原価管理の重要性

企業価値を高めるためには、「売上の拡大」「コストの削減」「資産の圧縮」の三つの重要な柱があります。「コストの削減」については、企業存続のためにも利益確保が必要であり、「原価管理」を行うべき理由となります。今回は、「売上の拡大」が難しい業種業態もある中で、ますます重要となった原価を正確に把握し、さらに利益を高めていくために必要不可欠な「原価管理」についてご紹介します。

原価管理の重要性

原価管理が重要となっている背景

現在、技術革新やグローバル化の進展に伴い、消費者はさまざまな製品やサービスを求めるようになり、そのニーズは非常に多様化しています。このような市場環境の変化はコスト競争を激化させ、企業はそのコスト競争に打ち勝ち、生き残りを図るためには原価を削減していく必要性が高まりました。企業が継続的かつ効率的に利益を生み出していくためには、各製品やサービスの原価を正確に把握し、原価管理による利益確保に向けた仕組みづくりが必要になるのです。

原価管理を行うことによるメリット

原価とは、一つの製品の生産やサービスの提供にかかるコストになります。原価の正確な把握は、どの業態でも必要なことです。原価の「見える化」により一つの商品・サービスの原価や生産性が、どのように全社利益に貢献しているのかを把握することが可能となります。製品やサービスの原価を正確に把握し、製品やサービスが持つ価値と利益に応じた価格設定をすることが企業の利益向上につながります。そして、その役割は「リスク管理」と「利益管理」です。

リスク管理

さまざまな経済環境や社会情勢によって原価は変動します。原価変動のリスクやその対策を施すことにより、利益低下や損失を最小限に抑えます。

利益管理

原価管理を適切に行うことでムダや非効率なものを把握し、原価を低く抑える業務改革が、企業の利益拡大の指標となっていきます。

業種により異なる原価管理

原価管理とひとくくりで表現していますが、業種によって原価管理を行う要素が異なります。ここでは、業種別の原価管理の要素をご紹介します。

建設業における原価管理

建設業の原価管理は、基本的に工事案件単位で行われます。さらには、「材料費」「労務費」「経費」の3要素に加えて「外注費」という4要素で分類する必要があり、業界特有の複雑な原価計算が必要となります。建設業では、着工から完成・引き渡しまで工期が長いケースも多く、完工前でも工事の進行度合いに応じて、出来高で請求・支払いを行うなど、現場監督や経理担当者は複雑な業務を遂行しなければならない業界となります。

建設業における原価管理

プロジェクト型ビジネスにおける原価管理

プロジェクト型ビジネスでは、顧客から受注したプロジェクト(案件)ごとに原価を管理します。プロジェクト進行中に予測も含めた原価を適時見直しながらプロジェクト全体の採算を管理するため、プロジェクト単位で収支のバランスを確認できます。工程の長いプロジェクトでは、月単位で採算状況を管理することもあります。収入や支出を適切なタイミングで可視化できますので、課題の発見や対策の検討が随時可能となります。

プロジェクト型ビジネスの原価管理

製造業における原価管理

製造原価とは、原料、材料、部品、資材費のほか、人件費や製造工場の賃料、水道光熱費など、一つの製品の製造にかかる全てのコストのことです。原価管理を正しく行うために、まずは製造原価について理解する必要があります。原価管理は、製造のムダをなくして利益を上げるために行います。製造業が利益を上げるための方法は、売上を上げる、原価を下げる、の二つになりますが、いくら売上を上げても製造にかかる費用にムダがあれば利益は確保できません。原価管理は、製造業の経営に直結する重要課題なのです。

原価管理とは? 目的や製造原価の分類、生産管理システム導入のメリット

実際に直面した事例

ここで、ある和菓子メーカーの実例を紹介します。地域に根付いたお客様のために「安くておいしい、自宅で食べる常用和菓子」を提供している企業です。営業赤字が続いていたため、立て直しを図るべく大塚商会が製品別の原価分析を行いました。まずは、現状の状態をしっかりと分析把握することで、四つの課題が浮き彫りになりました。

  • 製品別の販売数を把握できていない
  • 利益率が高い、戦略的製品を把握できていない
  • 販売実績データがないので今後の戦略を立てる指標がない
  • 数ある製品の中で、改善すべき優先順位を見通せない

原価管理戦略を実施した結果

しっかりと現状を分析したうえで、原価戦略を検討することになりました。これまでは製品ごとの材料費しか把握していませんでしたが、実原価である副資材、労務費、包装材まで広げての算出を行い、製品単位での原価分析を行いました。従前は長年の経験と勘で管理していた事実は覆されました。分析結果として「材料費が水など費用がほとんどかからない和菓子はもうかる」「個別包装資材が想像以上に収益を圧迫」「果実を使う上菓子は労務費・経費を入れるとほぼ赤字」であることが初めて分かりました。長年の慣習を見直すきっかけになりました。

  • 「労務費経費込みで赤字商品」全ての廃止
  • 「自宅で食べる和菓子」というドメインにも関わらず、多すぎる贈答用上菓子廃止
  • 利益率が高く、学生に人気のボリュームあり「映える」ワッフルを中心にラインアップを刷新

数年後の今、とても元気な企業となっています。各企業の事業ドメイン、強みと弱み、機会と脅威を深く検討していくと「原価管理の必要性」について、おのずと答えが出せるものと思います。

ライフデザイン・アパレル業における原価管理

ライフデザイン・アパレル業においては、商品企画・生産計画・材料発注に対応し、経費も含めた原価を把握することで、適正な価格設定や製造コストの削減につなげていくことができます。ある商品を購入する前に、インターネットで検索すれば適正価格を知ることができ、既に購入した人の口コミやレビューを読めば、品質もある程度分かります。消費者の判断基準が以前よりも厳しくなっており、企業が一方的に付けた価格が自動的に受け入れられることはなくなっているため、短くなっている商品化のサイクルに遅れることなく企画段階で概算コストシミュレーションができる必要があります。

原価企画とは? 売れない時代に注目される原価企画の進め方

原価管理をスムーズに行うためのシステムのご紹介

大塚商会では、業種別、プロジェクト別といった各種の原価管理に対応するシステムをご用意しています。

建設業・サービス業でのシステムイメージ

建設業向けには、工程の要素別に管理を行う必要がある企業向けや、サービス業向けでは、メンテナンスなど定期的なサービスを提供する企業向けや、プロジェクト単位で取引を行う企業向け、といった多彩なチャネルの原価を管理可能なシステムをラインアップしています。

製造業・卸売業でのシステムイメージ

製造業、出版業また卸売りの中でも、アパレル、鉄鋼、食品関連の業種における仕入れ、在庫における原価の管理を行うシステムや、業界ごとに異なるプロジェクト型の原価管理に対応するシステムをご用意しています。

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