第51回 顧客の情報は雑談で聞き出す……質問は収集できる情報が限られる

課題や計画や予算、競合……営業ではさまざまな顧客の情報が必要です。しかし教えてもらえない……。その原因の一つは質問(ヒアリング)という聞き方です。今回は顧客の情報を聞き出す質問と雑談についてお話しします。

顧客の情報は雑談で聞き出す……質問は収集できる情報が限られる

営業には必要な顧客の情報がたくさんあります。
しかし、顧客に聞いても教えてもらえない、そのため営業方法を考えられず苦労し、売上が上がらない、顧客のことを知らずにできることは、商品説明かお願いぐらい……。

今回は、顧客の情報を聞き出す方法についてお話ししましょう。

ある日、上司が営業担当Aさんにアドバイスしていました。

「商品紹介だけじゃ売れないから、ちゃんと顧客の課題を聞いた方がいいよ」
「ルートセールスは直行直帰が多くて上司が指導できないっていう会社もあるから聞いてみな」

顧客に訪問して戻ってきたAさんは
「相手が総務の人なので知らないって言われてしまって……」

上司
「総務の人じゃ知らないよね、それならしょうがない」

Aさんと顧客のやりとりを聞いてみました。

Aさん
「営業部さんの方で何か課題があれば提案させていただきたいのですが、何かありませんか?」

顧客
「今とのところ営業部から要望がきてないから分からないなあ」

Aさん
「小売り向けの営業の場合、お店を頻繁に訪問するので直行直帰している人が多いようなのですが、御社の営業の人はいかがですか?」

顧客
「うーん、営業部と関わらないから知らないんだけど、どうなのかな……」

Aさん
「そうですか、営業の人は外出が多くて上司が指導しにくいというような話って聞いたりしませんか?」

顧客
「聞いたことないな、営業のことは分からないんですよ」

総務の人は本当に営業のことを知らないのでしょうか?

たしかに、詳しいことや正確なことは知らないかもしない……

ただ、営業部にも知り合いはいるでしょうし、飲みに行ったこともあるでしょう。
毎月の会議で営業部の状況も聞いているでしょう。
同じビルで働いていれば営業部で働いている人たちを見たこともあるでしょう。

入社したばかりならともかく何年か働いていれば、営業が「お店を頻繁に訪問している」ことや「直行直帰が多い」ことぐらいはなんとなく知っているでしょう。そして「上司が指導しにくい」ことぐらい想像できるでしょう。

では、なぜ「知らない」と言われてしまったのでしょう?

答え……顧客に質問しているから。

質問という聞き方は、相手に自分の質問を意識させながら返答させてしまいます。
その結果、

  • 意図(提案したいという意図)を感じさせ、答えて良いか否かを考えさせてしまう
  • 質問に対し(質問の範囲)で返答しようとさせ、幅広い情報を収集しにくい
  • ちゃんと答えないといけないという意識にさせ、「なんとなく」という漠然とした情報、「おそらく」という多少あいまいな情報を収集できない

対して、雑談という聞き方は、意識させずにさまざまな情報について話をさせることができます。
つまり、相手に質問の意図や範囲、返答の正確性を意識させず自由に話をさせることができ、そのため、深層的な情報、幅広い情報、漠然とした情報を収集することができるのです。

顧客の情報があれば適正な営業方法を考えることができます。
しかし、必要な情報に対して直接的な質問で収集できる情報は限られます。課題や予算、計画、競合、裏事情……。

必要な情報や聞き出したいことは質問でなく雑談で収集しましょう。

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次回は8月21日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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