第64回 攻める営業を実現するためには背景の情報にこだわる

待ち受け型営業から戦略営業や攻める営業に変えようと苦労している企業が多い……。攻める営業には、攻め方を考えるためのさまざまな情報が必要です。しかし「うちの営業はお客さんがヒントを言ってくれても気づかない」という悩みをよく聞きます。実は、聞いているのに関係ないと思っている情報が多いのです。今回は、攻める営業を実現するための情報の活用についてご紹介します。

攻める営業を実現するためには背景の情報にこだわる

顧客と商談で1時間会話をしているとさまざまな情報を聞いているはずです。1時間も会話しているのですから……。

しかし……
「うちの営業はお客さんがヒントを言ってくれても気づかない」
「お客さんがニーズにつながる話をしてくれているのに気づかない」
よく営業責任者からこのようなことを相談されます。

なぜ、気づかないのでしょう?

下の営業担当Aさんと上司の会話からAさんの営業の問題点を考えてみてください。

Aさんが、営業管理システムの商談から帰ってきて、上司に報告していたときのことです。

Aさん
「ニーズがなかったのでダメでした」

上司
「なんで?」

Aさん
「ちょっと前にマネージャーの指導力強化のために検討していたようなんですが、やめたみたいです」
「以前、営業管理システムを導入したときに、営業担当が入力しなくて逆に情報共有しなくなってしまった」
「営業部内のコミュニケーションに問題があったので、営業管理システムでなく携帯で直接電話して情報共有しながら指導をさせることを重視しているみたいです」

上司
「そうなんだ、他に何か言っていた?」

Aさん
「マネージャー1人に対して部下が5人程度だから十分指導できているようです」

上司
「他に聞けたことは?」

Aさん
「そのぐらいです」

上司
「それだけってことはないだろう、1時間も顧客と会話しているんだから」

Aさん
「あと何か言っていたかな……、あっ、ここ2年ぐらい業績が良くないみたいです」
「だから予算をとりにくいって言っていました」

上司
「なんで業績が良くないの?」

Aさん
「競合他社が価格の安い商品を出してきたので負けてしまうみたいです」

上司
「そうなんだ、〇〇業界も大変だな。他には?」

Aさん
「それに、昨年リリースした新商品の提案ができていないみたいです」
「もともと、物販の営業だったので提案に慣れていないみたいで」
「関西エリアはマネージャーの提案スキルが高いので売れているみたいですけど……」

上司
「でも、マネージャーだけが提案しているわけじゃないだろう? 関西エリアの営業担当も提案できているの?」

Aさん
「さあ、聞いていないですけど、そうなんじゃないですか」

上司
「関西エリアで提案できているのに、なんで他のエリアはできていないの?」

Aさん
「聞きませんでした」

上司
「関西エリアの提案書や提案のやり方は他のエリアと共有しているのかな?」

Aさん
「聞いていないですけど、共有していないんじゃないですか。他のエリアは提案できていないって言っているので……」

上司
「そうしたら、マネージャーの指導力強化じゃなくて、エリア間の営業情報の共有とか、提案書や提案方法を共有するための営業管理システムと提案したら検討してもらえたんじゃない?」

なぜ、Aさんは「エリア間の営業情報の共有とか、提案書や提案方法を共有するための営業管理システム」と提案できなかったのでしょうか?

Aさんの営業は……

前半の部分の「検討していたがやめた」「携帯で情報共有や指導」「予算をとりにくい」といった営業管理システムの受注に直結する情報ばかり意識し、その直結する情報だけで判断してしまっています。

そして、後半の部分の「競合に価格で負ける」「新商品を提案できない」「関西エリアは売れている」という営業管理システムの受注に直結しない情報を気にとめず流してしまっています。
上司への報告で忘れてしまって思い出しながら話しているぐらいですから……。

つまり、受注に直結する情報ばかり意識し、一見すると関係ないと思われる直結しない情報は気にとめず流してしまっています。

しかし、一見すると関係ないと思われる受注に直結しない後半の情報は「エリア間の営業情報の共有とか、提案書や提案方法の共有するための営業管理システム」というニーズや提案につながる背景の情報です。
後半の情報を重視し突っ込んでいれば、ニーズを発掘でき提案につながったかもしれないのです。

顧客から「検討している」「商品がニーズと合っている」「予算がある」といった受注に直結する情報を聞けるのであれば、単にニーズに合った商品を紹介するだけでよいでしょう。

最近、攻める営業に変えよう、強化しようとしている企業が多いのですが「検討していない」「ニーズに合っていない」「予算がない」という顧客が多いので、顧客を分析し、攻め方(対策)を考えるという、攻める営業が必要になるのです。

この顧客を分析するための情報、攻め方を考えるための情報は、受注に直結する情報の中にはありません。一見すると関係ないと思われる背景の情報の中にあるのです。
一見すると関係ないと思われる背景の情報の中に、顧客を攻めるためのヒントが隠されているのです。

攻める営業を実現するためには、受注に直結する情報でなく、ニーズや予算、決裁者とは一見すると関係ないと思われる背景の情報にこだわりましょう。

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次回は9月18日(火)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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