第74回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その11~ 中小製造業・設計部門の「働き方改革」とは? Part1

多くの設計部門をお預かりしての完全一致の共通項は何か? と問われれば「超多忙が常態化している」と答えます。もっともこの状態から脱却するための設計部門の効率改善ではあるのですが、トレンドとなっている「働き方改革」に対しては現実的な対応ができていないというのが現状でしょう。「こんなに忙しい設計部門の働き方改革ってどうするんだ?」という素朴な疑問に対して、今月・来月でPart1・2として「働き方改革」の考え方やそのイメージを述べてみたいと思います。

中小製造業・設計部門の「働き方改革」とは? Part1

謹賀新年
年末に購入した数本の金宮は既に空きビンと化してしまいました。正月は良い! 朝ホッピー、昼ホッピー、夜ホッピーにお許しが出ているような気になれます。
皆様にとって良き新年でありますことを祈りつつ、今年最初のコラムにいたしましょう。

中小製造業・設計部門が置かれている現状

昨年春ごろから始まった精密部品の異常納期は中小製造業を容赦なく苦しめています。この一因に精密機構部品メーカーやセンサー部品メーカーの働き方改革があることは昨年のコラム(第68回)でも述べましたが、かつて起きた石油ショック時のトイレットペーパーの如く、いろいろな部品が市場から消えてしまいました。これは明らかに、日本中ばかりでなくアジア周辺国の製造業が異常納期に煽られ「在庫」として前倒し確保を始め、部品製造業の働き方改革による工数損失と相まって、リニアモーション部品納期300日以上などという、唖然とする数字をもたらす結果となっています。

第68回 緊急特集 「部品が無い! 生産現場からの悲鳴!!」(ERPナビ)

当然この異常納期は多忙な設計部門をさらに苦しめます。

入手可能な部品への置換設変
長納期品への先行手配出図 等々

流用化・標準化設計が進んでいるか否かでその過負荷レベルが大きく異なってくるわけですが、どちらにしても多かれ少なかれ「余計な仕事」や生産納期圧迫を少しでも助けるために「短納期設計」が要求されることとなります。

もう一つの苦難は「設計者不足」です。特に次世代の設計部門を背負って立つ若い設計者の圧倒的な不足です。
大企業ならともかく、中小製造業の門を叩く若い設計者は少子化傾向も関与して稀有な存在となってしまいました。
従って、どんなに設計者が欲しくても「無い袖は振れません」的な諦め感が蔓延しています。
「毎年売上を伸ばしていく経営的必然に対し現状の設計者数でいつまで対応できるのか? どうなってしまうの?」という漠然とした不安だけが残ります。

ただし、少しだけ良いことがあります。それは今述べた二重の困難がもたらす不安や手詰まり感が会社経営幹部に真剣に対応策を考えさせる好機となっていることです。今までの派遣技術者や丸投げ外注でしのいでいた対症療法策も限界に近づき、根本療法策に目を向けさせることになります。今までお預かりした会社を拝見して、その幸・不幸は間違いなく、この経営幹部の決断に委ねられていると断言できます。決断の遅れがどれ程会社の将来に致命的な結果をもたらすのか……。

これらの現状を直視して即、行動を起こしてほしいと思います。

設計部門の働き方改革を考える

上述した現状から「設計部門の働き化方改革なんて無理でしょ!」という声は予想します。
しかし、本当にやり様は無いのでしょうか? 御社が数十年先も存在し続けていく前提を考えると、ここは知恵の出しどころだと思います。

発想を大きく変えて対応策を思案する必要があります。特に製造業という生産現場の存在が大前提の皆さんは、その環境が発想をスポイルさせていると思います。それは「現場からの離脱」です。

そう言ったとたん「我が社の製品は縦横あわせて数メーター、1トン超え。現場以外生産不可能」と言われそうです。
確かに生産現場は製造業の性でしょう。現場以外に生産は難しいかもしれません。しかし、設計部門はそうでしょうか?

実験とか試作とか実機が必要な場合を除いて、普段の設計業務という作業は現場でないと不可能でしょうか?
この辺りに設計部門の働き方改革を可能にする発想のきっかけが存在していると思います。

設計部門の在宅勤務というイメージ

回答を先に言えば、私の中小製造業・設計部門の働き方改革のコンセプトは「在宅勤務」です。
製造業で唯一、在宅勤務を可能にできそうな業務環境を考えると、それは設計部門です。
さらに、決して「在宅」にこだわっているのではなく在宅勤務がもたらす通勤時間の設計時間への転換なのです。
首都圏の平均通勤時間は1時間半です。往復で3時間。せめてこの時間を設計業務に充当することができないか? 充当しよう! というものです。

設計者各位が急に技量が上がって設計処理効率がある日突然良くなる……などということは失礼ながら現実的ではありませんが、限られた1日24時間の内、設計していない無為な時間を少しでも設計業務に充当するということに対しては賛同していただけるのではないでしょうか?

「1日3時間×23日=69時間。この約70時間を何とか生かせないか?」ということです。
「何だ、労働時間は変わらないなー」と嘆く方もいらっしゃるかもしれませんが、通勤時間という無為な時間を活用できる訳ですから十分「働き方改革」と言えるのではないでしょうか。

「なるほど」とここまで賛同をいただいたならば、「どうやって実現するのか?」というイメージから具体的な手段の話になってきます。
まずは文字で表現するならば……。

  1. 流用化・標準化設計プラットフォームの構築
  2. CADも含めた流用化・標準化設計プラットフォームとの在宅VPN接続インフラの構築

流用化・標準化設計プラットフォームに関しては当コラムで何度も述べておりますが、BOM構築を軸とした設計効率改善への設計成果物共有プラットフォームです。

つまり、この設計プラットフォームさえ構築できれば、後はITインフラ構築・人事的な勤務条件を整えればよいだけなので、設計部門の働き改革への環境は概ねを実現できたと言えるでしょう。

この辺りの具体的な展開の概要については、流用化・標準化設計プラットフォームの構築イメージの共有も含めて来月にPart2として述べたいと思います。

ぜひ、当社実践ソリューションフェア2018 セミナーへ来場ください

2月に当社最大のイベントである実践ソリューションフェア2018にて、私のセミナーが開催されます。
内容は設計部門の設計効率改善を基本としますが、特に今月来月のテーマである「設計部門の働き方改革」にスポットライトを当てます。

紙面では表現しきれない多くをセミナーでお伝えしたいと思います。具体的な日程・お申し込み方法は下記のとおりです。
ぜひお早めにお申し込みください。ご来場をお待ちしております。

実践ソリューションフェア2018

【東京】2018年2月7日(水)~9日(金) ザ・プリンスパークタワー東京

【大阪】2018年2月15日(木)~16日(金) 大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)

【名古屋】2018年2月21日(水)~22日(木) ヒルトン名古屋

大塚商会 実践ソリューションフェア2018 詳細ページ(大塚商会Webサイト)

谷口潤 講演 BOMセミナー
中小製造業の「働き方改革」<設計部門編> BOM構築から始める設計効率改善

【東京】2018年2月8日(木) 【B32】11:30~12:30(大塚商会Webサイト)

【大阪】2018年2月15日(木) 【A52】11:30~12:30(大塚商会Webサイト)

【名古屋】2018年2月21日(水)【A44】14:30~15:30(大塚商会Webサイト)

以上

次回は2月2日(金)の更新予定です。

ご案内

このコラムに関するセミナーや書籍をご案内します。

書籍

当コラムをまとめた書籍『中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう!』を日刊工業新聞社から出版しています。
BOM構築によって中小企業が強い企業に生まれ変わる具体策とコツをご提案しています。

Nikkan book Store(日刊工業新聞社)
中小企業だからこそできるBOMで会社の利益体質を改善しよう!(日刊工業新聞社Webサイト)

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製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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