第87回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その22~中小・中堅製造業設計部門の働き方改革とは?改革へのアプローチと考え方

「働き方改革」というテーマが取り沙汰されて久しいですが、中小・中堅製造業の設計部門は相変わらずの超繁忙。「設計部門の働き方改革って……?」という戸惑いが経営層ばかりでなく設計者間にも広がっています。中小・中堅製造業設計部門の働き方改革へのアプローチと考え方を述べてみたいと思います。

設計部門BOM改善コンサルの現場から~その22~中小・中堅製造業設計部門の働き方改革とは?改革へのアプローチと考え方

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中小・中堅製造業の設計部門の働き方改革へのアプローチと考え方

設計者は残業や休日出勤をどのように考えているか?

大手製造業の働き方改革の三点セットは「残業規制」「休日出勤禁止」+とどめの「プレミアムフライデー」でしょうか。あえて規制・禁止と書いたのは、どう見ても総量規制方式で展開されており、残業や休日出勤をしなくても済むような根本解決型アプローチから展開されているようには思えないからです。そして昨年起こった大手部品メーカーの部品異常納期という主因を作ったのも上記三点セットだと考えています。

それでも大手は工数容量が大きい(人数が多い)ので何とか、凌いでいますが、同じことを中小・中堅製造業、それも設計部門で行ったら、あっという間に致命的な納期遅延が起こり、業績に多大な悪影響を与えてしまうでしょう。部品メーカーの異常納期にただでさえ苦しめられて、さらに、お客様からの短納期とのはざまで働き方改革からはますます距離を置かざるを得ないという矛盾を抱えている現状だと思います。その意味で、私は大手の働き方改革のしわ寄せが中小・中堅に押し寄せているといった感覚で捉えています。

中小・中堅製造業の設計者は現状として超繁忙であることは認めざるを得ない現実です。
その原因は「設計効率の悪さ」にあることはこのコラムでも何度も述べているので、省略しますが、超繁忙の結果としての減らない残業時間をどのように考えるべきなのでしょうか?

もちろん、健康を害する200時間超に及ぶような場合は衛生管理上一刻も早く手を打つべきですが、単純な残業規制や休日出勤規制を設計者は「歓迎」するのでしょうか?

設計者の特質、それも真摯に技術に向き合っている設計者には「寝ても覚めても」という「ゾーン(Zone)」が存在します。この「ゾーン」に入ると残業とか労働時間とかいう外形的な数字では表現できない「何としても解決したい」とか「どうしたら解決できるか?」という「寝ても覚めても考えたい」という欲求が生まれ、それが意識の主体となります。この時の試行錯誤が設計者としての知見や技量を高める素地となり、それ故にとても大切な「ゾーン」なのです。

こんな時に「はい残業規制です」「休日出勤はできませんよー」と言われると自分の仕事を阻害されているように感じるはずです。「もっと考えたいのに何で!」となるわけです。
そもそも設計という仕事はタイムカードを使って拘束労働時間とやらで管理していくべき仕事ではないのかもしれません。

この設計者の特質を尊重し、さらに大手より広範囲な設計範疇を担う中小・中堅製造業の設計者としての醍醐味を叶えるために単純な残業規制や休日出勤規制は設計者には働き方改革とは映らないと考えています。

中小・中堅製造業の設計者として何が「働き方改革」と映るのか?

まずは先述した「ゾーン」を大切にしてあげることだと思います。

昔、設計部門長であった時、私はよく「死ぬほど考えろ」とスタッフに言っていました。これは「ゾーン」を大切にして欲しいという気持ちからの言葉です。もちろん個人的な知見の優劣もあり「ゾーン」を必要とする時間の長短はありますが、何より「ゾーン」に浸っている設計者の表情は本当に生き生きとしていたことを覚えています。苦しくもクリエイティブな自己の存在を確認できる価値のある時間でしょう。

今、預かっている設計部門の設計者に、この「ゾーン」を知らないスタッフが多いことに驚かされます。
毎日毎日、昨日の続きは今日、今日の続きはまた明日という単調なサイクルを繰り返し、「何だかなー……」と思いながらもCADでひたすら図面を書いて終わる毎日です。これは設計とはいえないばかりか、最も悲しかったのは生産部長から「あいつらは絵描きだ」と呼ばれていた設計部門がありましたが、それは「ゾーン」から最も遠い設計者達でしょう。設計者は図面を書くために存在しているわけではないのです。設計者ライフの無駄使いです。

「ゾーン」を大切にしていて、志のある設計者には必ず「自己実現」があるはずです。どのような仕事にも自己実現は存在するでしょうが、設計者は特にこの自己実現を強く持っている人々だと思います。技量が高い設計者ほど自己実現も強く保持しているように思います。

中小・中堅製造業設計者の自己実現……こんなことでしょうか……。

誰だって良い仕事をしたい!
いつも似たような仕事をしたくない!
時間に追われるのはいやだ!
いつも創造的なチャレンジをしたい!
私の設計した商品がたくさん売れて欲しい!
私の技術が世の中の役に立って欲しい!
そして……会社が儲かって給料がもっと上がればいいな!

結論として、これらの自己実現を叶えられる環境構築こそが「真の働き方改革」と言えるのだと思っています。中小・中堅製造業設計部門の働き方改革の目標だと思います。
そして、これらをいかに叶えられるかが経営層に試されているのだと思います。そして、その実現へのキーワードこそが今まで何度も掲げている「流用化・標準化設計プラットフォームによる設計効率改善」なのです。

再度述べますが、中小・中堅製造業の設計部門働き方改革は決して、残業規制や休日出勤禁止ではないのです。技量が高く、志のある貴社の設計者はそのようなことは望んでいないのです。「ゾーン」を大切にできて、自己実現が叶うと思える設計部門で自身の設計者ライフを過ごすことなのです。ここに気づきを持って中小・中堅製造業の働き方改革に臨んでもらいたいと思っています。
2月の初旬から当社最大の催事である実践ソリューションフェアが東京・名古屋・大阪で始まります。私も90分枠でセミナーを開催します。今回のコラムのテーマもさらに深堀して展開します。設計部門の働き方改革に悩まれているのであれば、ぜひのご来場をお待ちしています。

次回は3月1日(金)の更新予定です。

大塚商会 実践ソリューションフェア2019での谷口潤BOMセミナーご案内

毎年恒例の「大塚商会 実践ソリューションフェア2019」の東京・大阪・名古屋会場にて、下記セミナーを開催します。

中堅・中小製造業の設計部門「働き方改革」とは!?
BOM構築から始める設計効率改善

設計の人材が来ない・育たない・育てられない現実や、部品調達の長期化と短納期とのジレンマを抱える中小製造業の設計部門。その状況打破には、「働き方改革」と「設計効率改善」の同時実現が必要です。改革・改善の具体的な手法を実例とともにご紹介します。

セミナー開催日時は以下となりますので、ぜひご参加、お待ちしております。

<東京会場> 2019年2月6日(水)~8日(金) ザ・プリンス パークタワー東京
谷口潤BOMセミナー : 2月6日(水)15:45-17:15(90分)

<大阪会場> 2019年2月14日(木)~15日(金) グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)
谷口潤BOMセミナー : 2月15日(金)15:50-17:20(90分)

<名古屋会場> 2019年2月20日(水)~21日(木) ヒルトン名古屋
谷口潤BOMセミナー : 2月21日(木)15:50-17:20(90分)

大塚商会 実践ソリューションフェア2019

ご案内

書籍

当コラムをまとめた書籍『中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう!』を日刊工業新聞社から出版しています。
BOM構築によって中小企業が強い企業に生まれ変わる具体策とコツをご提案しています。

Nikkan book Store(日刊工業新聞社)
中小企業だからこそできるBOMで会社の利益体質を改善しよう!(日刊工業新聞社Webサイト)

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製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin SMILE V」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。

ハイブリッド型生産管理システム 生産革新 Raijin SMILE V

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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