第29回 運送業のデジタル化策について~(14)運行履歴の確認

前回のコラムでは、「運行前点検表」などの法律上記録しなければならない資料を、デジタル化して入力業務を効率的にしていく方法をお話をしました。今回は運行履歴の確認ツールについて紹介したいと思います。

運送業のデジタル化策について~(14)運行履歴の確認

前回のコラムでは、「運行前点検表」などの法律上記録しなければならない資料を、スマホアプリを活用して効率的に入力業務を行うというお話をしました。
運送業の実情を見たとき、本来はドライバーが行わなければいけない点検の実施、点検記録簿への記入など、実際には1カ月まとめて事務所が行っている場合もあれば、デジタルタコグラフ(デジタコ)で出庫ボタンを押すと自動的に点検記録簿が全て確認済みの状態で作成されるなど、「本当にそれでいいのか?」と思われる実施方法が行われています。それを効率化というかどうかはさておき、やらなければならないことを確実に行うためにスマホアプリで運行前点検を行うことは、「実施の正当性」と「効率的な記録」との観点から良いかもしれませんね。

今回は運行の効率化を考えるときに、とても重要なツールである運行履歴の確認ツールについてお話ししたいと思います。

運行を視覚的に確認して運行ルートを検討する

おおよその運送会社では、ドライバーへの運行指示は「積地」と「降ろし地」とをドライバーに伝え、その後の運行はドライバーに任せられています(全ての運送会社のことを指しているのではないことをご理解ください)。本来であれば「運行指示書」を作成し、その内容を基に点呼時にドライバーへ運行ルートも指示するのですが、なかなか伝達がうまくいかない場合も多いのが現状のようです。

問題は、ドライバーが運行したルートを後日に検証しようと思っても分からないことが多いことです。とても正確に運行日報に記載してくれていれば分かるかもしれませんが、ドライバーによって粒度の異なりもあり、そううまくいきません。別のドライバーが同じ降ろし地に向かう場合、初めて行くのであれば非効率なルートを通るかもしれません。何時にどこを通過すれば良いのかが分かっていれば引き継ぎはうまくいきそうですし、視覚的にルートを確認することができればさらに良さそうです。

運行履歴を確認する方法

デジタルデータとして運行履歴を確認する方法はたくさんあります。

  1. デジタコの運行履歴機能の利用
  2. スマホの動態管理アプリの利用
  3. ドライブレコーダー(ドラレコ)やETC機器のGPS機能の利用

デジタコが搭載されている車両であれば、管理システム側で運行履歴を確認することができる機能がほぼついています。ただ小型車両にはデジタコを付けていない場合が多いため、4t車未満の場合は別の方法で補完したほうが良さそうです。

次は、当社でもリリースしているようなGPS機能を活用したスマホアプリの利用です。これはスマホさえ準備できればすぐに始められますので、導入のハードルは低いですね。

次に意外と忘れられがちなのが、ドラレコやETC機器についているGPS機能です。ドラレコは危険が発生した時点を特定するのが上手な機器ですから、位置情報を履歴として保存しているものが多く、そういった機器であれば運行履歴をパソコンから確認できる機能がついています。これはとても利用価値が高そうです。

1~3ではデータの取得頻度、精度には違いはあれど、運行履歴を管理するためには、トラックに装備されている機器のいずれかを利用すればできる場合が多いです。ぜひ周辺機器を確認してみてください。

次回は9月9日(金)更新予定です。

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デジタルタコグラフ

クラウドサービスを利用できるネットワーク型車載ステーション 富士通製 デジタルタコグラフ DTSシリーズ

通信モジュールを標準搭載し、カードレス運用を実現したデジタルタコグラフ。富士通がお客様と共に培ってきた運行支援ソリューションをクラウド基盤で運用することを可能にし、インターネットにつながるパソコンを用意するだけで初期費用を抑え、短期間で運行情報分析が簡単に行えます。車両の速度や時間・エンジン回転数などの車両情報と運転評価表をもとに乗務員に的確な運転指導が行えます。

矢崎エナジーシステム ネットワーク型デジタルタコグラフ DTG7

デジタルタコグラフ技術とドライブレコーダー技術をハイブリッド化させることにより「究極の予防安全システム」を実現。また、安全・省エネを目的とした運行管理、車両管理、連続運転や休憩時間などの労務管理など、多様な管理により業務改善を支援します。従来からのカード方式に加え、さまざまな転送方式によるデータの受け渡しを可能とし、多様化する運行形態に対してより効果的な運用提案を実現します。

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運送事業者向け販売管理システム SMILE V 2nd Edition トラックスター

運送業における日報管理・請求管理から実績管理まで、一連の業務を効率化。業界の慣習に対応し、運送業の経営管理を強力にバックアップします。マスターや伝票に独自項目を追加して、オリジナル帳票の作成やデータ活用が可能です。

この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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