第55回 無駄やミス、トラブルを減らす方法……毎朝の30分と帰る前の15分が仕事を楽にする

「仕事に追われて大変」「忙しくて時間がない」……多くの会社で営業社員が苦労していることです。実は営業の時間の多くが無駄やミスで費やされています。今回は、無駄やミスを減らし仕事を楽にする方法についてご紹介します。

無駄やミス、トラブルを減らす方法……毎朝の30分と帰る前の15分が仕事を楽にする

営業の仕事は、商品をPRして受注を獲得するだけでなく、提案書の作成、価格や納期の調整、引き合い対応、トラブル対応、事務処理、報告書、上司や他部門の調整……さまざまな仕事があります。

最近はさらに、新規事業や新商品の拡販やコンプライアンスを徹底するための事務処理や報連相……やらなくてはならない仕事が増えています。

その結果、「仕事に追われて大変」「忙しくて時間がない」。
多くの会社で営業担当者や営業マネージャーが苦労していることです。

ある日、営業担当Aさんが月末の営業会議が終わって、「上司から新規訪問していないって怒られたけど、訪問する時間なんかありませんよ」。

確かにAさんはいつも忙しそうにしていました。
今年から既存顧客営業のほかに新規開拓営業の目標も持たされていたのです。

営業会議後に本当に新規訪問の時間をとれないか、Aさんの1カ月の仕事をチェックしてみたところ……。

  1. 受注間際に価格交渉が発生
    顧客訪問が2回、上司との打ち合わせが3回、技術部との打ち合わせが2回、顧客への説明資料の作成で、
    計12時間
  2. 契約書の交渉が難航
    顧客とのメールのやりとりが5回、法務部へ報告・相談が5回、上司への報告・相談が3回で、
    計10時間
  3. 売上金の未回収が発生
    支払いをしてくれない顧客の対応で上司との相談が3回、顧客訪問が2回、財務部への報告が4回、
    報告書の作成が2回で、計13時間
  4. 顧客訪問に対する報告書の指導、作り直しが多い
    報告書を提出した後に上司から呼び出された回数が3回、報告書の作成と修正が5回で、
    計5時間

=全部で40時間……5日分(1週間分)

何も問題がなければ、5日分新規訪問ができたはず……。
なぜ、5日分も費やしたのでしょうか?

上の1~4の原因を調べてみました。

  1. は、顧客に要求された機能の追加を技術部に報告していたが原価を確認していなかった。しかも上司にも報告していなかった。そのため、利益率が下がってしまい受注間際に顧客に値上げをお願いしたが受け入れられず交渉が難航。
  2. は、顧客に契約書を送っただけで契約内容の趣旨を説明していなかった。趣旨の分からない顧客から複数箇所を修正するよう依頼され、修正依頼の理由も確認せずにそのまま法務部に回したため理由を確認するよう指示されて、顧客に理由を聞いて法務部に相談したが受け入れられないものが多く再度顧客と調整……何度も契約書のやりとりが発生。
  3. は、受注欲しさに顧客に対し品質の条件をあいまいにしていた。3カ月後に財務部から未回収になっているとの連絡をもらい、顧客に確認すると品質に問題があるとクレーム……その結果、売上金の回収で交渉が何度も発生。しかも値引きも発生。
  4. は、報告書に「見込み無し」「競合に負けそう」「納期が間に合わない」という事実や状況ばかりで理由や対策が記載されていない。そのため商談内容の確認や対策について上司から何度も呼び出されていた。

もし……
顧客や上司、技術部、法務部に対し報告・相談・確認しながら仕事をしていたら?
あらかじめ、状況を整理し問題と対策を明確にして仕事をしていたら?
……仕事の時間をずいぶん削減できていたでしょう。

実は、多くの営業担当者の時間が無駄やミスで費やされています。
ちゃんとやっていたら発生しなかった仕事……
1回で済む仕事が2回、3回……
1時間で済む仕事が2時間、3時間……

営業という仕事には大きな3つの特徴があります。

(1)さまざまな人との関わりで成り立つ仕事
営業は、受注を獲得し、契約を締結し、商品を提供し、売上金を回収する仕事。
つまり、顧客や上司、法務部、技術部や生産部、財務部などさまざまな人との関わりの中で行う仕事であり、さまざまな人の理解や協力が必要な仕事です。

(2)流動的な仕事
営業は、報告や調整、引き合いやトラブル……いきなり入ってくる仕事が多く計画どおりにいかない仕事。
急に仕事が入ってくる、常に状況が変わるため、場当たり的になりやすく、その結果、無駄やミスが発生しやすい仕事です。

(3)一人で行動することが多い仕事
商談や提案など一人で考え行動することが多い仕事。
一人で考え行動するため、第三者のチェックを受けづらく、ミスがあっても気づきにくい、仕事のやり方を改善したり精度や効率を上げたりしにくい仕事です。

この3つの特徴をもつ営業では、特に整理・報告・相談・確認が大切です。

皆さんは日々、整理・報告・相談・確認できていますか?

営業は、毎日状況が変わる仕事です。
毎朝、出社したら30分、仕事が終わって帰る前に15分、整理し確認する時間を作りましょう。
自分の仕事を整理し明確にすると報告・相談しやすくなります。

朝出社して、打ち合わせ、資料作成、電話対応とすぐに仕事にとりかかっている……
提案書の作成や打ち合わせなどその日の仕事が終わると、机の上を片付けて帰っていく……
その結果、仕事を整理しないまま目の前の仕事に追われ、報告、相談を忘れる、段取りを考えられず非効率……という営業担当者が多く見受けられます。

毎朝の30分と帰る前の15分の整理・確認が、無駄やミスをなくし自分の仕事を楽にします。

「上司から新規訪問していないって怒られたけど、訪問する時間なんかありませんよ」と言う前に、1カ月の仕事と費やした時間を振り返ってみてください。
仕事を大変にしているのは自分かもしれません。

整理・報告・相談・確認し、無駄やミスを減らす方法は……
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次回は12月18日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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