第28回 Society 5.0

Society 5.0、それは、いつもの毎日にやってくる、半歩先の未来。「データがヒトを豊かにする社会」を実現するには、データの信ぴょう性を確認できる仕組みづくりが求められます。

Society 5.0

Society 5.0とは

「Society 5.0」は 内閣の総合科学技術・イノベーション会議で
2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」の中に書かれています。

科学技術基本計画(内閣府Webサイト)

この基本計画は 、2016年度からの5年間の科学技術政策の指針が示されておりSociety 5.0は、将来像をイメージするために創造された言葉ですね。

第2章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組 (2)世界に先駆けた「超スマート社会」の実現(Society 5.0)

ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」を未来社会の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を更に深化させつつ「Society 5.0」として強力に推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現していく。

超スマート社会とは、
「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会。」

(第5期科学技術基本計画)

科学技術基本計画(内閣府Webサイト;PDF[513.91KB])

具体的なイメージが浮かぶ ように、ムービーも作成されています。

Society 5.0(政府広報Webサイト)

「それは、いつもの毎日にやってくる、半歩先の未来。」なかなか良いキャッチフレーズだと思いませんか。

なぜ5.0?

人類が誕生してからこれまでの人間社会の4段階の変遷、
狩猟社会 ~ 農耕社会 ~ 工業社会 ~ 情報社会。
その次、あらたな半歩先の未来社会としての5番目の社会
そして、それは、科学技術の発展すなわち「産業革命」によりドラスティックに変革してきた新しい社会
蒸気機関による第1次産業革命、電力による第2次産業革命、コンピューターによる第3次産業革命。
そして、今まさに始まっているIoT、AIといったデジタルデータの活用による第4次産業革命を経て創造される5番目の新しい社会。
さまざまな変遷を経て、大きく変換の始まる5番目の“5”です。

“5”という数字は 、新しい、変革、成功 のイメージがあります。
徳川5代将軍の綱吉は、 武断政治から文治政治へ大変革を実施しました。
シャネルの5番、オートクチュールデザイナーのココ・シャネルが最初に出した香水ですね。
ベートーヴェンの交響曲5番は「運命」、ショスタコーヴィチの交響曲5番は「革命」。
そして、SEIKOファイブ……。
第“5”期科学技術基本計画で提言された、これから目指す新しい社会をイメージするには縁起の良い数字ですね。

「超スマート社会」って、どんな社会

さて、Society 5.0 「超スマート社会」とは、 いったいどんな社会になるのでしょう?
ムービーでは、現状の近未来ということで、身近な世界で大変分かりやすく描かれています。

第3次産業革命で登場したコンピューターは、ありとあらゆる装置に内蔵され、それらの機器が、さまざまな膨大なデータを吐き出し、空間を超えて瞬時にやりとりされ、コンピューター処理によって最適化されて必要な情報を提供してくれる社会が訪れるのです。

Hey Siri! OK Google! の世界
いつでもどこでも必要な情報が、最適化されて簡単に入手できてしまう、とても素敵な社会です。
まさに、「データがヒトを豊かにする社会」ですね。

今はまだ、未熟な世界ですが、データはさまざまな状況・環境からどしどしと吐き出され集約されているのです。
人間が直接指示しなくても、モノ間で勝手にデータをやりとりすることがまさに始まっているのです。

あらゆるものが瞬時に結び付き、時空を超えて相互に影響を及ぼしあい、効率的で新しい価値創造がされる社会、それが「超スマート社会」なのだと思います。

情報の信頼視点でのSocietyの変遷

一方で、ここで流通されるビッグデータ が、悪意をもってねつ造・改ざん・削除などの操作をされたら大変なことになります。
膨大なモノ・ヒト・サービスで、さまざまな接続による情報流通が行われるのですから、途方もない量のデータとなります。そしてそれらのデータが撹拌されて、、、、、
何がオリジナルで何が正しいのか、イメージしてみてください。 何を信じたらよいか、落ち着いていられませんね。

データの確からしさを知るには、データの根っこを抑えないといけません。
データが生成・転送される段階で、その信頼性を担保することが肝要になります。
つながる相手が信用できるのか? つながる相手に信用してもらえるか?
セキュリティへの対応や、取り扱うデータのルールを産業・国境を越えて整備しなくてはいけませんね。

社会は、お互いの信頼関係のうえで 成立しています。

信頼関係についての筆者の考えは、これまで、

第21回 フェイクニュース・加計問題で思うこと

で「トラストおよびトラスト基盤 」

について

第23回 コトバと文字、そして「書き記す」ということ

で「インターネット時代のトラスト 」

について 書きました。

今回は、Society 1.0からSociety 5.0、これまでの社会変遷における信頼の変遷を筆者なりに整理しようと思います。

状態、思い、判断といった情報は、ヒトが発信するもので、その伝達は声から文字へと移行してきました。
第1次産業革命で、鉄道、郵便により移動時間が短縮され、第2次産業革命において、電気の力で遠方へ(Tele)の伝達時間そのものを克服し (TeleGraph、TelePhone、TeleVision)、第3次産業革命では、デジタルの力で伝達される情報は文字からデータとなり、その量はべらぼうに増大し、あっという間に世界中に伝達できるようになり、TeleWorkがストレスなく実現できるようになりました。

Society5.0を実現するには

第4次産業革命では、ヒトに限らず、機械がデータを吐き出し、機械が判断する、科学技術の大変革です。
お互いの信頼関係を、ヒトに限らず、機械間でも確認する必要があります。
そして、信頼されたデータと信頼できないデータの判別を機械が確実に実行することが、Society 5.0を実現するために科学技術につきつけられた克服しなくてはならない課題であり、コトの尺度である「信頼の時」の役割はますます重要になると思います。

Society5.0の実現には、情報の取り扱いという大きな課題もあります。
わが国では、憲法で「通信の秘密」が保証されています。EUでは、大変厳しい罰則のある規則GDPR (一般データ保護規則) が5月25日に施行されました。 国境・産業を越えて統一したポリシーでのガバナンスが今後、どのように社会制度として発展していくか、
法律の整備や実際のシステム運用につきつけられた課題です。

第4次産業革命を経て実現されるであろう、「データがヒトを豊かにする社会=超スマート社会」、すなわち“Society 5.0”は、信頼関係の確認手段が、ヒトのみならず機械にも時空を超えて拡大することを意味しており、社会構造が抜本的に変革されることになると筆者は考えています。

次回は7月上旬の更新予定です。

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この記事の著者

セイコーソリューションズ株式会社 DXソリューション本部 担当部長

柴田 孝一

1982年 電気通信大学通信工学科を卒業、株式会社第二精工舎(現セイコーインスツル株式会社)入社
2000年 タイムビジネス事業(クロノトラスト)立ち上げ
2006年 タイムビジネス協議会 (2006年発足時より委員、2011年より企画運営部会長)
2013年 セイコーソリューションズ株式会社の設立と共に移籍
2018年 トラストサービス推進フォーラム(TSF)企画運営部会長
2019年 令和元年「電波の日・情報通信月間」関東情報通信協力会長表彰
     総務省「トラストサービス検討ワーキンググループ」構成員
2020年 総務省「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会」構成員
2021年 内閣官房「トラストに関するワーキングチーム」構成員
2022年 デジタル庁「トラストを確保したDX推進SWG」オブザーバー
     (一社)デジタルトラスト協議会(JDTF)推進部会長
専門分野は、タイムビジネス(TrustedTime)、PKI、情報セキュリティ、トラストサービス
セイコーソリューションズ株式会社

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