第112回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その44~流用化・標準化設計プラットフォーム構築後の組織改編はどのように考えるべきか?

コンサルが進捗(しんちょく)して、プロジェクトの自力操舵(そうだ)、自力推進の可能性が実感できる状態になると、最初に見えてくるのが「今のままの会社組織や職務分掌で良いのか?」という疑問です。いよいよ組織改編という経営マターに直面します。

設計部門BOM改善コンサルの現場から~その44~流用化・標準化設計プラットフォーム構築後の組織改編はどのように考えるべきか?

最近、マイブームとなっているのが「シャリ金」です。これは「金宮」をシャーベット状に冷凍したものです。その「シャリ金」にホッピーをかき氷風にかけて、シャリシャリといただく? 呑む? 作法です。部屋を暖かくして、これは癖になります。世の中にもジワリと広がっている様子。今年の夏はこれかな?

E-BOM構築は設計責任。でもM-BOMは誰が構築するのか?

流用化・標準化プラットフォームの構築にめどが立ち、プロジェクトメンバーの共通認識として、そのあるべき姿やさらに進んで、具体的パッケージの選定まで進捗した状態になると、何となくザワついた雰囲気になります。
それは、「誰がM-BOMを構築するの?」という懸念です。

理想論として、設計部門でM-BOMまで構築できれば問題ありませんが、そのようなスーパーエンジニアが全員というわけにはいきません。おのずと、生産管理システムとの関わりも含めた分業体制をイメージします。

昨年からDX(Digital Transformation)という考え方が定着しはじめて、図面⇒人間用、BOM⇒DX用という峻別(しゅんべつ)が知見としてプロジェクトメンバーにも広がり、数年前によく聞かれた「なぜBOM構築という余計な仕事をしなければならないのか?」という声は聞こえなくなりました。

この事自体は、コンサルとして長年戦ってきた「余計な仕事」論争に終止符を打つことができることとなり、安堵(あんど)してはいるのですが、皮肉にも「では、誰がM-BOMを構築するのか?」という論点にスポットライトが強く当たってしまうことになります。

M-BOMの主舞台は下流側の生産管理システムとなります。それ故、生産管理システムを上手に稼働させるための必要十分条件は正しいM-BOM構築とそれに関わるマスター情報の正しい構築といえます。つまり、E-BOMに正しく「モノつくり情報」を付加できる能力の獲得ということです。

今まで下流側の「勘と経験」でモノつくりを行っていた状態であったとしても、その「勘と経験」をしっかり顕在化させて「モノつくり情報」に仕立てる必要があるのです。

では、誰が? どの部門が? M-BOM構築やマスター構築を行うのでしょうか?

生産技術(管理)部門の創設

「M-BOM構築+関わるマスター構築」専任部門の創設です。職責として、それらの構築に関わる組織です。
当部門(スタッフ)に求められる能力は下流側に潜在する「勘と経験」の存在を認識し、それらを顕在化して、さらに、それらをデータ化(マスター化)することです。おのずと「社歴の長い=社内事情」を熟知したスタッフとなるでしょう。ひょっとしたら、スタッフ自身に潜在している多くの「勘と経験」を顕在化していくことであるのかもしれません。

「実は今までこうやってモノつくりをしていたのです」という吐露にも似た行為となる場合も多く見受けます。しかし、これらは後世に残す大切な「言い伝え」であり、知恵と工夫で乗り切ってきたモノつくりへのノウハウなのです。
たった一つ、惜しむらくは、それら「言い伝え」は属人化して「可視化・共有化」ができていなかったことにあります。

従って、その反省も味方につけて「M-BOM構築+マスター構築」に励んでもらえれば、良い結果に結びつくと思います。

さらに、若いスタッフも混成して、これら「言い伝え」やノウハウをしっかり受け取り、彼ら若いスタッフの時代に見合った「M-BOM構築+マスター構築」にマイグレーションしていく下地作りとしても、この部門創設は大切であると考えています。

会社組織の改編は必須

「新部門の創設=人員増=固定費増」という単純な思考に陥らないでください。
これから上流側も下流側も効率改善が図れるわけですから、まずは現状人員からの捻出が前提です。
さらに、このような改革を実行している時こそ、DX化された仕組みにうまく合致した組織、人員配分にすべきです。

この組織改編を行わずして改革の完成はあり得ません。苦労して何十年位に一度の改革を行ったわけです。従って、DX化で明確になったICTの仕事、人間業の仕事を全社で俯瞰(ふかん)して峻別し、メリハリの利いた組織改編をぜひ実行してください。

細分化された現状の組織図をあらためて眺め、部門ごとに発生した既得権益や細切れになった職務分掌。それに伴う職責の押し付け合いなどなど、非効率の原因がその組織図にあったことに気づく経営層は多いのです。
DX化された中小中堅製造業に細分化された組織図は不用です。

一人一人のスタッフがICTの支援を受けながら「できるだけ広範囲な職責を果たせる組織を目指す」これこそ付加価値の高い製造業として生き残りが図れる組織へのDX化と考えています。

以上

次回は4月2日(金)更新予定です。

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製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin SMILE V」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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