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第93回 決裁者との面談は「粗相なく」ではなく「成果」にこだわる
経営者や役員と面談……無難に終えたけど成果は何もない。年末年始や異動のあいさつ、新規案件スタートなど決裁者との面談の機会が、ただの表敬訪問やごあいさつで終わっていませんか? 決裁者や上層部の人と会える機会は、顧客組織に判断させる法人営業にとって大きなチャンスです。今回は決裁者に興味を持たせ、成果を上げる方法についてお話しします。
決裁者との面談は「粗相なく」ではなく「成果」にこだわる
年末年始の表敬訪問で取引先の経営者や役員と面談した。
新規案件がスタートするので取引先の役員があいさつに出てきてくれた。
担当役員が変更になったとのことであいさつの場をもらった。
皆さんは、経営者や役員など決裁者との面談を「粗相なく」や「無難」ではなく、「成果」に結びつけていますか?
取引先との役員面談の事例
ある日、テレアポ代行サービスの営業担当Aさんは、取引先の中堅システム会社○○社の担当者Bさんから営業担当役員の取締役Cさんと面談する機会をもらいました。
「ずいぶん成果を上げてもらっていますので、うちの取締役を紹介しますよ」
そして、担当者Bさん、取締役Cさんと面談し、Bさんから紹介してもらうと……。
取締役Cさん
「いつもお世話になっております。担当のBから御社の成果を聞いています。
当社は、技術力で伸ばしてきた会社なので営業が弱く、特に新規開拓ができていませんので、御社のテレアポ代行サービスは非常に助かっています」
Aさん
「こちらこそ、Bさんにはいつもリストのご準備やスタッフのモチベーションアップ施策など、ご協力いただき感謝しています」
「御社のご協力がアポイント獲得量につながっていると思っています」
Cさん
「テレアポはモチベーションも重要でしょうからね。うちの社員ではやれなくて……」
「御社は、テレアポを中心に支援しているんですか?」
Aさん
「テレアポを支援するケースが多いのですが、その他にもリード顧客の囲い込み支援として……」
「少し、当社の説明をさせていただきます」
会社案内、サービス紹介資料、実績資料を渡し、
「当社は設立15年になるのですが、大手広告代理店△△のCRM専門会社として独立し、……」
「もともと、広告代理店のCRM部門でしたので、アプローチ施策に関する総合的なノウハウを強みに展開しています」
サービス紹介資料を見せながら、
「そのため、テレアポなどを提供するアプローチ支援、リード顧客に対する囲い込み支援の二つの柱で事業を運営しています」
「アプローチ支援は、電話以外にもメールによる……、電話とメールを組み合わせた……」
「囲い込み支援は、メール配信に対する閲覧履歴を収集し……」
Cさん
「テレアポの他にセミナーや展示会の来場者フォローもやっているんですか?」
Aさん
「そうなんです、最近は囲い込み支援の割合が増えていまして」
実績資料を見せながら
「大手食品メーカー様では、会員への新商品紹介やキャンペーンなどのメルマガ配信、また、大手製造装置メーカー様では、展示会の来場者へのお礼メールからアポイントの獲得、メルマガ配信までを支援しています」
「システム会社様の実績が一番多く、テレアポの他にセミナーへの来場促進、リード顧客への新商品のインサイドセールス、その他に……」
Cさん
「当社も、定期的に展示会に出展しているんだけど、営業社員がフォローできてなくて」
「既存顧客の対応で忙しいようで」
Aさん
「そうなんですか、確かに御社の営業の方はお忙しそうですし、展示会のフォローまで手が回らないのでしょう」
「当社では、展示会の来場者フォローの実績も多いので、ぜひお手伝いさせてください」
Cさん
「そうですね、検討する際にはBから相談させていただきますので、その際にはよろしくお願いします」
後日、Aさんは担当者Bさんに聞いてみました。
「あの後、Cさんは何か言っていました?」
Bさん
「何も……」
その後、展示会の来場者フォローの相談はありませんでした。
また、面談後に取引が発展することもなく、取締役Cさんと再び会うこともありませんでした。
せっかく決裁者である取締役に会えたのに……。
相手の重視していることを具体的に考えて話す
ここで問題です。
Aさんは何が良くなかったのでしょうか?
Aさんに取締役Cさんとの面談で意識したことを聞いてみると……。
「細かい説明より会社全体をアピールした方がよいと思い、大手広告代理店△△というバックグラウンドや二つの柱というサービス構成を理解してもらうこと」
「それと、信用してもらえるよう実績の説明を意識し、大手企業との取引をアピールしました」
答え
Aさんは、Cさん個人を見ているのではなく「一般的なお偉いさん」としか見ていないことです。
一見するとAさんが意識したことは良さそうな気がします。
相手が取締役なので「細かい説明より会社全体をアピール、信用してもらえるよう実績の説明」。
しかし、Aさんが説明している内容は、
システム会社でなく、食品メーカーでも製造装置メーカーの取締役だとしても変わらないでしょう。
また、中堅でなく大手企業でも変わりませんし、取締役でなく部長でも同じような説明をするでしょう。
つまり、「細かい説明より会社全体をアピール、信用してもらえるよう実績の説明」は、お偉いさんなら誰でも同じ。
しかし、お偉いさんが興味を持つこと、重視していることは、会社や立場によって異なります。誰でも同じではありません。
中堅システム会社の営業担当役員であるCさんが重視していることは?
中堅システム会社○○社の経営課題を調べてみると
「クラウドやAI、RPAが拡大する中で、ビジネスモデルを変革し新商品の営業を促進する」
すると、営業担当役員である取締役Cさんは「今までのビジネスと異なるため、提案力を強化しなくてはいけない」と営業部の提案力を重視しているかもしれません。
Cさんが重視している「営業部の提案力強化」に合わせて、会社や事業、サービスを説明していたら、もっと興味を持ってもらえていたでしょう。
決裁者や上層部の人と会える機会は、顧客組織に判断させる法人営業にとって大きなチャンスです。
「お偉いさんが同席する」と漠然と考え、「会社全体をアピール」や「信用してもらえるよう実績の説明」……。
この大きなチャンスに「粗相なく」そして「成果もなく」終わらせている営業が多く見受けられます。
一般的なお偉いさんではなく、お偉いさん個人が重視していることを具体的に考え、話しましょう。
そして、この大きなチャンスに「粗相なく」や「無難」ではなく「成果」を上げましょう。
決裁者に興味を持たせ成果を上げる方法は……
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次回は2月15日(月)更新予定です。
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- * セントリーディングHP>News>リリース情報 2020年5月18日