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ApaRevo 活用コラム
フルオーダーからApaRevoへの移行
今回は、フルオーダーから「ApaRevo」への移行についてご紹介します。
フルオーダーからApaRevoへの移行
株式会社大塚商会
首都圏ソリューショングループ
ASCアパレル・旅行SPソリューション課
森 浩和
フルオーダーメードのシステムか「ApaRevo」への入れ替えを久々に経験しました。あらためて感じたことをお伝えしたいと思います。
「ApaRevo」への入れ替えを決定したのは以下のような背景によるものです。
- 呉服事業に加え、アパレル、生地、ジュエリーの4事業を行っており、それぞれの事業に特化したオーダーメードシステムを開発・運用してきた
- 自社のSE二人で運用・開発を行ってきたが、要員の世代交代が進まず将来の体制に不安を感じていた
- 4事業のうち、アパレル事業はいわゆるアパレル業向けのパッケージソフトの情報が多いため、既成のパッケージソフトへの入れ替えが比較的容易にできる可能性があった
自社にとって初めてのパッケージソフト導入は、まずアパレル事業で行ってみようということになり、情報収集の結果アパレル業への導入実績が豊富な「ApaRevo」が選定されました。
「ApaRevo」の導入にあたり以下のような方針が決定され、プロジェクトが周知されました。
- 既存のオーダーシステムとのギャップを埋めるのではなく、基本的に「ApaRevo」に運用を合わせる
- 顧客サービスの観点より、どうしても必要な要件に絞ってカスタイマイズを行う
- 独自の視点により構築してきた社内評価を取りやめる
これらの方針により、必要最低限の要件に絞りカスタイマイズを行ったのち、システム教育・テスト稼働と導入準備を進めていったところ、現場から200項目を超える改善要望が挙げられました。一時は稼働を延期してでも改善要望を取り入れることを検討せざるを得ない状況かと思えました。しかし、結果的にプロジェクトオーナーの「数カ月の期間をかけて改善要望を取り入れたとしても、既存のオーダーシステムとの機能差は歴然としている。予定通り稼働する」という判断の基、なかば強引に本稼働させることとなりました。
私は「これで無事に本稼働できるのか」という強い危惧を抱きましたが、結果的に大きな支障なく立ち上げることができました。少なくとも取引先へのサービスにはほとんど影響を与えることはありませんでした。それを支えるために必要となったバックアップ作業に現場の皆様が不平も言わず、対応していただいたことが成功の要因であったと感じています。
極めて定性的な観点になりますが、風通しの良い雰囲気で社員同士が言いたいことを言い合える社風であったことが、批判に走らず現場の協力を得られることにつながったと思います。
結果的には大過なく「ApaRevo」を立ち上げることができましたが、導入プロセスには反省すべき点があります。
1.業務の洗い出しの深さが十分でなかった
業務範囲の洗い出しに大きな欠落はなかったものの、現行システムの仕様にかかわる部分の洗い出しが不十分であった。もっと社内SEのプロジェクトへの参画を求めることで回避できたと反省しています。
2.プロジェクトオーナーの判断に甘えてしまった
現行システムと「ApaRevo」のギャップへの対応について、プロジェクトオーナーがドラスチックに切り捨てる判断を行った。中には切り捨てて大丈夫かという要件もあったが、プロジェクトオーナーの判断であったし、いいかとの思いもあって、現場へのフィードバックが十分ではなかった。そのため、現場が消化しきれない状態で不安を感じたまま本稼働に突入してしまった。現場へのフィードバックを徹底することで、稼働への不安を軽減すべきであったと反省しています。
最終的には大過なく「ApaRevo」へ切り替えることができましたが、ギャップを前提にしたパッケージソフト導入を安心して進めることの難しさを再認識したプロジェクトでした。
[SE]2023年5月9日