第87回 話し方の改善なくして説得力の強化はありえない

話が長い、分かりにくい、何が言いたいのか分からない……話し方で説得力は変わります。顧客とのコミュニケーションで成り立つ営業にとって大切なこと。しかし「話し方は変えられない」と諦めている、「意識する、気をつける」ばかりで変わらない。営業力を身につけるために話し方の改善は必須です。今回は営業で最も大切な話し方の改善についてお話しします。

話し方の改善なくして説得力の強化はありえない

話し方やコミュニケーションの改善に取り組んでいますか?

商品説明、プレゼンテーション、交渉、提案書や各種説得資料……。話し方や表現方法で、顧客が理解する内容や理解度、印象が変わります。

話が長い、まわりくどい、分かりにくい、何が言いたいのか分からない、単調で印象に残らない……。全て営業活動に影響してしまいます。

話し方・表現方法の比較例

次の二つの説明を比較してみてください。

営業担当者AさんとBさんが上司に顧客との商談を報告していました。

Aさん

先ほど〇〇社に訪問してきたんですけれど、昨年に新規事業を立ち上げたので五人も社員を採用したようなのですが、採用したのは若い人が多くて教育が必要だったのに、新規事業の立ち上げで忙しくて面倒を見られなくて、1年で三人も辞めてしまったようです。採用する人材像を変えるか、人事部がちゃんと教育してくれないと、といって担当者も悩んでいたんですが、新規事業で若手をマネジメントするのは難しいみたいで、退職したうちの一人は入社2カ月で辞めてしまったらしいんですが、辞めるときに揉めたらしく大変だったようです。
ただ、新規事業を進めるには人が足りないので人事部と相談して採用活動は継続するようです。

Bさん

先ほど〇〇社に訪問してきたんですけれど、採用活動は継続するようです。ただ、人材像と人事部の教育、この2点を変える可能性があります。昨年採用した若手社員五人のうち三人が辞めてしまったようですが、理由は新規事業の立ち上げで面倒を見られなかったことらしいです。とはいっても、新規事業を進めるには人が足りないので、採用する人材像を変えるか、人事部の教育を改善するかを人事部と相談するようです。
余談ですけど、退職者のうちの一人は入社2カ月で辞めて、退職するときに揉めて大変だったようです。

AさんとBさんの説明を聞いたときに、何を理解し、どのような印象を持ちますか?

Aさんの場合は、
採用活動を継続することはなんとなく理解できますが、他に何が重要なのかがよく分からない。また、新規事業で忙しいのに若手の新入社員が辞めてしまって大変という印象ばかりが残ります。

対して、Bさんの場合、
採用活動の継続と同様に人材像と人事部の教育を変えるということが重要な情報と理解でき、人材像と人事部の教育を変える理由も理解できます。また、新規事業を進めるために人が足りず採用しないといけないという印象が残ります。

AさんとBさんは同じことを言っています。同じことを言っていても、話し方や話す順番で伝わる内容や印象が変わってしまいます。

話し方や表現方法は改善できる!?

営業は、話し方や話す順番、資料の表現方法によって成果の変わる仕事です。顧客が理解する内容や理解度、収集できる情報、顧客との関係が変わり、その結果、営業成果も変わります。

当たり前なことですが、話し方や表現方法は営業にとって非常に重要な要素です。

しかし、なかなか変えられない、改善できない……。「話し方は長年積み上げてきたものなので変えられない」と営業責任者や上司、営業担当者、多くの人が諦めてしまっています。

そんなことはありません。変えられます。

みなさんは、今の話し方をどうやって身につけてきましたか?

おそらくほとんどの人が勉強して身につけてきたものではなく、子供の頃から何度も何度も経験し自然に身につけたもの。つまり習慣や癖(くせ)のようなものです。

話し方が習慣や癖であれば変えられるのです。子供の頃だけでなく、社会人になってからも変えられるのです。

適正な「型」を習慣化する

業界や部署によって話し方が似る傾向があります。

小売業界の人と製薬会社の人は、使っている言葉や話し方の傾向が異なります。また、経営企画部の人、技術部の人、営業部の人では言葉や話し方の傾向が異なります。

業界や部署が変われば話し方が異なるということは、業界や部署の中では話し方が似ているということです。同じ話し方の人を集めているわけではないのになぜ似ているのでしょう?

環境や仕事内容により業界や部署でよく使う言葉や話し方に継続的に触れ、自らもその言葉や話し方を継続的に使うようになり、社会人になってからでも自然と身につくのです。

つまり、一定期間継続することで話し方という習慣や癖が身につくのです。そして、今と異なる話し方を一定期間継続し改善するためには、適正な話し方の型と第三者による継続的なチェックが必要です。習慣や癖は「意識する、気をつける」や「分かりやすく説明しろ」という場当たり的な指導では治りません。

自然に無意識に行っている習慣や癖である話し方を改善することは、容易なことではありません。

しかし、顧客とのコミュニケーションで成り立つ営業という仕事において、相手に伝える手段である話し方は、全ての営業活動の基盤です。

商品や提案を理解させる力、顧客から情報を聞き出す力、価格や条件などの交渉力を上げることもできます。逆に、いくら良い提案を考えても、情報を聞き出すシナリオを考えても、交渉方法を考えても、話し方が悪ければうまくいきません。

この営業活動の基盤である話し方を身につけることや改善することを諦めるということは、営業力を諦めることと同じです。

営業力を身につけたいのであれば話し方を改善しましょう。そのために、「意識する、気をつける」や「分かりやすく説明しろ」ではなく、適正な型を作り習慣化するまで徹底しましょう。

習慣化し改善するまでしばらくは苦労しますが、その後、営業活動が楽になり売り上げも上がってくることでしょう。

説得力を強化するために話し方を改善する方法は……
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

次回は8月17日(月)更新予定です。

今月の3択クイズ(営業のクイズ)

顧客との関係

新規のお客さんにアポイントがとれたので訪問。今は検討していないけれど先々のために聞いておきたいとのこと。先々のために関係を作りたい。
……さあ、どうする?

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リリース情報 2020年5月18日

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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