第154回 潜在課題は聞いてもダメ! 想像させ、考えさせて聞き出す

新規案件の獲得、新商品の拡販を進めるために、潜在課題にアプローチしようという営業が増えています。しかし、課題を聞いてこられない……。その原因の多くは、お客さんに教えてもらおうとしていること。当たり前です、“潜在”課題ですから聞いても教えてもらえません。今回は、潜在課題を聞き出す方法についてご紹介します。

潜在課題は聞いてもダメ! 想像させ、考えさせて聞き出す

潜在課題を聞き出してもっと多くの案件を獲得しよう!
お客さんが既に検討している顕在課題だけではなく、より多くの案件を獲得するために潜在課題に提案しようという会社が増えています。

しかし、潜在課題とは、お客さんの中で、

  • 優先順位が低いので検討していない課題
  • 明確でないため検討していない課題
  • 気付いていないので検討していない課題

お客さんの中で優先順位が低い、明確でない、気付いていない課題を聞き出すことは難しい。
結局、顕在課題(既に検討していることや要望)だけ聞いてきて、コンペで価格勝負になってしまう……

営業先で「オフィスレイアウトに課題はない」と言われたが……

オフィス家具メーカーのセントコンサルティングの営業担当Aさんが、広告会社のリーディングプロモーションを訪問しました。

Aさんは訪問して課題を聞こうと、
「御社では新規事業を立ち上げていて部門間の連携強化が必要だと思うんですけど、事務所のレイアウトで何か課題はありませんか?」

リーディングプロモーションの担当者
「いや、コロナ禍でフロアを半分にしたときにレイアウトを変更しましたが、今は慣れましたので問題ないですよ」

Aさん
「そうなんですか、レイアウト変更してから3年たちますからね」
「その後、従業員の人からデスクとか設備について何か要望が出ていませんか?」

リーディングプロモーションの担当者
「そうですね……」
「出社する人が多いときは席が足りないっていう話を聞きますけど」

Aさん
「そうなんですか、出社して席がないと困りますよね?」

リーディングプロモーションの担当者
「でもカフェスペースがあって、そこでも仕事ができるから大丈夫ですよ」

Aさん
「そうですか……」
「今度、レイアウトを変更されるときは、ぜひお声がけください」

Aさんは会社に戻り上司に報告、
「レイアウト変更してから3年たって、慣れてきたそうで問題ないとおっしゃっていました」
……Aさんは課題がないと思っていました。

ところが、リーディングプロモーションは、半年後にレイアウトを変更し、デスクやキャビネットを購入しました。Aさんには問題ない、大丈夫と言っていたのにレイアウト変更の課題があったのです。
なぜ、Aさんは課題を聞くことができなかったのでしょうか? 教えてもらうことができなかったのでしょうか?
みなさんも、Aさんとリーディングプロモーションの担当者との会話から考えてみてください。

実は明確ではない課題、優先順位の低い課題が存在していた

まず、リーディングプロモーションの課題について考えてみましょう。リーディングプロモーションの課題とはどのようなものだったのか?

リーディングプロモーションでは、データコンサルティング系のサービスに力を入れるため、データコンサルティング室を新設してプロモーション施策の企画から運用、効果検証を一気通貫で支援するサービスを進めていました。その結果、企画を統括しているマーケティング企画部、紙媒体、Webの制作担当、イベントの企画担当とデータコンサルティング室との連携が重要になりミーティングが増えていました。

しかし、フロアを半分にしたため、ミーティングルームが足りない……
「ミーティングルームを増やさないといけない」という課題があったのです。

ミーティングルームが取れないために自席からのオンラインミーティングで対応して共有ミスがあり、その結果、企画提案で失注した案件もありました。
ただ、レイアウト変更をしてから3年たちテレワークにも慣れてきたころでもあり、また、ミーティングルームが取れないときは自席からのオンラインミーティングで対応していたため、リーディングプロモーションの担当者としてはなんとかなっていると思っていました。

「ミーティングルームを増やさないといけない」という課題は、なんとなく分かっているけど明確でない課題、課題があるとは分かっていたけれどなんとかなっているのではと思っていた課題だったのです。

つまり、リーディングプロモーションにとって、明確でない課題、優先順位が低い課題だったのです。

みなさんは、自分にとって、明確でないこと、優先順位が低いこと(どうでもよいこと)を聞かれたときに答えられますか? 答えますか?

Aさんは、明確でない課題、優先順位が低い課題に対し……

「事務所のレイアウトで何か課題はありませんか?」と課題について直接的に質問。
「デスクとか設備について何か要望が出ていませんか?」と要望について直接的に質問。
「席が足りない」と言ったお客さんに対して、「出社して席がないと困りますよね?」と直接的に問題を聞いていました。

しかし、直接的に質問されたり、聞かれたりしても……

明確でない課題は「ありません」としか答えられません。
「レイアウトを変更したけど、慣れてきたので問題ない」

優先順位が低くて検討していない課題(どうでもよい課題)は「必要ないです」としか答えません。
「カフェスペースがあって、そこでも仕事ができるから大丈夫」

Aさんは、明確でない課題、優先順位が低い課題に対して、直接的に質問して教えてもらおうとしたのです。
その結果、教えてもらうことができなかったのです。

潜在課題にはお客さんに想像させる、考えさせる営業が必要

潜在課題とは、優先順位が低い課題、明確でない課題、気付いていない課題です。
潜在課題を聞き出すためには、

  • 優先順位が低い課題を重要だと理解させなければなりません。
  • 明確でない課題を明確に理解させなければなりません。
  • 気付いていない課題を気付かせなければなりません。

重要だと理解させる、明確に理解させる、気付かせるために大切なことが二つあります。

  • 想像させ、考えさせる
  • 課題そのものではなく、課題の原因や背景の会話をする

「ミーティングルームは足りていますか?」
と直接的に質問しても、優先順位が低い、明確でない、気付いていない課題は教えてもらえません。
課題の原因や背景の会話をして、お客さんに想像させ、考えさせるのです。

課題の原因や背景の会話をして、実態を想像させ、考えさせる。
「データコンサルティング系のサービスに力を入れている」
「データコンサルティング室を新設してプロモーション施策の企画から運用、効果検証を一気通貫で支援」
「マーケティング企画部制作担当、イベント企画担当、データコンサルティング室の連携が重要」

そして、課題を考えさせ、重要だと理解させる、明確に理解させる、気付かせる。
「ミーティングが増えているのでは」
「ミーティングルームが足りないのでは」
「ミーティングできないと共有ミスで失注することもある」

潜在課題を聞き出すためには、お客さんに「想像させ、考えさせる」ことが大切です。そのためには、課題の原因や背景の会話から聞き出すシナリオが必要です。
顕在、潜在にかかわらず、お客さんの課題や要望、問題は全てお客さんに教えてもらうというスタンスで営業活動を行っている人が多く見受けられます。顕在課題はお客さんに教えてもらう営業でかまいません。しかし、潜在課題は教えてもらうのではなく、お客さんに想像させる、考えさせる営業が必要です。

潜在課題は、直接的に聞いて教えてもらうのではなく、課題の背景の会話から想像させ、考えさせながら聞き出しましょう。

潜在課題を聞き出すシナリオ……詳しくは、
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

次回は4月20日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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