RPAとは? 活用が求められる理由とメリット・デメリット、選ぶポイント

多くの業界は慢性的な人手不足に陥っています。一方で、競争力を強化していくためには、生産性を落とすわけにはいきません。ITを駆使して人手不足を補い、生産性向上を目指すのが一般的になっています。単純作業を自動化するソリューションとして注目されているのがRPAです。RPAの導入によって増大した業務量によるリソース圧迫の課題を解決した事例は少なくありません。こちらでは、RPAの概要や求められている背景をご紹介します。

RPAとは?

そもそも、RPAとはなんなのでしょうか。以下では、RPAに関する基本的な情報について解説していきます。

RPAの意味

RPAは「Robotic Process Automation」の略語です。PC上で行っている定型的な作業やサーバー上のデータ処理などを自動化することを指します。現在では、その自動化のためのツールという意味で用いるのが一般的です。

「仮想知的労働者(デジタルレイバー)」と呼ばれることもあります。その名のとおり、社員と同じように労働力として活躍します。対して、人の労働力のような稼働時間の制限はありません。さらに、ルールが決められた業務・同じことを繰り返す業務に限れば、人が行うよりも正確でスピーディーです。

まさにロボットが業務を実行するようなイメージで、導入後は業務効率の向上が期待できます。

RPAとAIの違い

RPAとならび、現代において活用されることが多いテクノロジーの一つがAIです。AIは「Artificial Intelligence」の略であり、人工知能を指します。人間と同じような知能を持ったシステム・ソフトウェアのことです。

RPAとAIは混同されることがありますが、性質は異なります。

RPAはあらかじめ決められたルールによって処理を行うツールです。ルールについては、人間が設定しておく必要があります。対して、AIは自律的に判断して処理を行います。また、学習能力があるAIは、少しずつ作業に習熟していく点も特徴です。

RPAの活用が求められる理由

RPAの活用が求められる理由は大きく分けて二つ考えられます。生産年齢人口の減少と、急務となっている労働生産性の向上です。以下では、それぞれの理由について解説します。

少子高齢化による生産年齢人口の減少

日本では1995年をピークに生産年齢人口が減少を続けています。生産年齢人口とは、15歳以上65歳未満の人口のことです。生産活動の中心を担う人口層を意味します。

2020年の生産年齢人口は全体の59.1%まで減少しました。2055年には51.6%まで減少すると予測されています。生産年齢人口の減少は労働力の減少に直結しているため、日本全体の労働力は少しずつ弱くなっている状況です。

生産年齢人口を回復させる重要性が叫ばれる一方で、多くの企業はITを利用して失われた労働力を補強しています。RPAも労働力の確保に貢献している技術の一つです。

参考:「令和2年版情報通信白書」(総務省・PDF)

労働生産性の向上

公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較 2020」によると、日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟国37カ国中21位という結果になりました。この結果は、主要先進7カ国の中では最下位です。国際的な競争力を獲得するには、労働生産性の向上が急務だと考えられています。

さらに、働き方改革の推進により、労働時間の適正化が求められるようになりました。つまり、働く時間が短くなる中で、生産性を上げていく必要があります。

意識はモチベーションだけで明確な生産性の向上を実現するのは現実的ではありません。現在のテクノロジーでは、単純作業をツールに任せることは十分に可能です。付加価値の低い業務をRPAによって自動化することで、生産性の向上を図る必要があると考えられています。

参考:「労働生産性の国際比較 2020」(公益財団法人日本生産性本部・PDF)

RPAの活用によるメリット・デメリット

RPAは幾つかのメリットから、多くの企業に導入されています。一方で、デメリットもあるため、導入の際には注意が必要です。RPAを導入する際の、メリット・デメリットをご紹介します。

メリット

社員がコア業務に集中できる

RPAを導入することで、社員にとっては利益に直結するコア業務に割ける時間が増加します。利益を直接生まないノンコア業務は、定型化できる業務が多いのが特徴です。RPAは定型化された業務の処理に向いているため、ノンコア業務は得意分野といえます。

代表的なノンコア業務が、請求書や経費の処理、基幹業務システムへのデータ入力、データの収集などの事務作業です。こうした業務は社員のリソースに負担をかける一方で、利益に結びつかないことから効率化が求められていました。RPAは自動で稼働するほか、時間の制限もないため、夜間にこうしたノンコア業務を処理されることもできます。

ヒューマンエラーを減らせる

RPAは決められた手順通り、正確に処理を行います。そのため、ミスが発生しにくい点がメリットです。

人が作業を行うと見落としや思い込み、手抜きなどによるミスは避けられません。ミスが起こるとトラブルの解消のために時間を浪費しさらに生産性が落ちます。人は長時間働くと疲れなどにより、生産性が落ちやすくなる点も問題です。

RPAは設定されたルールに基づいて処理を繰り返すため、こうしたヒューマンエラーを懸念する必要はありません。また、24時間365日、安定して稼働する点も魅力です。

コストの削減ができる

人との労働力と比較してコストがかかりにくい点もRPAのメリットです。

社員を雇うと採用の費用や人件費だけでなく、社会保険料や備品代など、さまざまなコストがかかります。新入社員を戦力にするまでに時間や手間も教育コストとして発生します。

さらに、導入した時点で即戦力として活躍するため、教育コストがかかりません。

デメリット

導入に手間がかかる

RPAを導入する際は、業務の棚卸しや使用方法の習得など一定の手間がかかります。導入しても、社員が日々の業務に追われてRPAを使いこなせないケースもあります。そのため、処理させる業務を洗い出しておく、社員向けのマニュアルを用意しておくなど、RPAの導入は計画的に進める必要がありますが、こうした準備自体が負担になってしまう点は否定できません。

定型化できない業務への対応は難しい

RPAはルールベースで処理を行うため、思考や判断が必要な業務には向きません。どのような業務でも処理が可能なわけではない点に注意が必要です。特殊な業務プロセスなどルール付けが複雑な業務に対してRPAを用いようとすると、期待した効果が得られないケースがあります。

RPAツールの選び方のポイント 

最低限の機能を備えたものから長年評価されている定番まで、多くのRPAツールが提供されています。それぞれ特徴があるため、どのツールを導入すべきか迷ってしまうかもしれません。以下では、RPAツール選びのポイントをご紹介します。

クラウド型かオンプレミス型か

RPAツールにはクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。

クラウド型はインターネットを介してサービスを利用する形態です。インターネットが利用できる環境であればどこでも利用できます。 一方で、安定性についてはインターネット環境に依存しています。通信障害などの際は利用できません。また、インターネットを利用することから、情報漏えいやサーバー攻撃などのセキュリティーリスクも懸念されます。

オンプレミス型は自社のサーバー内や所有するPCにソフトウェアをインストールする形態です。システムに直接アクセスするため動作スピードが速く、ストレスなく利用できます。オフラインで利用できるため、セキュリティを強固に保つことができる点もメリットです。特にパスワードやIDを入力する業務では安心して活用できるシステムとして評価されています。自社の幅広い業務を自動化できるように、あるいは既存システムとの連携が可能なように設定するなど、調整の幅が広い点も特徴です。

使いやすいUIになっているか

UIが使いにくいRPAツールは設定や操作に手間がかかります。また、実際にRPAのユーザーとなる現場の社員のリテラシーも考慮しましょう。専門知識のない人でも直感的に使用できるツールを選ぶのが望ましいといえます。

サポート体制が整っているか

導入してRPAの操作に慣れるまでは、ベンダーのサポートを頻繁に利用することが予想されます。サポート体制が整っているRPAツールを利用すると困ったときに相談がしやすいでしょう。サポートが充実しているベンダーであれば、導入の際に設定方法をレクチャーしてくれたり、トラブル対応を迅速に行ってくれたりするため安心です。

RPAによる定型業務自動化で人のリソースを有効活用

労働力が不足している現在、簡単な仕事は可能な限り自動化するのが好ましいといえます。社員のリソースは貴重であり、できる限りコア業務に充てるべきでしょう。そのためには、RPAで定型業務を自動化することが大切です。多くの企業がRPAを導入し、リソース活用の最適化に成功しています。今回の内容を参考に、自社に最適なRPAの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

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