第34回 設計成果物の2Sを考える ~その2~

前回のその1に引き続き、設計情報の主体を表す「属性」とは何か?について深堀をしてみましょう。設計成果物の2Sを完成させる為の「属性」ですが、設計カテゴリーによって大きくアプローチを変える必要があります。それは「社内設計か社外設計か」という大分類です。

「社内設計で代表されるメカ系設計や電気回路系設計、ソフトウェア設計等の自社の設計部門で生成される成果物の属性」と
「社外設計で代表される電気部品、メカ系部品等の外部購入品、つまり完成された部品の属性」との違いによる分類です。

難度が高いのは読者の皆さんの想像通り、社内設計です。その理由をメカ系設計の例で話を進めて見ましょう。

例えば「シャフト」という名前を聞いて、読者の皆さんはどの様な「キーワード」が頭に浮かびますか?「単純棒状か段付きか」「材質」「直径」「表面処理」「(はめあい)公差」「長さ」「価格」「納期」等々ではないでしょうか?

そして、これらのキーワードは全て属性候補なのです。しかし、なぜ候補に留まっているのか?前述したキーワード以外にも設計者各々の個人ごとで存在するでしょうし、このことは蛸壺設計状態では壺ごとにキーワードが存在することを意味します。さらに重要なのがこのキーワードの優先順位です。A氏は「公差」、B氏は「材質」が最優先という様に、これもまた個人ごと、壺ごと、ということでしょう。

以上から、めでたく「属性」として認知・公認される為には、設計者同士の「キーワードの一致」と「その優先順位の一致」が不可欠なのです。
この二つの要素の一致を私は「設計基準の一致」と呼んでいます。

そうです、属性を決定するというプロセスは、設計部門内の設計基準を一致させ決定して行くことに他ならないのです。つまり、「我が社にとってシャフトとは何なのか?何が設計要素として重要なのか?」という同一基準を設計者全員が持つ事なのです。ある意味、この基準が設計部門内に存在しない事自体、問題であると言えます。蛸壺設計の温床はこんな処からつくられるのです。

設計対象となる部品の属性が決まって行けば、自ずと設計部門内で設計基準を共有することになり、前回お話しした「外形形状の一般化」として設計成果物の2Sを実行する為の基準となる物なのです。同時に、これは流用化・標準化設計への大変重要なプロセスでもあります。何より設計部門内の「設計基準の一致」という大切な意識統一を図る絶好の機会だと考えています。

これらより属性が決定され2Sが完成すれば、ついに設計者全員が「欲しいシャフト」を(絞り込み)検索できる様になります。検索でヒットしなければ「我が社には欲しいシャフトは無い」という新規設計の可否判断材料を得ることができるのです。

さらに「属性」の種類という考え方も大切です。
設計基準情報ですから名は体を表す如く設計対象となる部品の種類ごとに「特異」な属性が存在することになります。つまりシャフトならシャフトを表す、軸受なら軸受を表す、コンデンサーならコンデンサーを表す各々に専属する属性があります。

設計者、承認者、設計月日等、設計成果物を管理する為に「設計成果物全般に必要な普遍的な属性」と、設計対象部品ごとの「特異な属性」とを種類分別して考えるべきなのです。

前者を「基準属性」、後者を「品目属性」として分別管理することを提案したいと思います。
次回は購入品の属性に関わるトレンドについて、お話しします。

次回は10月3日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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