第54回 CADとCADの違い

仕事で地方へ出向く機会が多いのですが、芽吹いた新緑の間を爽やかな風が吹き抜けます。正に薫風香るという季節ですね。一方、都会ではマスクを見かけなくなりました。スギ花粉症も一段落ということでしょうか。

海外の友人と久々に会いました。その時の話題を皆さんに届けたいと思います。
今回は少し肩の力を抜いて、箸休めのつもりでお読みください。

彼(M氏)はフィンランド人で業務用(放送局、スタジオ向け)のモニタースピーカーでは業界のデファクトとなっているG社の会長(CEO)です。小生とは旧知の仲でお互い日本、フィンランドを行ったり来たりで親交を深めています。何より大変優れたエンジニアであり、技術に対する造詣、そしてその真摯な態度には小生も尊敬をしております。
その様なM氏の会社G社も事業柄優れた開発・設計部門を持っています。
寿司屋で晩飯でした。こんな会話から始まりました。

M氏「Jun(小生の名)の会社(弊社、大塚商会)はCADシステムを日本で一番多く売っているそうだね?」続けて「CADってどのように訳しているの?」
小生「そのままCADと呼んでいるね」
M氏「それじゃComputer-Aided Design?」
小生「そうだね」
M氏「本当にそう思う?」
小生「…??」

M氏「うちのエンジニアと討論したことがあるのだけれど、あれは明らかにComputer-Aided Draftingだと思う。特に2D CADはエンジニアの頭に造形されているイメージを描き出しているだけだよね」というのです。

Drafting…たしかにその通りですね。2D・CADの前に座っている時にはたしかにDesign済みのイメージが概ね頭の中にでき上がっている。

M氏「3D・CADになるとようやくComputer-Aided Designと呼べるかなー、我々も音響解析には多用しているし、Computer-Aidedを感じるね」
M氏「Junの提唱している流用化・標準化設計プラットホームも明らかにComputer-Aided Designだね。設計資産とBOM情報によってComputerつまりITの能力を借りて設計を進める訳だから」

小生「PDMという括りも世の中にあるよね。どう思う?」
M氏「PDMという括りは余りにも漠然として、設計という仕事との関わり方のイメージが湧かない」
小生「Agree with you!」

M氏「中規模企業の設計部門は図面を描くためのCAD(Computer-Aided Drafting)と設計効率を高めるため流用化・標準化設計プラットホームとしてのCAD(Computer-Aided Design)との両システムが必要だと思う。CAD(Computer-Aided Drafting)を設備して図面を沢山生み出すのは良いのだが、それらは設計資産なのだから全社的な設計者間共有情報として活用する発想が不足している。重複設計や類似設計を無くすためにはCAD(Computer-Aided Design)システムが不可欠だ。フィンランドでは個人の病歴(電子カルテ)が全病院の共有情報となっているため重複治療や多重投薬は起きないし、検査結果も共有される。したがって医療事故を隠ぺいすることもできない。この事実は設計部門で重複設計や類似設計を無くし、貴重な設計不具合事例を共有するために何をすれば良いのか、シンプルに教えてくれている」

小生「設計部門のCAD&CADね!_ちょっとややこしいけど・・・今時Computer-Aidedという能力を設計現場にどのようにしたら持ち込めるか?_設計部門を預かる幹部が大いに考えるべき事案だね。何より設計効率に直結する訳だから」
M氏「図面の読めないComputerに上手く設計情報を理解させる方法を知っているか、さらにBOM情報構築能力も含めて、設計プラットホームとしてのCADシステムの有無で会社ごとの設計効率格差がますます広がっていきそうだね」
小生「私もそう思う」

旨い白の甲州ワインを飲みながら寿司屋で交わしたCAD論議でした。

つまらない言葉遊びをしているつもりは無いのですが、26文字言語系(アルファベット)の単語の頭を取って、並べて略した呼び名(CADやPDM、最近ではTPP)はジョークネタに事欠きません。ちょっと日本語では起きない発想ですが、たった一文字「D」だけでこれだけの「討論?」ができるのも「26文字順列組合せ言語系」の特徴です。
御社のCAD&CAD事情は如何に?

次回は6月3日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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