第96回 緊急特集! BOM本第二弾出版予告編
~2020年初『BOMで実践! 設計部門改革バイブル』が出版されます!!

数年前に拙著『BOMで会社の利益体質を改善しよう!』(日刊工業新聞社刊)を発刊して以来、ようやく中小・中堅製造業にもBOMが定着してきました。そして、その延長線上には流用化・標準化設計による設計効率改善という改革に果敢にチャレンジしている現場が存在しています。その現場での生々しい事例をふんだんに盛り込んだ新しい書籍がまもなく発刊となります。

緊急特集! BOM本第二弾出版予告編~2020年初『BOMで実践! 設計部門改革バイブル』が出版されます!!

豪雨災害がやまない日本列島ですが、ようやく秋めいてきました。「金宮のお湯割り」と「ホッピー」の比率が2:1になってくるとわが体内時計は、いよいよ秋を認識するようです。

新刊出版の動機

日本の中小・中堅製造業に将来はあるのだろうか……。こんな漠然とした不安を、私は常に抱いています。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン(Japan as Number One)」ともてはやされてから30年を経ようとしていますが、企業30年説と重なるように、東南アジアの台頭、人材不足、事業承継問題など、製造業ニッポンの存在が危ぶまれる事態には事欠きません。

現在も製造業ニッポンを支えるのは中小・中堅製造業であることに間違いはないとは思うのですが、その内実や抱える問題点の深刻さに直面すると、この不安を払拭(ふっしょく)することができません。

それは製造業ニッポンのピラミッド構造が根底から崩壊しかねないという危機感でもあります。現在制作を進めている新刊では、これらの不安や危機感に抗い「日本の中小・中堅製造業の将来を輝かしいものにするために」という私の強い思いと共に執筆を開始しました。

気になる新刊の構成内容

現在執筆中の新刊の構成内容をご紹介します。このコラムをご愛読いただいている皆さんには、本書で私が訴えたい、そして伝えたい大枠のイメージを、この構成からつかんでいただけましたらうれしく思います。
本書には「改革バイブル」などと大層なキャッチフレーズを命名しましたが、それは私がコンサルタントとしてお預かりした多くの中小・中堅製造業の改革現場での課題やそれに対する対応策が、多くの同業他社においても普遍的な事象であると確信したからです。
このコラムをご愛読されている中小・中堅製造業の方々が「最近じわりと全社効率が落ちている」、つまり「昔はもうかっていたのに、最近はもうからなくなった」と感じているのであれば、ぜひご一読ください。そして何らかの気づきを得て、それらを改革への手掛かりとしていただければ幸いですし、何より目指した「本書の役目」がかないます。

第一章:

1:中小・中堅製造業の設計部門を苦しめる根本原因は何なのか!?
(=問題の認識と共有)

BOMを生み出す部門である設計部門で起きている問題の共通認識を図り、読者との視点をすり合わせることを主旨に述べました。

  • 設計効率悪化の元凶「蛸壺設計」と「設計部門のメタボリック症候群」
  • 設計部門の二大問題
    設計工数の限界が売り上げの限界+設計者の三無い「来ない、育たない、育てられない」
  • 慢性的な設計工数不足=漂う疲労感、徒労感=「働き方改革」との摩擦
  • 部品調達納期と出荷納期の狭間に苦しむ設計納期+コストの壁と受注型製造業の危機

2:解決への結論

上記の問題提起に対する解決策を結論としてクリアに述べました。

  • 設計効率を高める
    設計意識を変えることができなければ一歩も前進はできない。
  • 設計者を育てる
    新卒採用時点で決まってしまう設計者の技量や「修羅場のプロデュース」と呼んでいる設計者を育てる環境をマネジメントしていく経営層・幹部層の在り方について述べました。

第二章:

1:設計効率を高めて設計者を育てる手法や環境と具体的手段とは
(=コンセプト編)

第一章の解決への結論を導くための具体的な考え方を共有することを主旨に述べました。

  • BOMの必須性=なぜBOMを構築しなければならないのか、もう一度考える

2:流用化・標準化設計への取り組み=高効率設計への切り札=特効薬の処方箋

  • なぜ流用化・標準化設計なのか?
  • 流用化・標準化設計は営業の敵か?
  • 「流用化・標準化設計は設計者からチャレンジを奪う」という誤解
  • 設計部門を2階建て構造にリフォームする
    設計部門改革のキーポイントとなる設計部門を2階建てにリフォームする意味とその活用方法を述べました。
    さらに下流側に流す設計成果物の連携についても全社効率改善を目指した考え方として述べました。

3:BOMと流用化・標準化設計プラットホーム

  • ITの能力を味方につけて効率化に直結させる具体的手段
  • プラットホームのイメージと構造
    プラットホーム構築の最重要テーマである「設計成果物の2Sによって設計資産にする」意味を理解します。
  • シングルE-BOM・マルチM-BOM
    一つのE-BOMからつくりの環境が異なる度にM-BOMが生み出されるという考え方の習得を目指します。
  • 構成部品数と流用化・標準設計化設計との関係

4:設計者を育てるということ=経営層の本気度が試される

設計者の絶対数不足は少子化も手伝って普遍的な問題です。

  • 修羅場ゴッコのプロデュースの具体的なマネジメント手法
  • 設計者育成の鍵「失敗のさせ方」
  • 2階建てで行くと設計者も育つ
  • 歌って踊れるエンジニア(マルチスキル)=全方位ローテーション
  • 在宅勤務(テレワーク)=働き方改革へのアプローチ
  • 中小・中堅製造業設計者の自己実現とは

第三章

1:設計部門効率改善コンサルの現場から
(=事例編)

設計部門改革を実行している各社の具体事例を紹介し、改革の現場でリアルに起きている事柄を届けます。
いろいろな摩擦熱が生ずる中、知恵と工夫で乗り切るプロジェクト(PJ)の実行力はきっと参考になるはずです。

  • ゆっくり、しかし着実にそして成功するまでやめない
  • 「変える勇気」改革を推進し成功させるための心の支え
  • トップダウンとボトムアップ双方の重要性

2:改革の旗手を失うな=設計部門改革の主軸(啓蒙者)

  • 尖った存在であるべきだが尖り過ぎに対するコントロールは必須
  • 保身の経営層が改革の旗手を亡き者にしてしまう
  • PJリーダーを支えるものとは……

3:今日の糧か? 明日の糧か?

  • 設計部門改革に必ず訪れるジレンマ=「現業か? 改革か?」そこには優先順位はあるのか?
  • 経営層のマネジメント力が最も試される時

4:PJメンバーはどのように選定すべきか?

  • PJメンバーは「喜び組」になっているか?
  • 次期経営層候補を意識しているか?
  • 鍋蓋組織状態のPJメンバー

5:品目コード体系

  • 耐用年数30年を目指す実例

6:設計成果物の2S

  • 溜まった設計成果物を「設計資産」に変える作業
  • 属性は設計基準の一致で決定
  • 「バリアント図」という過去設計成果物との戦い
  • 仲間集めと属性情報
  • シンプルな部品こそ分類条件を定義する

7:外国人設計者

  • 「設計者が来ない」は少子化で普遍的なテーマに対してどのように臨むべきか?
  • 外国人設計者採用を真剣に検討する

8:保守ビジネスを考える=「製造業は二毛作」を叶えるために

本当は大変儲かる保守ビジネスのはずが、会社の全社効率を下げてしまっている原因になっている。
ならば、どのようにしたら儲かるのだろうか?

  • 早く、正しく、製品として届ける=儲かる保守事業
  • 「この部品ってどの部品?」=保守部品探しで効率が落ちる設計部門
  • S-BOMの構築=保守部門をプロフィット・センター化
  • IoTが変える保守ビジネス

9:設計部門の評価制度を考える

  • 設計部門の国際化やテレワークに必須な透明度の高い評価制度の考え方
  • 自社独自の査定基準を策定する=借り物査定基準は失敗のもと
  • 実際の査定を行う幹部への査定トレーニング=査定評価に対する信頼性向上
  • まずは三つの査定要件の徹底を目指す!

このような構成内容です。あくまで現時点での見出しのみなので、多少変更もあるかもしれませんが「ここは気になる」「わが社が考えようとしている項目だ」等の内容があればぜひ、本書を手に取っていただきたいと思います。

心掛けたのは、あくまで現場・実践重視の視点です。もちろん考え方は重要ですが、それらを実際の改革に結び付け、結果を出していく様はPJメンバーと社員、そして経営層という人間業の有機的な結合がもたらすのです。
従って、そこにスポットライトを当てて細部に宿る、しかし見落としてはならない「気づき」もできるだけ記述したつもりです。

出版日程が確定しましたらあらためて本コラムで告知したいと思います。

以上

次回は12月6日(金)公開予定です。

書籍ご案内

当コラムをまとめた書籍『中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう!』を日刊工業新聞社から出版しています。
BOM構築によって中小企業が強い企業に生まれ変わる具体策とコツをご提案しています。

Nikkan book Store(日刊工業新聞社)
中小企業だからこそできるBOMで会社の利益体質を改善しよう!(日刊工業新聞社Webサイト)

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製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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BOM導入をご検討されている方向けに、BOMについてを解説したハンドブックを作成しました。無料でダウンロードいただけますので、お気軽に下記バナーよりダウンロードしてご活用ください。

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