第1回 製造業ニッポンのヘレン・ケラー症候群

皆様こんにちは。大塚商会 本部SI統括 製造SP統括コンサルタントの谷口 潤と申します。
本コラムの執筆を担当させていただくことに成りました。どうぞよろしくお願いします。
私自身の紹介はプロフィールを読んでいただき、自己紹介とさせてください。
普段の仕事は、製造業様向けシステムの導入に伴う業務・業態改善や、経営に関わる相談事も含めたコンサルティングによりシステムの「実稼働」という、我々製造SPのこだわりを実現することを生業にしております。
多くのお客様との関わりを通して垣間見える製造業ニッポン、とりわけ中小・中堅製造業様の悩みや喜びをこのコラムで皆様と共有出来れば大変嬉しく思います。

しかし、初回から難題と申しますか難病です・・・
After3.11が癒えぬこの時期にタイの大洪水で日系企業軒並み水没。私の友人もタイで工場を経営しておりますが、水没は避けられないと覚悟を決めておりました。異国でもあり、報道量が3.11より少ないので深刻さの認識は浅いような気がしますが、友人より3.11より深刻との報告も届いております。そして、米ドル、ユーロ、円の不美人競争?の結果の超円高と、この三重苦を揶揄して私は製造業ニッポンのヘレン・ケラー症候群と呼んでいます。
症候群の症状は重く、

 「サプライチェーンはますます寸断するしコストダウンは30%以上を迫られる。
  海外展開も含めて、どうすればよいのか?」

それらへの対応に頭を悩ましている経営者や、改善を指示された管理職の具体策への困窮は想像に難くありません。私のところへも相談が増えておりますが、正直、対応の手段が限られていると言うのが本音です。何か魔法の解決パウダーが有ればよいのですが、それは見果てぬ夢・・・・

が、しかし、全くの手詰まりと言うわけでもありません。
ただし、近視眼的な手段はご法度です。

例えば、こんな記事が新聞に載っていました。タイの日系企業に勤めていたタイ人に対し、期限付きの日本滞留就労ビザを発給するとのこと。
私はこの記事を見てあ然としました。タイの最低賃金は来年改定され約¥580から約¥810“一日”に成ります。それでも日本の十分の一以下です。

「タイで生産していたものをいまさら日本に戻してもコストが絶対見合わない。
 だから、そのコストの主体である人件費をタイからそのまま日本へ持ってこよう!」

という考えなのでしょうか?日本に擬似タイ国を俄かに出現させてどうするのでしょうか? 私の理解を超えるアイデアです。

タイの人々は、タイ国文化の中で始めて心安らかにものつくりができるのだと思います。タイのものつくりはそれほど、タイ文化に根付いていると考えています。ですから「日本へ連れてこられて異文化の中でものつくりニッポンを支える」という、このアイデアが長続きするとはとても思いません。「とりあえず」という近視眼的対応策に思えます。
これは”異文化の中で仕事をする”という、厳しかった私自身の体験がそう言わしめます。

では、谷口的対応策のコンセプトとは何か・・・

それは「少数精鋭化」です!

大きなくくりとしての中小・中堅製造業ニッポンの将来は、生き残りの手段として開発試作型製造業に成っていくと考えています。つまり、ものつくりの核、DNAを創るという設計・組立製造業です。
逆に「今日、何万個作ってナンボ」という製造業は、残念ながら厳しい現実が待っていると考えています。
そして、この開発試作型製造業の魂は設計成果物にあります。
世界標準の設計成果物をアウトプット出来るか否かにその評価が集約されます。
この世界標準の設計成果物とは何か?そしてこれが、どの様に少数精鋭化に結び付くのか・・・?

次回から、具体的にこのコンセプトを展開していきたいと思います。
乞うご期待!!

次回は2012年1月6日更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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