第68回 緊急特集 「部品が無い! 生産現場からの悲鳴!!」

今月は継続しているテーマを1回休み、最近、毎日のように私の周囲から聞こえてくる「部品の欠乏」という現実とその原因を考えて共有したいと思います。

緊急特集 「部品が無い! 生産現場からの悲鳴!!」

梅雨本番です。恵みの雨ではありますが、終わり際の集中豪雨が起きないことを願うばかりです。私の「慈雨」はいわずもがなホッピーです。

購入品の納期が破綻している

製造業の旧友達が毎日のように私の携帯を鳴らします。内容は異口同音。

「谷口、コンサルやっているから多くの企業知っているはず。O社の*****というセンサーの在庫があれば、いくらでも良いから回して欲しい」という。

私からは「あのような汎用部品がそんなに逼迫しているの?」と聞き返すと、「ありえない納期だ! 例えばメカ系でいえばリニアモーション系部品で良くて納期6カ月、エレキ系ではあの汎用中の汎用部品だったO社のクワガタセンサーが何と2カ月、メカ系部品の傾向は感じていたから、少し在庫していたが、即納であったセンサー系が2カ月というのは青天の霹靂。生産現場が大混乱している」とのことでした。

私なりに、調べてみるとたしかに半導体生産設備系が引き続き好調です。あくまで引き続きであって、直近にピークがあるわけではありません。であれば、何が起きたのだろうか……?

エレキ系大手のO社、P社にも知人がいるので理由を聞くと、これまた異口同音。
「働き方改革!!」とのこと。
私も説明を聞くまで納期破綻と働き方改革が上手く繋がりませんでしたが、なるほど! という結末。

顛末はこうです。

大手各社、時代の潮流というかトレンドや「お上のご指導」もあって、働き方改革を迫られる。働き方改革って何だっけ? というところから始まる様子。そこでまず狙い撃ちされるのが「メンタルヘルスを阻害する残業時間を何とかしよう!」となります。

結果、短絡的ではありますが「残業時間を減らせ!」となるわけです。正攻法としては「生産効率を上げて」残業時間を減らしていくわけですが、そんな悠長なことは認められず一律何時間減という「残業減ノルマ」が生産現場に与えられます。

生産効率が上がってはいないので残業時間が減った分、見事に(?)生産能力が落ちます。とどめは生産時間確保の伝家の宝刀「休日出勤」ももちろんご法度となり、概ね3割は生産能力を失っているとのこと。
私から「それではしばらく納期の改善は無いな」との問いに対し「製造業の需要が減らない限り厳しい」との回答でした。

慌てて「在庫にしよう!」は怪我のもと

では対応策はどうすれば良いのかということになります。

リニアモーション系の部品ように、お客様希望納期より長いリードタイムという異常値に対しては何らかの防衛策は必要でしょうし、即納であった汎用品のリードタイムに対しても傾向と対策は求められます。まず発想するのは「在庫」です。

つまりあらかじめ買っておこうという発想です。しかし、この安易な発想は危険です。怪我のもとです。

  1. 本当にあらかじめ買って、在庫にした部品は使われるのでしょうか?(=流用化・標準化設計は行き届いているのか?)
  2. 在庫した部品をしっかり引き当てて、在庫管理できる仕組みはあるのでしょうか?(まさかExcel+気配り管理で対応するつもり?)

買った部品はもうお金には戻りません。余って不動化したら廃棄するしかないのです。このような危険な在庫を増やさないためにも流用化・標準化設計の実践や生産管理システムの稼働が求められるのです。

日本の製造業もいよいよ本当の生産効率改善が迫られる

過去の日本型生産の型として「モーレツ型」を体験している私には、突然始まった「働き方改革」というのは何となく日本の製造業の立ち位置を弱くしているような気がしてなりません。

ドイツに居る友人は日本とドイツの生産効率の違いを昔から常々言っていましたが、会社に来て5時以降の予定も含めて考えている日本と5時でさっさと帰宅すること(+1カ月以上の長期休暇)を前提とするドイツとでは、たしかにリンゴ対リンゴの生産性比較にはなっていないと感じています。

これを生産性文化の相違と片付けてしまうつもりはありませんが、残業や休日出勤を生産性の補完として使っていた日本型製造に対し、いよいよ世界標準があてはめられようとしていると感じています。これは大手ばかりでなく、中小中堅の製造業にも迫られるトレンドであると考えています。

したがって、このトレンドに唯一対峙できる本当の改革とは何かといえば「全社的な生産効率の改善」なのです。
設計部門から生産部門に渡る全社最適を見なおして、一刻も早く全社効率を高める行動を起こすべきです。
世界標準の働き方改革はどのように考えても日本型生産を許容するとは考えられないからです。
戦う土俵のカタチが変わろうとしているのです。日本の製造業がそのカタチに対応できるか否かなのです。

次回は8月4日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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