第26回 仕事は増えたが…

謹賀新年
昨年からシリーズで掲載している「構成部品数と標準化設計の取り組み方」の続きは次に回させていただき、今月は年初の所感として、このコラムをしたためてみたいと思います

昨年は少なくとも仕事量として少し上向いた「雰囲気」の中で終わったと感じています。
しかし残念ながら業績の向上が仕事量に伴わない製造業を多く見受けました。
忙しくなってきていることは事実だが、利益が伴わない。従って資金繰りがかえって苦しくなる。ただでさえ、仕事量が右肩上がりの時は資金繰りが苦しくなるのに、利益が伴っていなければますます資金ショートという断崖絶壁が近づいてくることになります。

仕事量の増加に安易に応じた材料購買や人員増。つまり非効率のままの拡張では忙しいだけのくたびれ儲けということになります。「くたびれ」をいくら重ねても少しも資金繰りはよくなりません。

さらに設計部門には最初に難問が訪れます。
8時間で設計できる仕事を、仕事量が少ない時は16時間かけてやる。マネージメントもこの設計効率低下を見逃す。
それを設計部門の仕事が増えて忙しくなったから元の8時間、いやそれ以下に戻したい・・・が、しかし、これが実に難しいのです。
非効率になった設計は一筋縄では元に戻らないのです。
一度メタボになったお腹を腹筋復活させることのようにつらく、かつ難しいという表現はいかがでしょうか?

下流側の生産部門というのは案外「工数」というメジャーで計測されて、縛りを受ける仕組みを持っている製造業は多く、自ずと生産効率を頭数の増減で「調整する」という発想が存在しています。

しかし、問題は設計部門です。
せっかく下流側には「工数」というメジャーが存在するのに、同様な「発想・調整」は行わない。
「設計部門は創造的な仕事だからそういう発想・調整はそぐわない」という意見も聞こえてきそうですが、であればこそ設計部門らしい工数管理つまり設計効率の維持を考えるべきです。

仕事量に関わらず設計効率を変化させない。
つまり仕事量が少ない時にはキッチリと設計工数の余剰が認識できる仕組みの構築です。
そこに一番重要なのは設計マネージメント力です。
設計部門責任者が設計効率を落とさない工夫をどのように展開するかです。
例えば、設計者は会社の現況を理解しているわけで「そんなにガリガリやっても仕事ないじゃん」というモチベーション低下をどのように食い止めるかなのです。
私の訴求がそこに存在します。
それがマネージメント力維持を援助する仕組みとしての流用化・標準化設計の仕組みつくりなのです。

仕事量が少ない時は仕事量が増加した時に備えて標準化まで届かなくとも、流用化しやすいユニットの設計や既存ユニットに磨きを掛け、将来の設計工数逼迫に備えるのです。すべては、次の好況に備えてという発想です。

私はこれを設計効率(工数)の「充電」と呼んでいます。
つまり忙しい時には、この充電パワーを「放電」しながら設計効率維持と工数確保を同時に叶えていくわけです。
当然そのためには設計効率の充放電を可能とする仕組みが必要なのは言うまでもありません。
それを実現させ流用化・標準化設計を支える設計プラットホームの構築は不可欠なのです。

太陽光や風力発電のような環境任せの設計効率では無く「経済環境、仕事量環境が変化しても設計効率を変化させずに設計マネージメントするためには何を、どのようにすべきなのかを考える!」というテーマと格闘すべき年になると予想しています。

是非、設計部門が昨年後半から急激に忙しくなったと感じている読者各位に考えていただきたいテーマであると思います。もちろん、私にとりましても読者各位と共に、今年も継続して考え抜いていきたい重要なテーマでもあります。

本年もよろしくお願いいたします。

次回は2月7日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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