第88回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その23~実践ソリューションフェア・セミナーにて

中小・中堅製造業の設計部門「働き方改革」とは!? BOM構築から始める設計効率改善。弊社最大の催事であります実践ソリューションフェアが2月東名阪で開催され、私もセミナーで上記テーマを披露いたしました。今回のコラムでは、アンケートや直接のご質問も含めて聴講された方々から頂いた声もピックアップしてお届けします。

設計部門BOM改善コンサルの現場から~その23~実践ソリューションフェア・セミナーにて

春は名のみの……早春賦ですが、花粉の悪さと戦いながらの三冷ホッピーです。鼻水が止まりません。

セミナーでお届けした訴求点

前回コラムでは、弊社実践ソリューションフェアでのセミナー前日版として、以下の視点から中小・中堅製造業の設計部門の特質を捉えた「働き方改革」の考え方やアプローチの方法を述べました。

  1. 設計者は残業や休日出勤をどのように考えているか?
  2. 中小・中堅製造業の設計者として何が「働き方改革」と映るのか?

再度、読み返していただくのが良いと思います。

第87回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その22~中小・中堅製造業設計部門の働き方改革とは?改革へのアプローチと考え方

セミナーの提案骨子は……下記の内容を畳み込んで臨みました。

  1. 残業時間短縮や休日出勤禁止、ましてやプレミアムフライデーの実現を目指すものではない。
  2. 設計者の特質を捉えた、自己実現が叶う環境つくりと設計部門に漂う徒労感・疲労感を払しょくするためには設計効率改善しかない。
  3. 新卒設計者採用の期待は諦め、設計者人材確保に外国人も視野に置くこと必須=真のグローバル化必須。
  4. 設計効率改善を叶え、外国人設計者が理解できる流用化・標準化設計プラットフォームの構築を不退転の決意で臨むとき。
  5. 設計者の在宅勤務を可能にする。

正直、働き方改革の一般論からは距離を置く提案であり、共感を呼べるのかの不安は否めませんでした。しかし、中小・中堅製造業の設計部門の低迷を救うには、それ相応のカンフル剤が必要と決心して内容を編纂したのも事実です。もちろん、今まで訴求を継続してきた流用化・標準化設計のファンダメンタルズは不変ですが、加えて自己実現、外国人設計者採用、設計者在宅勤務という新たな切り口で迫る内容です。

自己実現という設計者としてのやりがい・生きがいを求めるべきではないか(=設計者の成長を促す「ゾーン」を大切にできる設計部門)ということや、外国人設計者採用も視野において設計部門の人数を減らすことが無いように人材リソースを開拓・確保する(英語のコミュニケーション能力も必須)ということは、前回も説明しました。

「設計者の在宅勤務=テレワーク」という提案は、セミナーの切り札として最後に用意して聴講されている方々の反応を慎重に受け止めるようにしました。

このテレワークという考え方の背景には「設計という仕事は成果主義の方が良いのではないか?」という考え方が存在します。タイムカードで拘束時間によって対価を支払うのではなく、設計成果物の結果で支払うべきであるということです。

10時間掛かって設計するスタッフと8時間で設計完了するスタッフともらえる対価を比較した場合、絶対後者が高い対価であるべきだと単純に思うのです。さらに「設計効率を上げていく過程には、この矛盾をしっかり解決すべき」というポイントも見逃せません。短時間で効率よく設計する事へのモチベーションと直結するからです。

そして、設計部門は製造業において間接部門を除いて唯一物理的にテレワークが可能な部門でしょう。
さらに都市部に特質される問題点として通勤時間があります。東京近郊の平均通勤時間は往復3時間ですから月に70時間も設計していない時間が存在します。この時間はまさに設計工数の都市鉱脈です。埋もれたままだと思います。

  1. 成果主義への転換=テレワークができるというライセンス制度も一案か?
  2. 流用化・標準化設計プラットフォームの構築は絶対条件

を叶えてテレワークを主体にするという設計部門をセミナーでは訴求しました。

セミナーで聞けた質問・感想

お陰様でアンケートを通して頂いたセミナーの評価は私の予想を超える高い評価を頂くことができました。
「残業規制や休日出勤禁止が働き方改革にはならないと感じてはいるが、では、どのように考え、実行すれば良いのか?」との悩みを抱えている方々の聴講には本セミナーのコンセプトや訴求は届いたようです。

「まさに弊社の設計部門の現状を捉えている。このセミナーのコンセプトを持ち帰って検討したい」
「わが社のような20人しか設計者がいない設計部門にはこのセミナーの提案が納得できる」
「もう一度、経営層向けに本セミナー内容で啓蒙してほしい。やっと使える働き方改革に出会えた」
という感想が聞けました。

ただし、このような感想も……
「設計部門はしっかり私が見張って確認しないと気が済まない」
「進捗を聞いてもいつも90%としか答えないから……」
これは、参加された経営者からの感想でした。

「テレワークにしたら何をしでかすか分からない」という気持ちでしょうか? そもそも論としてのこの感想の問題点はお分かりでしょうが、テレワーク=サボるというイメージが払拭できないのでしょう。「サボっても良いのです。結果を出せば。自己裁量の仕事ですから」との私の意見にも今一つ納得はされていませんでした。「一生懸命やっている姿が安心」という経営層は案外まだ多いのかもしれません。確かに、いきなりテレワークに持ち込める訳ではありませんが、先述した流用化・標準化設計プラットフォーム構築へのビジョンの一つとして設計者と経営層が話し合う価値のある「働き方改革のカタチ」であると考えています。

「用もないのに会社に来るな! 通勤時間がもったいない!」と言える設計部長は幸せかもしれません。
皆さんはいかがでしょうか?

以上

次回は4月5日(金)の更新予定です。

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書籍

当コラムをまとめた書籍『中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう!』を日刊工業新聞社から出版しています。
BOM構築によって中小企業が強い企業に生まれ変わる具体策とコツをご提案しています。

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中小企業だからこそできるBOMで会社の利益体質を改善しよう!(日刊工業新聞社Webサイト)

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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