第97回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その31~外国人設計者の採用を真剣に考える

昨年から急に問い合わせが増えたのは「設計者人材に心当たりはありませんか?」でした。特に中小・中堅製造業の設計部門では「いろいろ手を尽くしても、応募がなくなった」という悲鳴にも似た声が聞こえます。少子化、工科系大学への進学の減少など、これからの劇的な改善は望めない現状の中、どのように人材リソースを確保すべきか。これは100%経営者マターです。いよいよ外国人設計者の採用を真剣に考えるべきでしょう。

設計部門BOM改善コンサルの現場から~その31~外国人設計者の採用を真剣に考える

師走です。しかし、東京は思いのほか暖かい日が続きます。「金宮お湯割り」と「三冷ホッピー」を「どっちにするかなー」と相変わらず迷う飲み出しです。忘年会が続きますので鯨飲されませぬように。自戒も込めて……。

ラグビーW杯を見て一番感じたこととは

ラグビー日本代表チームがベスト8までブレークスルーできたことは喜ばしいことでしたが、私が一番感銘を受けたのは「日本チームを構成する人種の多様化」です。一昔前の「精鋭日本代表チーム」の印象は日本人の集団というか、そのような要件を暗に求められていたと思います。

今回のラグビー日本代表の写真を見せられ「このチームはどの国の代表でしょう」と問われても、ユニフォームがなかったら分からなかったでしょう。顔付きと日本の名前がマッチしない選手も多くいます。これを見て「きっと将来の中小・中堅製造業の設計部門もこのような景色になるのだろう」と考えています。同時に、そうなることを恐れるべきではないとも思います。

同じユニフォーム(会社)という絆があれば、人種、氏素性は問われないのだと思います。
「会社の躍進に力を合わせてくれる人材であれば、世界中が人材リソース」という意識を、経営者はじめ全社員が持てるか否かです。

どうやって人材を見つけて、どうやって採用するのか?

IT系エンジニア7倍、技術系エンジニア5倍弱という今年初めの求人倍率を見ても、中小・中堅製造業の設計部門の採用がどれほど厳しいものか容易に想像できます。待っていても、大きな改善は将来に向かって望めないでしょう。ましてや、地方都市部に存在する製造業はさらに難しいことが予想され、先送りできる経営者マターではないと断言できます。

現に私の知人の経営者は既に多くの渡航を重ね、特に東南アジア系の現地リクルーターと関係構築をして採用を開始しています。もちろん経営者自身コミュニケーション能力(英語)は必須ですし、海外ビジネス経験なしに急に始めても、現地リクルーターさえ見つけることはできないでしょう(危ないリクルーターも多い様子)。

では、そのような能力や経験値がない場合は、諦めるよりほかないのでしょうか?

何度も言っていますが、今後日本語だけでビジネスを展開することは難しくなっていきます。従って、何としてもせめて英語のスキルは身に付けてほしいものですが、その努力を行っても明日から実践に移せるわけではありません。
そこで、その間貴社に代わって人材をリクルートしてくれるエージェントをご紹介しましょう。

実は先月、当社の主催で「外国人・高度人材採用について」と銘打って、エージェントにセミナーを開催してもらいました。

このエージェントはミャンマー人材が得意とのことですが、裏を返すと「ミャンマー人材しか残っていない」という言い方もできそうです。どこへ行ってもチャイナ・マネーは存在していて、投網(とあみ)を掛けるように人材を根こそぎ持っていってしまうそうです。つまりベトナムやタイで残る優秀な人材の採用は、もはや難しいでしょう。

ということは経済環境もあるでしょうが、ミャンマー人材も遅かれ早かれということでしょうか。
そういった意味では、来年の初動活動が重要だといえるでしょう。
今まで保守的であった在留許可についても「技術・人文知識・国際業務(技人国)」というカテゴリーが設けられ、家族の呼び寄せも踏まえて永住型労働在留許可が用意されます。その意味での環境整備は整ってきたといえます。

ミャンマー人材の特質

  • 国民全体の年齢中央値が28歳と低い(日本は47歳)=若い人材が豊富
  • 工科系大学(全て国立)卒の人材スキルは高く、その割に年収が低い(日本の約8~10分の1)=頑張れるモチベーション(「両親に冷蔵庫を買ってあげたい!」)=当然、日本人と同等の待遇が必須
  • 仏教国であり、勤勉で日本人の気質との整合性が高い(日本文化的適応性高い)
  • 親日国(日本からのODAが1兆円を超えているのもその理由の一つ)
  • 日本語と現地語(ビルマ語)の文法体系が近く、日本語の上達が早い(N2クラスは通常確保)
  • かつては英国領であったこともあり、多くの授業は英語で行われる(ビルマ語、英語、日本語)

日本の企業にとっては文化的親和性もあわせて、人材整合条件が良いと感じています。

人材エージェントの役目

大きく二つの役目があります。

一つ目:送り出し機関としての役目

  • 現地での人材確保(優秀な人材確保のフィルタリング)=非常に重要(どこの国にもピンキリはある)
  • 採用人材(候補)の教育=日本語習得や生活習慣への対応(しっかりとした現地教育施設の保持)
  • ビザ発給手続き

二つ目:受け入れ機関としての役目

  • 採用日本企業との橋渡し=採用条件、生活拠点整備等
  • フォローアップ(定着へのヒアリングやカウンセリング)
  • 在留許可取得手続き

気になるところは、このエージェントに支払う採用手数料です。
率直に聞いたところ、一人当たりの年収の約25%とのことでした。この25%が高いか安いかの判断は皆さんにお任せしますが、自力採用ができないとすれば、このようなエージェントに頼るのも一考ではないでしょうか。受け入れる側(会社)の心の準備やコミュニケーションの実際など、リアルに体験してみないことには埒が明かないのも確かです。一度採用すると外国人採用に対するハードルが一気に下がる会社が多いとも聞きます。

将来、東南アジア(例えばミャンマー)に現地法人を設立して、販路や顧客ニーズ収集の海外拠点としたいという考えをお持ちの経営者がいるとします。その現法責任者はどのように考えていくべきでしょうか? 私の率直なアドバイスは「いつ英語が話せるようになるのか分からない日本人スタッフより、ミャンマーの優秀な人材を日本で育て、忠誠度を確認しながら現法責任者に仕立てた方が、現地語+英語+日本語と現地文化で即ビジネスの遂行が可能になる」というものです。設計部門の人材には特にその素養、つまりセンスが大きく問われます。日本人への選択が狭まっている現在、センスが望めない日本人とセンスのある外国人を比較すれば、どちらが会社にとって有望な人材であるかは論をまたないと思います。
どうか真剣に考えてみてください。

以上

次回は1月10日(金)公開予定です。

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