第98回 災い転じて福と為す~「目的思考」の習慣化と理性的言動~

企業のリーダーとして、経営者として、「理性的な思考」を基にした言動を「実践」していけるようには、どうすればよいか。今回は「プラクティス」という概念を通じて、できることを考えてみたいと思います。

災い転じて福と為す~「目的思考」の習慣化と理性的言動~

皆さん、こんにちは!

新型コロナウイルスは、日本だけでなく、世界中の国や人々を恐怖に陥れる騒動になってしまいました。経済的にはもちろん、心理的にも大きな影響を及ぼし始めていますが、皆さんの会社の内外ではいかがでしょうか。

振り返ってみると、こういう大きな災害は、概して、私たちの生活や価値観の非連続な大きな転換期になることが多いように思います。

阪神大震災の後には携帯電話が一気に普及し、東日本大震災の後にはボランティア文化が勃興したように……。今回の騒動が収束した後には、企業経営において、非連続な転換として、テレワークを含めた「働き方」において、何らかの形が定着・一般化するのかもしれません。

とはいえ、その最中である現在、マスクが市場からなくなったり、トイレットペーパーがなくなるとのデマに踊らされたり、人は、目の前に起きている出来事に一喜一憂しがちな生き物なのかもしれません。ただ、過剰に反応することで盲目的になり、自己中心的になり……理性的とはいえないのではないでしょうか。

そんな中で、日本同様に、全国的な学校の休校要請のあったイタリアでヴォルタ高校・校長先生の生徒に向けた手紙が話題になっていますね。

下記に全文掲載しているサイトをご紹介させていただきますので、ご一読ください。

ペスト時代の教訓から学べ 休校のミラノで校長のメッセージが話題に(OVO;共同通信社記事へジャンプします)

こういう本質を見極めたメッセージは、私たちの心を静め、「混乱しがちな感情」を「理性的な思考」に立ち返らせてくれます。

では、企業のリーダーとして、経営者として、この校長先生のように「理性的な思考」を基にした言動を「実践」していけるようにするには、どうすればよいのでしょうか……。

ということで、今回は「プラクティス」という概念を通じて、私たちが少しでも「理性的な思考」ができることを考えてみたいと思います。

プラクティス

一般的な和訳では「練習・訓練」といったニュアンスであり、ビジネスの領域では「ベストプラクティス」に代表されるように「最もいい実践事例」というように、どちらかといえば「実践」というニュアンスで使われることが多いのではないかと思います。

その「プラクティス」、つまり「実践」という概念は、次の三つの要素で構成されていると思われます。

「目的+主体+取り組み/行動」

つまり、別の言い方をすれば、「何らかの『取り組み/行動』」には、必ず「目的」が対になっていなければいけないということになります。

例えば、「朝礼での3分間スピーチ」……
経営者の側からすると、

(1)私たちは「お客さんとの顧客活動におけるコミュニケーションを通じて、真のニーズに応えられる新製品開発で社会に貢献する」ことを目指し、それを実践できる「人としての成長」を目指している

(2)しかし、社内を見渡してみると、そもそも社内のコミュニケーションさえも決して活発とはいえず、この状況では「新製品開発」どころではない状況だ……

(3)「社内コミュニケーションの活性化」を謳っているが、それに対する具体的なアクションが見られない。このままでは「社員の成長」を促すことができない

(4)だから、まずは「朝礼での3分間スピーチ」を全員輪番制にすることで、話す機会・聞く機会を作ろう

という「思考プロセス」があったとします。

ところが、現場の社員の多くは、「目的」を探索することなく、(4)で示された「3分間スピーチ」という最後の「取り組み/行動」、つまり「手段」しか見えていないケースが多く、「人前では喋りたくない! 面倒だ!」に始まり「そんなことやって、何の意味があるんだ?!」に至るまで、多岐にわたって不平・不満、愚痴・文句のオンパレードになる……なんてケースは、よく見られることではないでしょうか。

これは、明らかに「感情」に支配された言動といえるのではないでしょうか……。

この場合の「目的」は「『新製品開発で社会に貢献する』ことを実践できる『人としての成長』のため」ということになるのではないかと思います。

そして、「主体」は“全社員”ということになり、「取り組み/行動」が“3分間スピーチ”と位置づけられます。

そう考えると、「そもそもの目的」を追い求めるのであれば、「3分間スピーチ」だけでなく、他の「手段」もあるでしょうし、経営者側からすると、「目的」に向かうのであれば、必ずしも「手段」にこだわる必要はなくなるかもしれません。

つまり「『理性的な思考』を通じた実践」をするためには、常に「目的が何なのか? 何のためにするのか?」を考える習慣をつけることが大切になるのではないでしょうか……。

「目的思考」の習慣化

「目的思考」に関しては、過去にも、下記のように触れてきました。

第44回 なでしこジャパンに見る「組織における目的と目標」

第52回 そもそもの「目的」に立ち返るチャンクアップ

第76回 「目的思考」の難しさ

そして、今回の新型コロナウイルス騒動のように、色々な意味で混乱が生じやすいときにこそ、ご自身が持っている「目的思考」の習慣、レベルの高さが問われます。

そういう視点で、今、日本国内で起こっていることや取り組みの目的を考え、イタリアの校長先生のメッセージに照らし合わせてみるのもよいのではないでしょうか……。

もちろん、私たち自身の企業活動一つ一つが、企業の目的に一貫した思考が貫かれているかどうか、そのために経営者自身の「目的思考」は実践できているか? 社員は「目的思考」の習慣があるのかどうか? に反映させていかないと意味がありませんが……。

「災い転じて福と為す」という言葉がありますが、貴社の経営における「非連続な転換」にできるとよいのではないでしょうか。

今後も、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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