第103回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その35~設計部門のテレワーク考察~設計者はテレワーク設計をどのように考え、感じているのか?~

前回は新型コロナウイルス感染症で待ったなしの環境に置かれた中小・中堅製造業に対して、設計部門のテレワークの実現を強く勧めました。今回は、実際にテレワークで設計業務を行っている設計者自身数人とWebミーティングでのインタビューができたので、その声を集約してお届けします。

設計部門BOM改善コンサルの現場から~その35~設計部門のテレワーク考察~設計者はテレワーク設計をどのように考え、感じているのか?~

いわゆるWeb飲みとかオンライン飲みという「今どき」を古い友人達とやってみた。一人飲みに多少食傷気味の私には、これはこれでなかなか面白い。ホッピーと金宮、あてはなじみの焼き鳥屋のテイクアウト。それらをWebカメラの前に並べてワイワイ。久しぶりにコトバを大量に交わした。ただ一つの欠点は……、テーブルに伏せ寝して気持ちよさそうに沈殿していく友人を「おーい、起きろ!!」と肩を揺すれないこと。放置プレーしかなかったです。PC一晩つけっぱだな……。

設計者にとってテレワークとは?

小生がお預かりしていた会社のスタッフや友人の会社の設計部門のスタッフを紹介してもらいインタビュー。
あらためてWebミーティングのメリットを感じました。
会社訪問して直面談となると大げさになり「えーっ、谷口コンサルに面接されるの?!」と相手も緊張しますし、ましてや初見のエンジニアの自宅を訪問してインタビューなど、ちょっと現実的には考えられません。
その点、Webミーティングはメアドさえ分かれば「久しぶりです」とか「初めまして」などという挨拶(あいさつ)から双方気軽に始められる。その意味では「ダイレクト感」は希薄にはなりますが、その分気持ちのハードルが下がります。
このような体験ができるのもwithコロナならではでしょう。

挨拶もそこそこに、早速、インタビューを始めました。
案外、多くの雑事や今どきの技術トレンドなど世間話的な流れで会話は進みました。私の古くなった脳細胞もちょっとインスパイアされた楽しい時間でした。さらに設計者たちは案外饒舌(じょうぜつ)で、期待を大きく上回る意見や言葉を耳にすることができたような気がします。それらの内容を端的にまとめてみます。

【インタビュー1】実際テレワークをやった感想は?

もれなく支持する声が聞けました。「これです! 待っていました」という感想です。「もう少し具体的に、どの辺が良かったのですか?」との質問に関しては、「引きこもって、集中できます」「上司や先輩の余計な(?)雑事や無駄な(と思われる)会議が激減してうれしいです」とのこと。

昔、私も「時間を失いたくなかったら、上司や先輩の視野に入るな」と教わった記憶がありますが、確かに丸投げされる「ちょっと、これ頼む」的な雑用は減るでしょう。

さらに、この「引きこもって」という言葉には私も大いに反応します。いわゆる「寝ても覚めても設計の事を考えている」つまり「Zone(ゾーン)」と呼ばれる精神状態をいっているのだと思います。本来設計者は「個」を好む傾向にあります。この「個」の延長線上に蛸壺(たこつぼ)設計を許してしまう思考理由もあるのですが、Zoneにあるうちは「個」で考えたいという環境維持は結果、優れた設計成果物を効率よく生み出す要因になると考えています。

もちろん、「個」を尊重しながらも流用化・標準化設計プラットフォームが二度と蛸壺設計に戻ることなく、設計者自身を上手に導くことはいうまでもありません。

【インタビュー2】設計成果物の共有はできていますか?

これは、流用化・標準化設計プラットフォームの完成度とも直結します。

自社の部品・ユニット・回路・ソフトモジュールのカタログ化がどのくらい精度良くできているのか? に依存しますが「できるだけ検索して近似した成果物を再利用します」「その方が楽ですし、コストも明確です」という意見で一致していました。

その反省として「当社のカタログはさらに改善する必要があります。まだまだです」という声も聞けたのは実践からのフィードバックとして貴重です。

【インタビュー3】インフラ(VPN)やシステムの速度(検索やBOM構築など)とかCADの使い勝手としての実用性は?

「CADはグラボ入りのラップトップですが自宅の50インチの4Kテレビにつないで、会社より快適です。ただし、図面や成果物のアップロードはかなり時間が掛かります」との感想。

インターネットの上り・下りの速度差には多少ストレスがある様子です。救いは圧倒的に早い下り方向(プラットフォームやCADからのダウンロード)が多用されることです。

【インタビュー4】設計者同士のコミュニケーションはどうですか? 例えばメカ系とエレキ・制御系エンジニア同士

これは「Webミーティングの多用です」との声を期待していたのですが「いいえ携帯です」と拍子抜け。

「図面やBOMは解像度の悪いWebミーティングシステムを通して閲覧するよりCADや設計プラットフォームのデータを直接共有する方が圧倒的に良いです。音声は携帯のスピーカーフォンでやり取りです」私は「あっ、そうだよねー」の一言で「終了!」でした。

もう一つの共通した感想として「BOMを構築しておいて良かった」というものです。流用するユニットをエンジニア同士でその構成を認識する時や部品を追加して流用の工夫を検討する場合など「あれ、その、この部品」というやり取りなしに「品目コード」で的確に共通認識し合えるメリットがこのテレワークで際立って理解できたとのことでした。
「音声だけのやり取りでも品目コードの下三桁が伝われば十分認識できることも分かり、鼻先を突き合わせて同じ図面を眺めることができないテレワーク環境を十分補ってくれている」と付け加えていました。

新型コロナウイルス感染症で我々は苦しみ、いまだその途上ですが、withコロナという環境がその代償として我々に新たな気づきを与えてくれていると思います。エレキ(電子回路)系の設計者からは「これで、測定器群が家に備われば、実験PCBのシミュレーション、動作確認もできて、もう会社に行く必要はありませんね」という声も聞けました。

他方、メカ系の設計者は3D・CADを駆使してのシミュレーションによる設計手法とあわせて考えると「会社に行って設計をする意味とは?」という命題に対して、設計者たちの「働き方改革への新たな目覚めが始まっている」と強く感じさせられたWebミーティングでした。

7月には弊社のWebセミナーにおいて「設計部門のテレワークできていますか?」という掲題でセミナーを催行予定です。設計部門のテレワークについて深堀りをしてみたいと思っています。
セミナー詳細および参加申し込みは下記サイトで近々に開始されますので奮(ふる)って応募ください。

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以上

次回は7月3日(金)更新予定です。

書籍ご案内

当コラムをまとめた書籍『中小企業だからこそできる BOMで会社の利益体質を改善しよう!』とその第二弾としての新刊『BOMで実践!設計部門改革バイブル 中小・中堅製造業の生き残る道』を日刊工業新聞社から出版しています。
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製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面・技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理。部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin SMILE V」と連携し、生産部門との双方向連携による真の一気通貫で、コスト削減・納期短縮・生産効率の向上を実現します。

ハイブリッド型生産管理システム 生産革新 Raijin SMILE V

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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