ2期連続で減収減益なので投資しにくい」
「グローバル化を進めているので海外事業の拡大には投資する」
「円安で仕入れコストが上がり収益が厳しいのでコスト削減を進める必要がある」
・・・いずれも短絡的である。
・・・そして、このレベルの抽象的な情報は実際の商談では使えない。

たとえば、売上や利益の推移をみるのであれば、上がっている下がっているだけではなくて、その理由も把握しなければいけません。
有価証券報告書や中期経営計画には「業績の概況」や「対処すべき課題」、「重要施策」などが記載されているのです。

また、単に記載されている情報だけを持って商談にのぞんでいる・・・
公開されている情報は抽象的なものや戦略・計画の上位のものだけであり、顧客の課題を考えたり、顧客との商談で話をするためには、下位や部門ごとの戦略や計画、業務や環境の実態を読み取らなければならないのです。

たとえば、組織図を見たら、その他の情報とあわせて会社や個別組織の戦略や方針、組織間の連携方法などを読み取らないといけません。
なぜなら組織図だけ理解しても、顧客とのコミュニケーションの材料として使えないし、課題やニーズの発掘にも使えないのです。
組織体制というものは戦略や方針、組織間連携などを考え作られるものであり、組織図や組織変更にはそれらが表れているのです。

顧客のホームページには、会社概要、組織や拠点、沿革、取引先や株主、財務状況、事業・商品内容、採用情報などさまざまな情報が記載されています。
その記載されている情報から下位や部門ごとの戦略や計画、業務や環境の実態を読み取ることができれば顧客の幅広く、深い実態を理解することができるのです。

しかし実態は、営業活動で顧客の情報をうまく活用できていない・・・
このような営業が非常に多い。
あらかじめ顧客の情報を持たずにできる営業は商品案内営業か御用聞き営業です。

商品案内営業は商品を説明して顧客に選んでもらう営業であり、顧客のことを知らなくても説明さえすれば選んでもらえるかもしれません。
また、御用聞き営業は顧客の要求や要望を聞いてきて対応する営業。
顧客のことを知らなくても顧客が言ったことを聞いてくれば対応できるかもしれない・・・

しかし、課題解決型営業とは、顧客と一緒に課題や解決策、効果を考えたり、営業自らがそれらを顧客に気づかせたり、理解させたりする営業です。
そのためには、前回でお話しした顧客の幅広く、深い実態の情報が必要なのです。

その顧客の幅広く、深い実態の情報が必要な課題解決型営業を進めるのであれば、最低限、ホームページの見方やそこから読み取る力を身につけることが必要なのではないでしょうか?

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株式会社セントリーディング
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次回は9月4日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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