第19回 中小・中堅製造業設計部門の流用化・標準化設計の実現を妨げるものとは!

私自身が中小・中堅製造業に向けて流用化・標準化設計への転換の必要性を訴求し始めて5年を経ようとしています。

その間、多くの設計部門をお預かりして、この実現に注力してきたわけですが事例が増えるにつれて実現に向けての傾向と対策が見えてきました。
実現への足かせとなる問題点も提起して、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

「設計者は自分のメリットに成らないことは絶対やらない」という「設計者の性(さが)」をコンサルティング指導させていただくときはいつも感じています。正確には、感じる様に心がけています。

もちろん、私自身、設計者でありましたから、その「性」への記憶はあるのですが、マネージメントを長く、それも経営者などという対岸の位置に長く存在すると設計者としての感性が鈍ります。

「設計者にメリットを感じさせる仕組み無しには流用化・標準化設計は叶わない」という大切なモチベーションプランニングを怠ってしまい、業務命令で流用化・標準化設計を押し付けて、結果、失敗してしまいます。(私の失敗原因の多くはこれです)

このようなトップダウン型ではまずは実現しません。

しかし、現場の設計者から湧き上ったボトムアップ型の場合(モチベーションは存在しているはず)でも簡単には実現していません。

私が預かった事例の幾つかは、このような問題を抱えていました。
それは「いきなり標準化を始めてしまう」ことです。

設計部長や設計部門幹部が「我が社の標準化はこれだ」と独断と偏見で部品やユニットを決めて、図面という設計成果物で標準化図面DBと称し、ITの仕組みを使って図面ファイルキャビネットを造ってしまう例です。

独断と偏見ですから、それらは標準では無いわけで「目指せ、レゴブロック設計!」と言われても偏った設計しかできません。
かつ技術的判断の要(かなめ)である属性の設定も独断と偏見ですから検索絞り込みがうまくできず、欲しい設計成果物にたどり着かないのです。

結果、各設計者が再び其々勝手に図面を書き始めてしまうという流れです。設計者一人一人が個別標準化?を始めて再び蛸壺(たこつぼ)設計へと戻っていくのです。

そしてもう一つ忘れてはならない大切なポイントは、「標準化設計を実現させたいなら、まずは流用設計ができてから」という基本の基です。蛸壺設計の壺を割る作業が流用化です。

蛸壺設計は設計成果物を他の設計者に使ってもらう(流用してもらう)という発想で生み出されていません。
設計者本人が理解しやすいことを主としていますから、ほとんどの場合設計成果物、特に図面はメモ書き状態となり、ありとあらゆる情報が所狭しと書き込まれていきます。

設計者自身が自分の設計を多くの仲間のために使いやすくするという視点に立つだけでも、BOMの構築も相まって大きな意識改革をもたらすと思います。

さらに、どれが標準部品でユニットなのかを設計という業務の中で公平な(使える)形で定めるとしたら、それは流用化頻度の多い物ということになります。

多くの設計に流用されているということこそ、その会社の製品群の核として存在し、設計ニーズをとらえているものと考えます。

ITの仕組みも使い、検索のたやすさへの工夫もさることながら、流用の履歴から部品・ユニットのルーツ、つまり家系図を管理して、流用回数ばかりでなくその設計変更の変遷も見据えて、使える標準部品・ユニット群を制定したいものです。

さて来月は、流用化・標準化設計プロジェクトチーム(PJ)は作ったものの、PJ自身のマネージメントもままならず立ち往生してしまう例をお話ししましょう。経営層の責任が問われる事例です。

次回は7月5日(金)の更新予定です。

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部品構成表管理システム 生産革新 Bom-jin

製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新Raijin」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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