第86回 オンライン商談では顧客を想像して資料を準備する

顧客に訪問できない、アポイントがとれない、Web会議で商談したけれどうまくいかない。在宅勤務や外出自粛により顧客訪問ができず悩んでいる人が多いことでしょう。表情や反応が分かりにくい、空間や場の空気が使えないというオンライン営業はやり方を変えなければなりません。今回はオンライン営業のやり方についてお話しします。

オンライン商談では顧客を想像して資料を準備する

「お客さんに訪問できないので、Web会議を使ってオンラインでの商談をやらないといけない」

緊急事態宣言が解除されましたが、この状況はしばらく続くでしょう。
また、多くの企業がテレワークを経験し、働き方改革も進めていく状況では、全て今までどおりの訪問営業ではなく、オンラインでの営業も必要になっていくでしょう。

しかし、訪問したときの商談と勝手が違いオンラインでの商談はやりにくい、うまくいかない……。

と感じている営業は多いのではないでしょうか。

今回は、営業の立場ではなく、顧客の立場でオンライン商談を考えてみましょう。

顧客の立場からみたオンライン商談事例

先日、オンラインで人事管理システムの営業の人から商品説明を受けることになりました。

自宅のデスクトップパソコンで、メールに届いたWeb会議システムのURLをクリックすると、画面に営業の人の顔が映り商談がスタート。少し茶髪で赤いネクタイと紺のスーツを着た30歳前後の男性の営業担当者でした。

皆さんも顧客になったつもりで、オンライン商談のシーンを想像しながら読んでください。

商談が始まり、軽くあいさつした後に……、

営業担当者が「それでは、当社の人事管理システム〇〇のご説明をさせていただきますと……」と言って説明を始めました。

画面に大きくパワーポイントの資料が表示され、営業担当者の顔は右上の小さい枠の中に映っていました。

表紙には『株式会社〇〇〇 人事管理システム〇〇のご紹介』

営業担当者が表紙をめくると『株式会社〇〇〇 会社概要』

「まず、当社の説明をさせていただきますと、設立は……、事業内容は、人事領域の中でコンサルティング事業として……、システム開発事業として……、パッケージソリューション事業として……、もともと、大手△△△社の子会社として設立し……、
……人事領域のコンサルティング~システム構築、運用までを総合的に提供している会社です」(ここまで5分ぐらい)

そして、営業担当者は
「それでは、当社の人事管理システム〇〇をご紹介させていただきます」と言ってページをめくると『〇〇の導入先企業一覧』
「主に、人材系や広告系の企業様が多いのですが、導入企業としてはA社やB社……、大手企業様にも多く導入していただき……」

導入先企業一覧のページをめくると『人事管理システム〇〇の特徴』

「主な特徴は2点ありまして」

「1点目が、雇用形態の多様性に柔軟に対応できる点として……」

そして次のページで

「2点目が、従業員がスマートフォンから勤怠を申請でき、最近ですとテレワークを進めている企業様が……」

特徴のページをめくると『〇〇の構成と機能』

一通りシステム構成や機能の説明を聞き、次のページに移ると『〇〇の画面構成』そこには、パソコンに表示されたシステム画面の写真が左右に二つ並んでいました。

「次に画面構成をお見せしますと」
「管理者が従業員データなどを登録する画面は……」

そして次のページでは、同じようにシステム画面の写真が二つ並んでいて

「従業員が登録する画面は……」

そして最後の『〇〇の料金表』のページを見せながら

「料金体系は、従業員数別に分かれていて……」

15ページの資料の説明を30分ぐらい掛けて一通り聞きました。

そして、営業担当者は「何かご質問はありますでしょうか?」

顧客はとりあえず、「人事異動時の従業員マスターの変更や従業員の職務履歴はどのように管理できるんですか?」

すると、資料がなかったため、営業担当者は右上の小さい枠の中から口頭で。

「人事異動や組織変更のときは、組織管理画面がありまして、その管理画面上で……」
「職務履歴に関しては……」

そして最後に
「これだけの機能がそろっているシステムとしては低価格だと思うのですが、いかがでしょうか?」

オンライン商談で注意する点とは

ここで、皆さんに問題です。
顧客はこの商談でどのように感じたのでしょうか?

長い、疲れた、よく分からない。

訪問商談と比べオンライン商談は……。

  • 場の空気や空間を使いにくい
  • 相手の表情や反応が分かりにくい
  • 自分の表情・身振り・手振りを使いにくい

このオンライン商談は、営業にとってやりにくさがあると思いますが、顧客にとっても受けにくさがあります。

訪問営業は、資料や営業の表情、身振りや手振り、会議室という空間や営業との空気間などさまざまなものを見て、感じながら説明を聞くことができます。
しかし、オンライン商談では、パソコンに映っている画面と表情が分かりにくい小さく映った自分の顔だけ……。

30分間も同じものをずっと見ていなくてはならない……当然、飽きる。そして、疲れる。

また、資料がなければ音声だけを聞いている状況です。
人は通常、音声を聞くという聴覚以外に、表情、身振りや手振りを見るという視覚も含めて理解しています(相手に伝える情報の中で、音声以外の表情やしぐさが55%を占めるという見解もあります)。

しかし、オンライン商談の右上に映った顔の表情、身振りや手振りは小さく伝わりにくい……。
そのため、顧客は視覚をあまり使えず、音声による聴覚だけで理解することになります。当然、理解度も落ちてしまいます。

そして、当たり前のことですが、人は興味があると一生懸命に聞こうとし、逆に興味がないことは集中して聞こうとしない。

訪問商談のときは、相手の表情が見えるため興味の度合いを感じながら説明することができます。
しかし、オンライン商談の小さく映った相手の顔の表情だけでは、相手の興味の度合いや反応が分かりにくい。
そのため、興味や反応に合わせることができず変化のない一遍通りの説明になってしまう……。

顧客視点で商談方法を組み立てる

営業では、顧客の立場で考えるという顧客視点は大切です。
しかし、オンライン商談は、相手の表情や反応が分かりにくい。

顧客視点が大切な営業において、表情や反応が分かりにくい商談で最も大切なことは顧客を想像することです。

  • 顧客は、分かりやすいだろうか?
  • 顧客は、どこに興味を持つのだろうか?
  • 顧客は、どうしたら興味を持つだろうか?
  • 顧客は、つまらなくないだろうか?

そして、どうしたらよいのだろうか?

  • 分かりやすいように、説明や質問は資料を使う
  • 飽きさせないように、資料で変化をつける
  • 飽きさせないように、説明を短くする
  • 反応を把握するために、確認しながら説明する
  • そして、興味を持ってもらえる資料を準備する

顧客を想像し「どうしたらよいか」を考えると、パソコンの画面しか使えないオンライン商談、パソコンの画面を使えるオンライン商談では、資料を有効に活用しようとするはずです。

オンライン営業のやり方は……
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次回は7月20日(月)更新予定です。

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リリース情報 2020年5月18日

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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