第153回 営業の仮説、対策、企画はラテラルシンキングで視野を広げて考える

営業現場で課題や対策を考えられない大きな原因の一つは視野の狭さです。顧客への提案、営業進捗(しんちょく)の課題や対策、部下の指導方法、営業強化の企画……なかなか考えられずに進まない、改善しない。営業はさまざまなことが影響する仕事。そのため、多角的な視点で考えなくてはなりません。今回は、視野を広げ、さまざまな視点で考えるための方法についてご紹介します。

営業の仮説、対策、企画はラテラルシンキングで視野を広げて考える

今日の営業では、さまざまなことを考えなければならない。
お客さんの課題や提案、営業方法、交渉方法、営業計画の対策、マネジメントや部下の指導……

しかし、お客さんの状況やタイプ、商品の価格や機能、営業の計画や戦略、社内の協力、仕事量や環境……さまざまなことが影響する営業では、適切な解や方法を見つけることは容易ではない。

営業先へ提案のため課題を独自調査

人材紹介会社の営業担当Aさんは、担当しているセント食品の課題を考えようと、セント食品のホームページやIR資料、インターネット検索で市場環境と経営課題を調べました。

市場環境

  • 生活スタイルの変化により高齢者や女性までインスタント食品の顧客層が広がっている
  • 消費者の食に関する健康志向が高まっている

経営課題(1)(全社的経営課題)

健康をテーマにした商品ラインアップを拡充し、若者から高齢者、男性、女性と消費者の需要を総合的にカバーしてシェアを拡大

経営課題(2)(機能別経営課題)

  • 健康をテーマにした商品の販売を強化するために、ドラッグストアの販路を拡大する
  • そして、販路拡大を進めるために営業の提案力を強化する

Aさんは、調べた経営課題からセント食品の採用課題を考えました。
「販路拡大には提案力が重要になるんだろうな」
「そうすると、提案営業の経験者の採用が必要になっているだろう」

そして、セント食品を訪問し考えた課題について話してみました。

Aさん
「健康をテーマにした商品ラインアップを拡充し、ドラッグストアの販路拡大を進めていると思うのですが」
「そうすると、販路拡大の提案力を強化するために、提案営業の経験者の採用が必要と考えたのですが」

すると、セント食品の採用担当者は
「もう10年以上前から、異業種で提案営業経験がある人の採用は進めているんです」
「今までのスーパーマーケットへの営業も提案力は必要ですので」

Aさん
「そうなんですか……」

会社に戻ると、上司から
「提案営業の経験者の採用以外に課題を考えられなかったの?」

Aさん
「だって、セント食品のホームページを見たら経営課題に『営業の提案力を強化する』って書いてあったんです」
「営業社員に対する提案力の教育か、提案営業の経験者の採用しか考えられないじゃないですか」

実は、セント食品では、提案営業の経験者ではなく、マーケティングやデータ分析経験がある人材を採用しようとしていました。
「情報を収集して分析する体制の強化が必要」という課題があったのです。

なぜ、Aさんは、
「情報を収集して分析する体制の強化が必要」という課題を考えられなかったのでしょうか?
「提案営業の経験者の採用が必要」としか課題を考えられなかったのでしょうか?

営業の仕事は、複数の角度(視野)を持って検討することが必要

Aさんはどのように考えたのか、Aさんの頭の中を覗いてみましょう。

Aさんは「販路拡大を進めるために営業の提案力を強化」という経営課題に対して……
なるほど、セント食品では営業の提案力を強化するのか。
→そうすると、「提案営業ができる人を増やさないといけない」
→提案できる課題は、「提案営業の経験者の採用が必要」

しかし、セント食品では……
今までのスーパーマーケットへの営業は、
商品紹介や御用聞きばかりでなく、売れ筋や競合商品との比較から差別化の提案をしている。
セント食品の営業の人は既に提案営業をやっているので、提案営業をできる人が多い。

販路拡大に必要な提案内容は、
既に取引しているスーパーマーケットの提案は商品別の売上や来店者の情報があるけど、販路拡大の場合は取引がないから商品別の売上や来店者の情報がない。
販路拡大の提案では、今までと異なる方法で情報を収集し、分析する力が必要。

営業の人の仕事は、
ドラッグストアの本部への新商品の提案では、類似商品の売れ行きも把握して提案している。
そのため本部への提案以外にも店舗も回っていて毎日忙しい。

  • 今までと異なる情報収集力や分析力が必要。
  • 提案営業は既にやっている。
  • 営業の人が情報を収集して分析する時間はない。

そのためセント食品の課題は、
「提案営業の経験者を採用して強化するということではなく、情報を収集して分析する体制の強化が必要」
そのため「マーケティングやデータ分析経験がある人材を採用」

Aさんは「販路拡大を進めるために営業の提案力を強化する」という経営課題に対して、「提案営業ができる人を増やさないといけない」という「人の角度(視点)」だけで考えていました。
「今までの営業」「提案内容」「仕事内容」という角度(視点)で考えずに……

営業は、さまざまなことが影響する仕事であり、さまざまな視点が必要な仕事。

お客さんの課題は、多様な要素が影響して生まれています。
「提案力の強化」という課題も、人の問題だけでなく、情報収集や分析、マネジメントや指導、体制やサポート、仕事量や環境、戦略や計画……

お客さんの課題以外に、営業方法、交渉方法、営業計画の対策、マネジメントや部下の指導……
営業で考えなくてはいけないことの多くは、さまざまな要因に影響されています。
「営業方法」も、営業方法だけでなく、お客さんの状況、スキルやマインド、商品の強みや特徴、営業計画や進捗……

さまざまな要因が影響する営業は、一つの角度(視点)だけで考えようとすると視野が狭くなって考えられなくなります。

ラテラルシンキングとロジカルシンキング

営業には、ラテラルシンキングとロジカルシンキングとの組み合わせが大切。

ラテラルシンキングとは水平思考。
→一つの情報をさまざまな角度(さまざまな視点)で考えること。

ロジカルシンキングは垂直思考。
→一つの情報を深掘りして考えること。

ラテラルシンキングにより、さまざまな角度(さまざまな視点)から広げる。
提案内容の視点、今までとの違いの視点、人の視点、仕事内容の視点……
そして広げた一つ一つに対してロジカルシンキングで深掘りしていく。
仕事内容→ドラッグストアの本部に新商品を提案→類似商品の売れ行きも把握→本部以外に店舗も回っていて忙しい……

営業では、一つ一つの仕事に、そして一つ一つの考えなくてはならないことにさまざまなことが影響します。
さまざまなことが影響する営業には、さまざまな視点で考えるラテラルシンキングが必要です。

営業活動で、課題や対策、営業方法を考えるときは、一つの視点ではなく、さまざまな視点で考えましょう。

人の視点、情報収集や分析の視点、マネジメントや指導の視点、体制やサポートの視点、仕事量や環境の視点、戦略や計画の視点……
営業方法の視点、お客さんの状況の視点、スキルやマインドの視点、商品の強みや特徴の視点、営業計画や進捗の視点……

一つの視点で考えたら、他の視点でも考えましょう。

ラテラルシンキングを鍛える方法……詳しくは、
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必要な営業スキルとそれぞれの関係性や階層を考える方法……詳しくは、
課題解決型営業スキルマップ

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営業教育セミナー~営業は個人のスキルで成果を上げる仕事…現場で成長できる営業教育とは~

次回は3月16日(月)更新予定です。

今月のクイズ(営業のクイズ)

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お客さんは「営業は個人スマホを使っているので必要ない」
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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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