第33回 設計成果物の2Sを考える ~その1~

知人である、とある中小製造業の設計部長(M氏)とのやり取りを紹介します。
もちろん、灼熱地獄が一息ついた夕刻にビールと枝豆も一緒です。

開口一番M氏いわく
M:「谷口さんの流用化標準化設計実現の基本行動は設計部門の5S実行ですよね?それもまずは設計成果物の2Sから・・・」
谷口:「僕の本を読んでいるねー」と気分良くビールを流し込みました。
M:「でもね谷口さん、2Sも5Sも基本的に見える物が前提ですよね?特に整理整頓は見える対象あっての行動ですよね?」
谷口:「そういうことだね」
M:「では、谷口さんは設計成果物の可視化ってどういうイメージで伝えているのですかねー?」

「それはね!」と言いそうになって、はたと考えた。
設計成果物の可視化のイメージをうまく伝える・・・そう言えば「2Sをキッチリ行いましょう」はアピールしますが、「可視化の考え方か・・・そのイメージ共有も重要だなー」と、事の重要性に気づかされたのです。これはコラムで皆さんと共有すべきと思いしたためています。

読者の皆さんは生産現場の2Sはよくご存じですよね。
例えば工具類はマジックで外形をなぞって定位置化する。もっと強力なのはウレタンフォームを外形状にくり抜いて、異形状のものは収まらないようにする。さらに、使用頻度で手前から・・・などとキリがない。
ここで重要なのはマジックでなぞった外形やくり抜いた外形で人間様が、それがどの様な工具なのかの認識できることが大前提。
スパナの外形、スクリュードライバーの外形等々一般工具の外形が認識として一般化されていることが必要条件。たしかに、なぞった外形やくり抜いた形がジグソーパズルのピース形状じゃ「何じゃこれ?」となってしまいます。

では設計成果物の「外形」って何だ???
ここに流用化・標準化設計を阻害する原因があります。少し考えてみましょう。

A1、A4などという図面サイズでは無いのは当然です。
「図面サイズという限定された面積の中に埋め込まれた設計情報が外形?」となんだかそれでもよく分からないですね。
「やはり外形は無い」というのが正解だと思います。
しかし、それでは2Sもできないということになってしまいます。

設計情報は千差万別、ある意味好き勝手に生成されているわけで、その原因は外形が無いため、設計情報が相互認識できず、結果、似て非なる設計情報の再生産につながるという負の連鎖の結末だからです。

これらを総合すると設計成果物は「外形」という直接的な情報を使っての可視化は難しいと考えるべきでしょう。
では、どうするか?

そこで登場するのが「属性」という付帯情報なのです。
全社員への一般化までは届かないにしても、せめて同じ設計部門の設計者がこの「属性」という付帯情報を認識すると「どの様な設計情報なのか」という最低限の設計判断材料を得ることができる情報群です。図面を見なくても「属性」という文字列から設計情報の主体を知ることができるキーワード群です。

電機部品等の購入品を例にとれば、カタログに書かれている「仕様、スペック」は属性情報の塊とも言えます。ですから、自社で設計した図面の場合でも同様なカタログを作るとしたら・・・という視点で「属性」を考えてみる必要があります。

同じ部品でも製品種別や業態、さらに生産工程の違いによってこの「属性」は異なってくるような気がしませんか?なかなか奥が深いのです。
次回はこの「属性」の考え方を深堀してみましょう。

次回は9月5日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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