中堅・中小企業がデジタルトランスフォーメーションを推進すべき理由

2000年代以降、インターネットをビジネスに活用する動きが一般的になりました。以前は、ITツールを利用して業務に役立てる簡単な施策が一般的でしたが最近では大幅な業務効率化、リソースの有効活用による新たな企業価値の創出など、ビジネスにおけるテクノロジーの影響は大きくなっています。このように、クラウド、AIなどデジタル技術によってビジネスに大きな変革をもたらす概念が、「DX」という略称で知られるデジタルトランスフォーメーションです。大手企業を中心に取り組みが目立っているデジタルトランスフォーメーションですが、中堅・中小企業の間でも重要視されています。この記事では、中堅・中小企業にとってもデジタルトランスフォーメーションが必要な理由についてご紹介します。

中堅・中小企業にデジタルトランスフォーメーションが必要な理由

現在、業界・企業規模を問わずデジタルトランスフォーメーションが重要視されていますが、特に中堅中小企業では強く求められている状況です。その背景にある代表的な理由について解説します。

顧客ロイヤルティ向上の重要性が増している

企業や商品のファンになってもらえれば、アイデア次第で大企業と戦うことも可能です。そのためには、CRMなどの顧客管理ツールを用いて、顧客と良好な関係を築いていく必要があります。大量の顧客に効率的なアプローチを行うには業務量が多くなるため、従業員による取り組みや意識改革だけで対応するのは現実的ではありません。デジタルトランスフォーメーションによる効率化・業務の自動化が求められます。

また、顧客との関係性を強固にするためには、これまでにない新しい企業価値を提供することも重要です。デジタルトランスフォーメーションによりリソースの活用を最適化できれば、企業価値の創出というツールでは代替できない業務に人材を投入できます。このように、デジタルトランスフォーメーションは単なるITによる業務効率化ではなく、ITを利用したビジネスモデルの変革という側面も持っています。

商品の質や価格だけでは勝負しにくい

現在は、従来よりも効果的な売り方が求められています。これは、市場の成熟化や商品のコモディティ化のスピードが速くなっているためです。商品の質や価格だけでは、市場で競争していくのが難しくなりました。これまでとは違う手法で、顧客に価値を提供していく必要があります。顧客ごとに、有効なアプローチの方法を検討しなければなりません。MA、SFAなどの営業支援のITツールを使うことで、効率的に見込み客や顧客にアプローチできます。

レガシーシステムの負担が大きい

日本の企業の8割が既存システム(レガシーシステム)を保有しています。つまり、多くの中堅・中小企業が老朽化したレガシーシステムを持っている状況です。レガシーシステムは、ブラックボックス化・複雑化しており、保守・運用に手がかかるほか、担当できる人材も高齢化により続々と退職しています。維持しているだけで、コストがかるのがレガシーシステムの大きなデメリットです。ロスを防ぎ、生産性を高めるためにはシステムへの刷新が求められますが、レガシーシステムを運用している状態では新しいシステムの導入費用を捻出しにくいという問題に直面することになります。

中堅・中小企業がデジタルトランスフォーメーション推進を行う際の課題

デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを実施しても成功が約束されているわけではありません。中堅・中小企業がデジタルトランスフォーメーション推進を行う際に直面する可能性のある代表的な課題をご紹介します。

推進には費用と時間がかかる

レガシーシステムの変更には大きな費用がかかります。さらに、効果を出すためには時間がかかるケースがあるのが難点です。システムのリプレースのために十分な予算を確保し、経営層や社員が中長期の全社的なプロジェクトとして捉える必要があります。

現場スタッフがDXに消極的なことがある

「ITへの苦手意識を持っている」「デジタルトランスフォーメーションの重要性を理解していない」「これまでの業務を変更することに拒否感がある」などの原因により、現場スタッフがデジタルトランスフォーメーションに対して消極的になるケースが考えられます。デジタルトランスフォーメーションを推進する目的と必要性を明確に定めて共有する必要があるでしょう。デジタルトランスフォーメーションによってどのようなメリットがあるのか、理解してもらうことが重要です。身近な業務をデジタル化して利便性を実感してもらうと、デジタルトランスフォーメーションへの理解が深まると考えられます。IT技術によって実際に働き方が改善された外部の成功事例などを紹介するのもおすすめです。

ノウハウが属人化していることがある

中堅・中小企業でもデジタルの活用に取り組んでいるケースは少なくありませんが、ITに関するノウハウが属人化していることがあります。これは、専門業務が一部のスタッフに集中している企業で起こりやすいケースです。その担当者が退職してしまうとノウハウが失われてしまうため、別の担当者でも業務を行えるよう、情報を共有することが重要です。

中堅・中小企業がデジタルトランスフォーメーション推進を成功させるポイント

上述した課題を意識したうえで、デジタルトランスフォーメーションを進めていく必要があります。成功させるための解決策を幾つかご紹介します。

ITに精通した人材を確保・育成する

デジタルトランスフォーメーションはシステム・ツールの導入だけでは実現できません。ITに精通した人材の確保・育成が求められます。今後のIT活用を考慮し、人材を新たに採用または育成しましょう。他社も事業におけるデジタル活用に伴いIT人材の確保を急いでいることが予想されるため、スピーディーに採用の施策を実施する必要があります。社内人材の育成のために、研究会の開催や資格取得のサポートを行うこともあります。

人材確保・育成の資金に余裕がなければ、外部の知見を取り入れるのも選択肢の一つです。コンサルタント、ITベンダーなどを有効活用してください。

経営トップがコミットする

デジタルトランスフォーメーションには企業の組織変革を伴うため、経営トップがコミットして全社的に推進してくことが求められます。トップの経営判断であれば、社内における部署間の利害に関係なく、システム変更や業務の見直しを行えます。

中堅・中小企業のデジタルトランスフォーメーション活用に向けた経済産業省の取り組み

中堅・中小企業がデジタルトランスフォーメーションを実施するにあたり、強力なサポートをしてくれるのが経済産業省です。ぜひ知っておきたい、経済産業省のデジタルトランスフォーメーション活用に向けた取り組みをご紹介します。

IT導入補助金の電子申請化

経済産業省は、中堅・中小企業のITツール導入支援にかかる費用を一部支給するIT導入補助金制度を実施しています。従来、申請にあたって必要だった紙の書類の提出が廃止され、押印も不要になりました。現在は、Webサイトからの申請に一本化されています。

この申請方法改正は、経済産業省、申請者ともにメリットがあります。経済産業省は、申請書類の手入力など、職員の業務負担を削減できる点がメリットです。申請者にとっては申請作業が楽になりました。書類の入手・押印・郵送が不要になった点は大きな変化です。また、設問の多くが記述式から選択式に変更されることで回答時間を短縮できます。記入漏れにはアラートが出るため、事前に書類の不備を防止でき、結果的に申請作業が早まりました。

中小企業庁による支援プラットフォームの改善

経済産業省は中堅・中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」をリニューアルしました。ワンスオンリーを採用し手続きの煩雑さを解消しています。ワンスオンリーは、一度入力した情報は再度入力しなくても自動入力される仕組みであり、入力の短縮、入力ミスの防止につながる機能です。さらに、レコメンデーション機能を搭載しているため、登録情報に基づき、最適な支援制度があれば通知されます。UIも向上しており、情報を整理し視覚的に分かりやすく改良されました。ユーザーが目的の情報にたどり着きやすくなっています。

デジタルトランスフォーメーションは中小企業が生き残るためのキーポイント

経済産業省は、レガシーシステムの限界やIT人材不足によって起こる多大な経済損失「2025年の崖」を予見しています。日本企業はもれなくこの影響を受ける見込みです。中堅・中小企業も例外ではありません。生き残っていくためには、デジタルトランスフォーメーションによる業務効率化、新たな企業価値の創出が不可欠です。業界を問わず、先を見越した業務のデジタル化は始まっています。自社の業務のなかにテクノロジーによって効率化できる部分を見つけ、「2025年の崖」を乗り切るための施策を開始してください。

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