ERP導入は、お客様のために一気通貫の仕組みを築くためのインフラ基盤【後編】(東京オート株式会社様)

栃木県下でトップを走る中古車販売店

東京オート株式会社(以下、東京オート)様は、単体での年商が65億円、従業員148名、全グループを合わせると年商150億円を超え、栃木県下でトップを走る中古車販売店です。

業種・業界
自動車販売・整備業
事業内容
中古車・新車の販売、車検・点検・一般整備、用品販売、板金塗装、損害保険代理業など

ERP導入までの経緯

厳しい中古車販売の市場環境

さて、中古車販売の現状はどうなっているのでしょうか? 最近では、(昔は新古車と言われていた)登録済未使用車の軽自動車を格安で販売する専門店や、買取チェーンでも中古車販売に乗り出すなど中古車販売の形態も多様化してきました。一方でハイブリッド化が進む新車販売では、ガソリン代の高騰を背景に低燃費車への代替を訴求して新モデルを次々に投入しています。多店舗展開をしている東京オート様に限らず、既存の中古車販売店の多くは生き残りをかけた同業他社と新車ディーラーとの板挟みの状態で厳しいことに違いはありません。

豊富な展示車数と、和やかな商談スペースや用品コーナーで入りやすい雰囲気の店舗づくりに気を配っている

苦境を脱出するカギは「会社の強み」

そういうふうに考えれば、確かにマイナス要因は数多くあると言えます。しかし、半世紀前にクルマ社会が成熟市場を形成した欧米と比べると、自動車販売台数に占める中古車販売の量はまだまだ伸びしろがあり、開拓の余地はあるように見えます。さらにお客様アンケートのコメントにあるように、長年に渡り積み重ねてきた信頼と安心の高い評価、アフターフォローの良さへの評価、そして数多くのリピーターのお客様が増加している事実。まさに、東京オート様のその強みをさらに高めることこそ、苦境を脱出するカギと判断されました。

お客様の情報を組織全体で共有できるシステム運用

重要なポイントは、冒頭で触れたお客様の情報を組織全体で共有できるシステム運用とそのための仕組み作りです。お客様との関係性を把握するために、これまで一元管理されていた顧客情報とお取引履歴、整備履歴などに加えて、接触履歴を顧客情報画面から見られるようにしました。従来は取引も入庫も伴わないお客様からのお問い合わせや、販売店側からお客様へのご連絡などは、担当者しか把握していませんでした。このため、その方が不在だと分からないことも多く、二度手間になることやお客様をお待たせすることもありました。

そこで、お客様との電話や対面でのやりとりも接触履歴で把握できるシステムにしました。お客様に対応したスタッフ全員が入力することで、お店全体でお客様とのやりとりを把握することができます。例えば、担当者がお客様に電話連絡をした翌日に着信履歴を見てお客様が折り返しご連絡をしてきた際に、担当者がいなくても接触履歴を見て「1カ月点検のご案内を差し上げておりました。担当の代わりにこちらでご都合のよい日時で承ります。」などとフォローできるのです。

また、担当者も連絡した内容を手帳や営業日報で管理するよりも一目で分かるようになり、取引履歴・整備履歴と一緒に接触履歴を見ることで、記憶に頼らず個々のお客様に最適なご案内ができるようになりました。例えば、「前回のご来店から一年近くたちますが、お車の調子はいかがでしょうか。先日、感謝祭のご案内を差し上げておりますが期間中はオイル交換を特別価格で提供しております。」といったように、お客様との関係性を反映させた内容でお話をすることで、足が遠のいていたお客様との接点も取りやすくなりました。

店頭接客情報の収集と分析

もう一つは、POS管理システムにあたる店頭接客情報の収集と分析のための仕組みです。お車の購入を検討しに来店されたお客様に対して、担当者が展示場にご案内して店頭で接客をしてから、店舗に入って見積書を出して商談をするのが一般的な流れです。これまでは商談をしてアンケートに記入をしていただいたお客様のうち、購入見込みがあるお客様の情報しか把握されていませんでした。しかし、こうしたお客様は来店された方の半数に過ぎず、展示場で接客をしてもそのままお帰りになったり、見積書をもとに商談しても見込みが薄いという営業側の判断でそのままになっているケースが多数ありました。車両販売の成約率は来場組数の3割程度であることを考えると、残る7割のお客様が成約に至らなかった理由について「見える化」して分析することが重要なはずです。

そこで、接客まで進んだお客様の属性や希望車種や予算などを、店頭接客情報として入力することにしました。考えてみれば、店頭で失客したり商談で失注した報告をわざわざ行う営業はまれですから、こうした情報を店長が日々見ながら、営業の育成指導や今後の仕入に活かしていくことがよいことは言うまでもないことです。

問題解決手段としてのERPシステム導入

このように、顧客データと車両データの統合によって東京オート様では「より的確なマーケティング・効果的な営業戦略の実践」が可能になりました。しかし、同社はERPシステムを導入しようとしてERPシステムを採用したのではありません。経営理念である「顧客第一主義」を、もう一度自分達で再検証しようとしたプロセスで、お客様のアンケートに書かれた記事にヒントを得て点が線になり、新しい気づきがさらに複数の新しい疑問と気付きを産むことで、同心円を描くように広がっていき、それをシステムの形にした時、結果としてのERPシステムになっていました。

年商こそはこの厳しい環境下で微増に留まったものの、お客様との関係性強化からさまざまなサービス業務へのリピート依頼が増加し、利益面では連続四期、前年を二桁以上上回る伸長をされています。

システム導入にあたっての過程にこそ価値がある

「今回のシステム化で一番よかったことは、システムのあるべき姿に向かっての打ち合わせから、導入稼働まで社員と数多く話せたこと。そして、社員が数多くの問題意識を持ってくれていたこと。そしてそれを皆で話し合って解決手法を考えてくれたこと。結果としてシステム化された部分より、目に見えないそう言った時間で『お客様との関係性をいかに大事にするべきか?』を全社員で共有できたことが、今の当社の強味であり、財産だと思っています。」と、最後は照れながらもそう話してくださった中村社長の笑顔に、心からの喜びを感じました。「でも、今日をスタートとして、更なる高みを目指す。」そう言って厳しい経営者の目に変わるのに、そう時間はかかりませんでした。

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システム導入におけるプロセスそのものに価値がある

東京オート様が「2014 CRMベストプラクティス賞」を受賞されました

「品質評価書の提示と独自のロードサービスを付加、また、希望車両(車種・色・グレード)を求車・調達により実現することで顧客の中古車に対する不安と不満を解消。また自動車販売会社向け総合支援システム(TAS=Total Assist System)による顧客接点情報を活用し、車に関する全て(購入・点検・修理・保険等)を相談できるトータルカーライフプランナーとして地域に密着した新しい形の自動車販売を展開し、お客様満足度および業績の向上を図り、『生涯顧客』を創ることを目指している。」として一般社団法人CRM協議会から「CRMベストプラクティス賞」を受賞されました。

*「CRMベストプラクティス賞」とは…「顧客中心主義経営(CCRM)」の実現を目指し、戦略、オペレーション、組織の観点から顧客との関係を構築し、戦略、オペレーション、組織の観点から顧客との関係を構築し、その成果をあげている企業・官公庁・団体を選定し、CRM推進のモデルケース創りや人材育成として、広く役立てていきたいという目的で実施されているもの。

東京オート株式会社が「2014 CRMベストプラクティス賞」受賞
(* 別サイトに飛びます)

導入実績、業界トップクラスのERPシステム「SMILE」シリーズ

日本独自の商習慣や業種特性などを取り込んだ、ERPソフトです。オフコン時代に発売以来、常にお客様とともに時代を歩み、ご要望を反映、新しいテクノロジを導入して進化を続けてまいりました。企業の規模に合わせて「SMILE BS」「SMILEes」からお選びいただけます。

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