第70回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その7~ 中小・中堅製造業の設計部門の「働き方改革」が危ない!

世の中のトレンドは「働き方改革」というキーワードを核にワーク・ライフ・バランスという仕事と私生活の相乗改善効果を図る試みが始まっています。しかし、大型製造業の試みのしわ寄せ(=トバッチリ)が中小・中堅製造業に押し寄せていると感じています。一緒に考えてみましょう。

中小・中堅製造業の設計部門の「働き方改革」が危ない!

大型製造業の働き方改革のしわ寄せが中小製造業に来ている

現在お預かりしている製造業は中小・中堅製造業の典型です。そして、全ての企業がもれなく多忙です。多忙という言葉を通り越して、納期や品質に異常をきたし、そこら中に火の手が上がって、消火作業に手一杯。その後手、後手の対応がさらに火の手を勢い付けさせるという負のスパイラルも予見される感じです。

おそらく、渦中で働いている皆さんの頭の中に「働き方改革」という言葉はイメージができないでしょう。少なくとも「試みる」という気持ちの余裕も、物理的な時間の余裕も無いと思います。

ある幹部が吐き捨てる様に言いました「どうせ働き方改革なんて大企業向けのポーズでしょ! 我が社なんか逆プレミアムフライデーで、週末を迎えて、いつもより残業時間が長いです!」

確かに以前より多忙感、忙殺感が増しているような気がしています。忙しくなった主因を探ってみると部品納期がこの所極端に長くなっています。「部品待ちラインストップ」という製造業では最も非効率な現象が起きています。
ただでさえ、短くなっている完成納期に逆行する部品納期の長期化がどれ程中小・中堅製造業を苦しめるかは想像に難くありません。
この現象は本コラムの緊急特集でも扱いましたので参照ください。

第68回 緊急特集 「部品が無い! 生産現場からの悲鳴!!」

一方、大型製造業の幹部をやっている知人からは、「強制働き方改革で残業時間は減らされ、休日出勤もできない。作業効率なんか上げるヒマも無く、働き方改革という【お上からのお達し】があって、やむを得ず形だけ整えた。結果、間違いなく3割は生産能力が落ちている」と嘆きます。「生産性を維持しながら私生活の向上を図る」というライフ・ワーク・バランスの思想とは大きくかけ離れています。確かに大企業のスタッフは残業が減り、プレミアムフライデーという早帰りも実現はしてはいるものの、納期遅れを見過ごしての働き方改革では今一つ、製造マンとして納得が行かない現状でしょう。

大型製造業のカタチばかりの働き方改革が招く部品納期の長期化。その長期化によって働き方改革に逆行する中小・中堅製造業の繁忙。製造業のヒエラルキー全体で俯瞰(ふかん)すれば大企業から中小・中堅企業に忙しさを押し付けただけのカタチになっているような気がします。

大企業もこのまま指をくわえているとは思いませんし、作業効率を高めての生産性改善(=納期改善)は図られていくと思います。しかし3割生産性の改善という数字は並大抵ではなく、したがって、ここしばらく、中小・中堅製造業は苦しい状況にあえぐことになるでしょう。

中小・中堅製造業の設計部門の働き方改革って何なの?

お預かりしている、繁忙常態部門の中小・中堅製造業の設計部門で「いまさら働き方改革ってできるのかな?」「そもそも設計部門の働き方改革ってどんなこと?」という会話が聞こえてきます。

コンサルタントの立場としては「設計効率上げて、自己実現させましょう」というと、「ホントに自己実現できるのでしょうか?」という不安めいた質問も帰ってきます。多くの設計者が「残業を無くして欲しいとか、金曜日に早く帰りたい」と言っているわけではないと思います。「なんだかなーーーー」という徒労感にさいなまれるような設計や「自分の設計技量の伸びの限界を感じること」の方が彼らには苦痛であり、まして、「残業時間減らせ? 納期短縮しろ? いったいどっちなの?」という様な矛盾に直面してしまえば自己実現にはほど遠いと感じてしまうのでしょう。

設計者としての存在価値を感じる技量の獲得があって、そのことによる自己実現の達成があってからの働き方改革なのだと思います。

そのためにも、設計環境を整える流用化・標準化設計プラットフォームを用意して、一刻も早く自己実現への可能性を感じてもらうことが中小・中堅製造業の設計部門の働き方改革の取り組み方とし大切ではないかとあらためて感じています。
「これなら頑張れば行けそうだ!」と思えるような「モチベーションプランニング」を設計者にどうしたら与えられるのか? 「働き方改革」という言葉が躍るたびに深く考えさせられます。

次回は10月6日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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