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第3回 マイナンバー制度、かしこいITの使い方
2016年1月よりマイナンバー制度が開始します。
制度開始までの期間に準備すべきことについてはコラムの第1回、第2回で取り上げました。やるべきことはたくさんあり、担当者には頭が痛い問題です。
何とかして、作業量を減らしたい……という事務担当の方たちからのお話しを受け、今回は、「マイナンバー制度、かしこいITの使い方」と題して基幹・情報系システム開発元、株式会社OSK 執行役員 石井ふみ子氏に聞きました。
バックナンバーもあわせてご覧ください。
マイナンバー制度に対応するために、さまざまな準備が必要なことは分かりました。でも、いろいろやることが多すぎて、業務担当者の方は大変ですよね!
業務担当者の方々は制度開始前の準備から、開始後も今までと比べ業務負荷が増えることが予想されます。ですから、少しでも業務量を減らすために、ぜひ、「ITが得意な業務はITに任せ」「ITをかしこく使って」いただくことをおススメします。
ITに得意な業務とは何でしょうか?
「繰り返し同じ手順を実行すること」です。
当シリーズの第2回で北條先生も解説されていましたが、マイナンバー制度対応では、個人番号に関係する業務を洗い出し、それに対して対策をほどこす必要があります。
例えば、源泉徴収票を作成する事務の場合、従業員から提出された書類等を取りまとめる方法として「従業員へ申告書を配布」 → 「従業員から申告書と添付書類を回収」 → 「従業員の個人番号と本人確認の書類を照合」……のように事務フローに即して手続きを明確化することが求められます。
各業務ステップで担当者を分けていたり、業務完了までに時間が掛かったりする場合は、抜けや漏れが心配ですし、事務フロー全体を理解している事務担当者が変更になったときは引き継ぎも大変です。
このようなケースでは、「業務フローをシステム化することで次工程をガイダンスしてくれる」、「作業進捗が共有できる」、ような仕組みを導入すれば、不安なく業務を進められます。
なるほど!業務フローをシステム化することでミスも減り、効率化が図れますね!
では、そのほかにITに向いている業務は何でしょう?
「記録を残す」ということもITの得意分野です。
マイナンバー制度では、「特定個人情報等の取扱状況を確認するための記録等」を用意しなければなりません。「取扱記録簿」のノートを作り、個人番号などを取り扱うたびに記載していくこともできますが、大変煩雑で、記入漏れも起りやすいです。そこで、個人番号事務を完了すると自動的に記録を残すというシステムを活用するという方法もあります。
また、今年10月以降順次、マイナンバーが通知されますが、それまでに全従業員や事務担当者の教育を済ませることが必要です。eラーニングシステムを活用し、「誰が、いつ、受講したか」の受講履歴を取ることで、確実に未受講者が分かります。
このように確実に記録を取ることで、有事の際には企業の取り組みを対外的に示せるような体制をとることも非常に重要なことです。
なるほど!システム化されていなければ、業務日誌を手書きしなければならない。それが無くなるだけでもかなり担当者の負担が減りますね!
「常に最新の情報を関係者が共有できる」ということもIT活用の強みです。
社内文書、契約書、業務フローなど、マイナンバー制度導入にともない、新規に作成したり、変更したりする文書はたくさんあります。ファイルサーバーで文書を共有している場合、これらの最新版がどれなのかすぐに分からないというケースをよく聞きます。文書等の管理をIT化することで、このような悩みも解決できます。
マイナンバー制度導入にともない、マイナンバーに関わる事務担当者の方々の業務負担が大きくなることが予想されます。
- 業務負荷が大きくなりそうなところはどこなのか
- 負荷が大きくなる部分をITで解決できないか
などを検討し、「かしこくITを使い」事務担当者の方が疲れきってしまわれないように、この難局を乗り切りましょう!
ITを活用して、少しでも負荷を軽減できるよう、私たちもみなさまのお役に立ちたいと考えています。ぜひ、ご相談ください!
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