業務効率化とは? 目標設定の方法と参考となる指標、手順

人手不足や生産性の向上が求められる昨今、業務効率化を目標に掲げている企業は多いのではないでしょうか。業務効率化は職種や役職を問わず、幅広いビジネスパーソンにとっても身近な言葉ですが、実際に取り組んで成果を挙げるには正しい意味や実施する際の手順などをしっかりと理解しておく必要があります。そこで今回は、業務効率化に関する目標設定や指標、行動指針などの施策を実施するための基礎知識をまとめてご紹介します。

業務効率化とは

業務効率化の本来の意義と、近年、注目を集めている理由について紹介します。さまざまな施策や取り組みに共通する内容なので正しく理解しておきましょう。

業務効率化の意義

業務効率化とは、一つ一つの業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を明らかにして削減することでより円滑で正確な業務に改善することを指します。業務効率化は「労働生産性」の向上にも直結しており、実現できれば企業にとっては利益拡大につながる重要な取り組みです。また、従業員にとっても労働時間の削減や省力化など多くのメリットを享受できます。

業務効率化が求められる理由

近年、業務効率化を検討する企業が多い理由の一つが、国が推進する「働き方改革」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」への対応の必要性が高まっていることです。特に人員拡充や大幅なデジタル化が難しい企業にとっての業務効率化は、低コストで職場環境などの改善を図る重要な施策といえるでしょう。国の政策などの外的な要因のほか、既存業務を効率化することで利益の最大化を図ることも企業にとっては大切な事業活動です。

業務効率化の目標設定と指標

業務効率化を正しく実施するうえで欠かせないのが「目標設定」です。目標は業務効率化の目的ごとの「指標」をもとに数値化することで、より明確になり進捗(しんちょく)管理も容易になります。その代表的な指標を紹介します。

売り上げ、利益に関わる指標

業務効率化に関わる指標のうち、生産性向上による利益拡大などが目的の際に利用されることが多いのが目標の達成度の測る評価指標「KPI」です。KPIには「粗利率」「営業利益率」「人件費」「人件費率」など、さまざまな種類がありますが、いずれもデータに基づいた根拠のある数値であることが重要です。
業務効率化の目的に適したKPIを選択し、前年度のデータを基に数値を決めることが一般的です。繁忙期がある業種などは実施する期間の前年同期比、前年同月比など、より絞り込んだデータを抽出する必要があるでしょう。

労働環境などに関わる指標

労働環境の改善も業務効率化の主要な目的の一つです。労働環境に関わる指標としては「各工程の作業時間」「業務全体の時間」「残業時間」「離職率」などが挙げられます。また、「従業員のモチベーション」も労働環境の改善を図る重要な指標といえます。

モチベーションは個人の「やる気の高さ」と「やる気に対する成果」「モチベーションの要因」を測るMSQ診断で数値化できます。特に業務効率化のメリットが企業や経営者の視点に偏ってしまいますと、取り組みに不可欠な従業員の協力が得られにくくなってしまうケースも考えられます。

「残業時間●●%削減」といった従業員がメリットを感じやすい目標設定が、業務効率化による労働環境の改善では必要性が高いと考えられます。

業務効率化の手順

業務効率化の目標設定と合わせて行う必要があるのが、具体的に計画を策定です。その全体の大まかな流れは「現状の把握」「対象の業務の選定」「施策の実施」「検証と改善」の四つです。それぞれの具体的な内容を確認しましょう。

業務を「見える化」して現状を洗い出す

まずは業務効率化の最初の一歩は、全ての業務の「見える化」です。取引先との連絡や商談の方法、生産工程など各部署の業務の現状を洗い出して明確化するのが目的です。対象となる業務は社内外を問いません。

具体的には、各業務の担当者、作業フロー、使用しているツール、人材のスキルや経験、工数、頻度などをまとめます。この際、項目などをフォーマットに落とし込んで整理することで後の作業が行いやすくなります。

効率化すべき業務を選定

「見える化」した作業の現状が把握できたら、その中から効率化に取り組む業務の順番を選定しましょう。

一般的には、定型化しやすく、単純作業で発生頻度の多い業務は効率化したときの効果が大きいため、優先順位が高いと考えられています。例えば、仕訳や経費精算といった経理業務のほか、社内での資料や情報共有が発生頻度も多く、作業も単純なのでITツールを導入した効率化の効果が大きい傾向にあります。

さらに売り上げや利益拡大が目的の業務効率化の場合、利益に直結する「コア業務」と間接的な「ノンコア業務」の振り分けが重要です。ノンコア業務の外注化、自動化による効率化を実施し、新たに生まれたリソースをコア業務に集中させることで利益の最大化を図ることがセオリーになっているからです。また、コア業務は技術やノウハウを蓄積するため、内製での効率化を検討することが一般的です。

施策の検討・実施

しっかりと目標を設定し、取り組むべき業務を選定できたら効率化の施策を検証・検討して実施します。このフローが不完全だと成果が上がりにくくなりますので、業務改善の四つの行動指針「ECRS」にのっとって設計する必要があります。

ECRSは「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(交換・再配置)」「Simplify(簡易化)」の頭文字からなる略語で、元々は生産管理現場の業務改善指針でしたが他部署の業務にも応用できるとして注目が集まっています。

Eliminate(排除)

各業務のムダを排除することが「Eliminate(排除)」の目的です。
具体的には紙の資料を印刷、配布、管理する手間や定例会議の開催そのもの、費用対効果が少ない営業活動などが挙げられます。「見える化」した業務フローの関連作業を含め、排除することが業務を整理整頓する最初の一歩といえるでしょう。

Combine(結合)

似通った異なる業務を結合することで効率化を図るのが「Combine(結合)」です。
工程などを結合することで、作業時間の短縮が図れるほか人員、備品、設備をより合理的に使いやすくする環境構築にもつながります。また、同一作業においても「まとめて行う」ことで頻度など少なくし、効率化につなげることも「結合」の取り組みです。

Rearrange(交換・再配置)

「Rearrange(交換・再配置)」とは、作業の流れを見直し、最適化を図ることです。例えば、ルートセールスでより効率的な顧客訪問のルートにしたり、資料づくりの手順を変えたりすることで効率アップするケースは少なくありません。

Simplify(簡易化)

複雑で多くの人員を割いている業務を改善し、少ない人やコストで遂行できるよう業務そのものを「Simplify(簡易化)」できれば大きな効果が期待できます。その方法はさまざまですが、クラウドストレージの導入によるバックアップや資料管理の省力化やオンライン商談による移動時間の削減などが簡易化の代表的な施策です。

施策の効果を検証しPDCAサイクルを回す

業務効率化の施策は、実施した後も検証を行い、さらなる改善を図り続けなければ効果を最大化させることはできません。そのため、まず施策を実施する前に構築しなければならないのが「PDCAサイクル」です。

施策を実施した後、まず改善案(Plan)を策定し、実施(Do)、さらにその結果を検証して施策を評価(Check)します。そしてさらに改善が必要だと判断した場合、より高い効果が見込める施策に取り組みます(Action)。

目標を達成するまでPDCAサイクルを回す必要がありますので、円滑に作業を進められるようにその方法を事前に固めておくことが大切です。

業務効率化の成功は計画がカギ

業務効率化に成功して生産性の向上や人手不足の解消につなげるためには、適切な計画の立案が欠かせません。業務効率化の方法や導入するツール、運用体制などは部署や事業部、拠点によって異なるケースもあるため、より精度の高い計画が求められます。

大塚商会では幅広い部署や業務効率化の方法に適したソリューションやツールなどをご提供しています。

これから業務効率化に取り組む企業はもちろん、運用方法などに課題を抱えている担当者の方もぜひご相談ください。

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