ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第50回 顧客を知る…「知っている人に聞く」が一番早い
営業現場では、情報が大切と言いながら共有できていない、情報収集に時間をかけていない。なぜでしょう? 営業が収集した情報の大半が頭の中にあり整理されていないからです。今回はその整理されていない情報の共有についてお話しします。
顧客を知る…「知っている人に聞く」が一番早い
営業には情報が大切、情報が必要……これは誰もが分かっていることでしょう。
しかし、営業組織をみていると情報収集に時間をかけている人は少ない……
情報が大切、必要と分かっているのになぜでしょう?
会社として、組織としても、営業管理システムを導入して情報を共有しようとしたり、毎月メールで成功事例などの情報を配信したり、ミーティングで案件情報を共有しようとしたりしているのになぜ?
答え……
情報が大切、必要と言っているわりには情報の収集、共有に手を抜いているから。
マネージャーAさんが営業担当Bさんに指導していた時のことです。
「同業の〇〇社に提案したCさんにどんな課題があったか聞いておくように指示たけど、どうだった?」
営業担当Bさん
「聞いたんですけど、あまり役立ちそうな情報がなくて……」
マネージャーAさん
「Cさんは何度か提案していたから情報はあるはずだけど」
「どうやって聞いたの?」
するとBさんはCさんに送ったメールを見せてきました。
Bさんのメール
Cさん
お疲れ様です。営業1課のBです。
来週、食品業界の△△社に訪問することになりました。
以前Cさんは食品業界の〇〇社に提案していたと思うのですが、その時に収集した〇〇社の課題や状況などの情報を教えていただけますでしょうか?
△△社はスマートフォンの購入を検討している顧客で大いに可能性がある顧客なので、同業他社の情報で何か参考になる情報がありましたら事前に把握して訪問したいと思っております。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
Cさんからの返信メール
Bさん
お疲れ様です。営業3課のCです。
〇〇社の提案は3年前で参考になるか分かりませんが送ります。
スマートフォンの提案をしたのですが、予算が取れないとのことで失注になりました。
それまでは個人の携帯電話を使わせていたのですが、セキュリティ面と業務使用分の通信費の精算の問題により会社でスマートフォンを支給しようと検討していました。
当時の状況
営業社員の人数は約100名
スマートフォンの用途:
- 顧客との連絡(電話、メール)
- 上司と部下の連絡(電話、メール)
結局、予算が取れないとのことで個人携帯をそのまま使わせることになりました。
また、何かありましたらご協力しますのでご連絡ください。
△△社との商談頑張ってください。
皆さんは、このBさんとCさんのメールのやりとりを見てどのように思いますか?
たしかに、Bさんは○○社の課題や状況を教えてもらおうとしている……
そして、Cさんは知っている情報を教えようとしている……
しかし、スマートフォンの提案として「セキュリティ面と業務使用分の通信費の精算の問題」という課題や「顧客との連絡、上司と部下の連絡(電話、メール)」という用途は一般論であまり役に立たない。
「営業社員の人数は約100名」という状況も△△社の商談には役に立たない。
メールや営業管理システムでの情報共有も有効であり必要でもあります。
しかし、メールに記載したり、営業管理システムに登録したりするためには、情報が整理されていなければなりません。
では、営業が顧客から収集した情報はいかがでしょうか?
ほとんどが、
- 営業社員の頭の中にある
- 顧客との商談中または商談後にメモをしているが整理されていない
明確に記憶し管理されている情報はほんの一部でしかなく、ほとんどは頭の中にある整理されていない情報であり、この情報こそが営業活動にとって有意義なのです。
この頭の中にある整理されていない膨大な量の情報を活用するためには「直接聞きに行く」が一番早いのです。
営業の仕事の中で情報収集は優先順位の高い仕事です。
情報を持っているか否かで成果が変わってしまうのです。
知っていると顧客と会話ができる、知らないと会話ができない。
知っていると提案できる、知らないと提案できない。
知っていると事前にリスクを把握できる、知らないと把握できない。
知っていると対策を考えられる、知らないと考えられない。
労を惜しまず知っている人に聞きに行きましょう。
詳細や改善方法は……
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次回は7月18日(火)更新予定です。
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