デジタルトランスフォーメーション推進を担う人材に必要な資格とは?

経済産業省は、来る「2025年の崖」に備え、各業界にデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を呼びかけています。ツールの導入、クラウドの活用、既存システムのリプレースなどにより業務効率化を目指す概念として定義されているデジタルトランスフォーメーションですが、実践にあたり忘れてはいけない重要な要素が人材です。全社にデジタルトランスフォーメーションを浸透させていくためには、適切な人材が求められます。デジタルトランスフォーメーションの担当人材を評価するうえで重要な指標となるのが資格です。この記事では、デジタルトランスフォーメーション人材に必要な資格や人材育成の方法についてご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション推進を担う人材の基礎知識

まずは、デジタルトランスフォーメーション関連の人材確保が急がれている理由やその背景、デジタルトランスフォーメーション推進担当者に求められるスキルについてご紹介します。

人材の需給バランス

経済産業省は、2030年に最大約79万人までIT人材不足が拡大すると試算しています。IT人材の需要は今後も伸びていく見込みです。しかし、IT人材の人口自体は微増していますが、需要の伸びのほうが大きく、人材不足のギャップは埋められないと考えられます。

また、少子高齢化による労働力不足の影響を受け、ITに知見のある人材が不足する可能性も示唆されています。若年層ではない従来型のIT人材が、「先端IT人材」へ転換するには時間がかかると想定されています。先端IT人材とは、デジタルトランスフォーメーション推進につながる、AIやIoTなどの先端デジタル技術に強い人材を意味します。

また、日本では非IT分野の一般企業にエンジニアが少ない点も問題です。7割以上のエンジニアがベンダー企業に在籍しています。そのため、システム開発や運用を内製化できず、人材不足の解消は困難です。

業務をデジタル化するためには、人材の拡充が不可欠です。上述したようなニーズの高まり、それに対する人材供給の不足に対応するためには、迅速に行動しなければなりません。

デジタルトランスフォーメーション推進を担う人材に必要な主なスキル

ITに関する深い知識

基礎的なITリテラシーから先端技術まで幅広い知識が求められます。デジタルトランスフォーメーションに関する情報は常にアップデートされるため、常日頃から知識のキャッチアップを欠かさない知的好奇心も必要です。知識だけではなく、データの分析手法など活用方法も理解しているとさらに好ましいでしょう。

プロジェクトマネジメント

デジタルトランスフォーメーションの担当者は、プロジェクトの代表としてチームをけん引していく必要があります。そのため、システム開発などのプロジェクトを円滑に運営する力が必要です。生産性を意識したスケジュールの管理能力や、メンバーや外部とのスムーズな調整を行う高いコミュニケーション能力が求められます。

課題発見力

デジタルトランスフォーメーションで何にコミットしていくのかを判断しなければなりません。そのため、解決すべき課題を発見し、仮説を立てて解決・改善していく力が求められます。UI・UXの向上など顧客視点で課題を発見し、ビジネスモデルを開発する際などは、この課題発見力が役立ちます。

リーダーシップ

デジタルトランスフォーメーション推進の一環として、新規事業を起こしたり、他部署とコラボレーションしたりするケースがあります。そのため、他者の意見を尊重・調整しながら、プロジェクトに巻き込んでいく力が必要です。

デジタルトランスフォーメーション推進を担う人材に求められる主な資格

デジタルトランスフォーメーションを推進する人材としてチーム・組織を率いるためには、高い専門性が求められるケースがあります。その際、以下のような資格を持っているとデジタルトランスフォーメーション担当者としてのスキルを証明できます。各資格について解説します。

ITストラテジスト

ITストラテジストは国家試験「ITストラテジスト試験(ST)」の合格者に与えられる資格。経済産業省が認定する国家資格で情報処理技術者試験の一つです。ITを活用して経営戦略を実現するための人材であることを示します。デジタルトランスフォーメーションのプロセスにおいては、経営者の目線でIT戦略の立案と実行を担当します。

各ITベンダーの認定資格

各ITベンダーは自社製品に関する知識や技能が一定水準以上であることを認定する民間資格を運営しています。「オラクル」「マイクロソフト」「シスコシステムズ」「AWS」など大手ベンダーの認定資格を取得しておけば、活躍の幅が広がります。特に、該当するITベンダーのサービスを利用する企業には強く求められるでしょう。

Python 3 エンジニア認定試験

Python 3 エンジニア認定試験は、プログラミング言語「Python」に関する専門知識を持っていることを示す試験です。一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会という民間団体が運営しています。Pythonは、主にAI分野における開発で必要とされる言語です。2020年春以降、Python 3 エンジニア認定試験は「Python3エンジニア認定基礎試験」と「Python3エンジニア認定データ分析試験」という二つの種類に区分されています。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験はIPA(情報処理推進機構)が運営している、情報処理技術者の国家試験です。IPAの試験のなかでは、高度な知識・技能を要する試験として位置付けられています。情報処理系の試験のなかでは難関であり、合格者はスペシャリストとして認識されます。

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は、情報セキュリティに関する国家資格です。創設は2017年4月と比較的新しい資格であるほか、情報処理系の資格では初の「士業」である点からも注目されています。合格者は、システムの脆弱(ぜいじゃく)性を分析し、トラブルを回避するためセキュリティ機能・対策の企画、セキュリティ機能開発プロジェクト管理の役割を担当します。

デジタルトランスフォーメーションに関する資格を持つ人材の獲得方法

上述した資格を有する人材を自社で確保するためには、どのような取り組みを実施すればよいのでしょうか。デジタルトランスフォーメーションを推進できる人材の獲得方法についてご紹介します。

必要な人材を新たに雇用する

IT人材の獲得でスタンダードなのが、必要な人材を外部から新たに雇用する方法です。ただし、高度なIT人材は競争が激しいので、人件費が高くなります。採用に割く予算を決める場合は、デジタルトランスフォーメーションによって削減できるコストを考慮することが大切です。

アウトソーシングでIT人材を確保する方法もあります。社外の高度なIT人材に、開発や運用などの業務の依頼が可能です。ITの知見は自社に蓄積されませんが、短期間で成果を上げる必要がある場合に有効だと考えられています。

社員を育成する

既存の社員をデジタルトランスフォーメーション担当者として育成する方法もあります。デジタルトランスフォーメーションを推進できる人材となるように、スキルの習得機会を設けましょう。研修やセミナーの開催、資格取得費用の援助、取得時の奨励金などのサポートなどが、取り組みとして挙げられます。ただし、あくまで中長期的な計画となる採用戦略であり、効果を得るには時間がかかる点も留意しておきましょう。

資格はデジタルトランスフォーメーションの人材を選ぶ重要な指標

デジタルトランスフォーメーションをけん引する人材として適切なスキルセットをご紹介しました。人材は、デジタルトランスフォーメーションにおいても極めて大きな価値のある要素です。ITの知見だけではなく、経営やマーケティング、リーダーシップなど、さまざまな知識・スキルが求められます。適切な人材を採用・育成する上では、資格が重要な指標となるでしょう。資格を持った人材を獲得するためには、採用やアウトソーシング、既存人材の育成といった方法がありますが、いずれの方法でも競争率が高く、迅速な行動が求められます。人材は有限であり、最優先で確保しなければならない要素です。業務において少しでもデジタル変革の必要性を感じているのであれば、デジタルトランスフォーメーション人材の獲得をお急ぎください。

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