第133回 教育なくして評価なし

安全の教育では、事故の結果を伝えるだけでなく安全の手順を教えることを重視すべきであり、「事故の結果をマイナス評価」するだけではなく「手順への努力をプラス評価」とのふたつの評価をするべきです。

教育なくして評価なし

人は誰しもミスをするものです。

だからミスをしない人は、何度も確認をしています。

人はいつしか確認を忘れるものです。

だから繰り返し教育をします。

トラックやフォークリフトを含む機械には、故障があるものです。

だから動かす前に点検をします。

点検をすれば異常を早期に発見できます。

そして必要により整備をします。

上記の「確認や点検」は、過去の失敗例の原因が対象であり、その失敗をしないために生まれた対策により「教育や整備」をしています。

一度の失敗を反省して、二度と失敗をしないよう改善に取り組み、その後は成功し続ければ、失敗事例を成功体験に変えたことになります。

交通事故には必ず原因があります。

その原因が個人にあれば、安全の教育をしなければ同じドライバーが事故を繰り返します。

その原因が会社であれば、安全のルール化をしなければ誰かが同じような事故を繰り返します。

運送会社におけるドライバーへの安全の教育は、その失敗事例(事故の原因)と成功体験(安全の対策)を伝えて、全員が失敗事例から「手順を学ぶ」機会であり、安全のルール化とは全員に成功体験から「目標を示す」機能も有しています。

安全をルール化して教育することで社内向けのノウハウになり、原価を下げて利益を上げることができます。

同様に品質に取り組めば社外向けのサービス商品になり、単価を上げて売り上げを上げることができます。

特に安全の教育では、事故の結果を伝えるだけでなく安全の手順を教えることを重視すべきであり、「事故の結果をマイナス評価」するだけではなく「手順への努力をプラス評価」とのふたつの評価をするべきです。

教育なくして成長なし。

成長なくして評価なし。

よって、教育なくして評価なし。

「ウチのドライバーを教育しない」ことは、「ウチはドライバーを評価しない」という企業姿勢が表れます。

評価とは賞罰が伴うものであり、事故を起こしたことに対する結果のマイナス評価だけでなく、無事故の継続に対する努力への「感謝・労い・期待」のプラス評価を含みます。

評価をしない運送会社ではドライバーの努力が薄れて、いずれ誰もが「言われたことしかやらないドライバー」に。

教育をしない運送会社ではドライバーが協力を惜しみ、いつしか「言われたこともやらないドライバー」に。

「言われたことしかやらないドライバー」や「言われたこともやらないドライバー」が多くなれば、残念ながら社員の多勢の姿が社内の標準の姿になります。

その姿は「社内では常識」でも「世間では異常」として映り、良識がある「言われなくてもできるドライバー」は、その運送会社から静かに離れていくでしょう。

安全のルール化や教育によって、「できていないドライバーを教育=事故防止」するだけではなく、「できているドライバーを評価=離職防止」することができます。

ありがとうございました。

次回は10月12日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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