第118回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その50~基礎部品が消えた!

新型コロナウイルス第5波が猛威を振るっています。これまで少し遠くの感染事でしたが、社員感染が増えて特に生産設備製造業としての営みに困難をもたらしています。重ねて、ここに来て基礎部品の入手が困難になり、二重苦の状態です。それでも企業ごとの優劣が際立ちます。

設計部門BOM改善コンサルの現場から~その50~基礎部品が消えた!

ワクチン接種を終えて少し気が大きくなっていましたが、接種完了後に陽性となる「ブレークスルー」の可能性もささやかれています。しかし、これほど「ブレークスルー」という言葉をネガティブに感じたことはありません。でも、チョット立場を変えてウイルス側に視点を置くと、ワクチン抗体に対する「ブレークスルー」であることは確かです。そうですね、立場を変えると見えてくる景色が変わります……敵対するということはそういうことですね。
その点、良き友である「シャリ金」は立場を考えることなく、私にいつも良い景色をもたらしてくれます。片思いかもしれませんが……。

基礎部品が消えた!

コンサルでお預かりしている製造業はもとより、私のネットワークでザワつく直近の話題として「部品が無い! 急に消えた!」「どこか入手コネは無いか?」が多くなっています。
日本を除く(?)米、中、欧の経済成長の立ち上がりに伴う、半導体やLi電池の絶対量の供給不足は報道で知ることができます。

SCMのお手本である自動車メーカーの生産を一カ月近く止めてしまうのですから、その深刻度はうかがい知れます。
当然、半導体やLi電池を生産する設備・装置の需要も高く、それらを得意とする製造業ニッポンの中小中堅製造業にも受注残が積み上がっています。しかしながら、それらに必要な基礎部品が市場から消えてしまっているのです。

トップ4は……

  1. 高機能樹脂(フッ素系、ポリアミド系、ポリイミド系など)
  2. 高精度リニアスライド
  3. 汎用(はんよう)コネクター(1に関わっている可能性もあり?)
  4. 高精度センサー(買い占め臭プンプン)

これらの入手に皆さんの会社も難儀しているのではないでしょうか? いかがですか?

これらの部品が消えてしまった理由はいろいろ聞こえてきます。

  • コロナ禍クラスター発生でエッセンシャルワーカー減=生産時間減による供給減(これはかなり説得力がある)
  • 中国辺りが買い占めている(3倍の価格で買えるといううさわは絶えない)
  • 不足気味の市場に購買が過剰発注している(購買のバクチ購入=とりあえず買っておけ)
  • 異常気象で工場稼働停止(洪水で水没、山火事で電力線喪失)

いずれも否定はしませんが本当のところ、真偽は分かりません。
しかし、事実として、入手難が存在することは確かです。

それでも困難を克服している製造業もある

言えることは、多くの会社が基礎部品不足で難儀をしていることは間違いありませんが、それでも会社ごとの対応力の優劣はコントラストが鮮明になり、その差がよく見えてきます。

劣:都度発注を繰り返し、出たとこ勝負の購買サイクルではあっという間にベンダーから見放され、納期はどんどん後回しにされてしまいます。

優:流用化・標準化設計を駆使して所要量の予測(シミュレーション)を生産管理システムに行わせて、将来需要をまとめながら、ベンダーとGIVE&TAKE購買を行っている。結果、厳しいながらも乗り切っています。

今回のコロナ禍のような異常時対応にしっかりと準備してきた製造業と、「何とかなっているから」と無策で過ごしてきた製造業との差がここに来て顕著に出ていると感じています。

前述のコラム(第115回、第116回)にある「中小中堅製造業のDX=ECM+SCM」という公式どおり、SCM側=生産管理側だけでこのような困難を乗り切ることは不可能です。「何とか部品を集めてくるのが購買だろう!」と声高に叱咤(しった)しても、どうにもならないのです。

第115回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その47~中小中堅製造業のDXはこう考えよう(1/2)

第116回 設計部門BOM改善コンサルの現場から~その48~中小中堅製造業のDXはこう考えよう(2/2)

ECM側の有効な働きがあって、つまりアウトプットされる設計成果物にSCM側を活性化する要素が存在してこそ、DXとしての期待結果が得られるのです。そして、その結果はそのまま利益や競争力に直結することは理解してもらえると思います。

このコロナ禍は我々に困難な課題を次から次へと提起し続けています。都度、知恵と工夫と変革でそれらの課題を解決しています。そして、平常時では絶対行われないような壮大な社会実験(例:リモートワークなど)も体験しました。

これだけの課題を与えられ、社会実験の結果を経ても、まだ気づきを得られない経営層が存在するとは思えません。
であれば、DXの実行の可否はその「経営層の本気度=やる気の有無」だけだと考えています。

いつになったら新型コロナウイルスが「普通の風邪」になるのかは分かりませんが、ここ当面は厳しい状態を予想しますし、まして、このような感染症との闘いは周期的に余儀なくされるとも想像しています。
従って、指をくわえて無策のままとはいかない訳で、生き残りを掛けた対応策として……

「人間にはワクチン、製造業にはDX=ECM+SCM」が必須だと強く思っています。

以上

次回は10月1日(金)更新予定です。

(PS)
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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ コンサルタント

谷口 潤

開発設計製造会社に入社以来、設計開発部部長、企画・営業部部長などを経て、米国設計・生産現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。その後、独・米国系通信機器関連企業の日本現地法人の代表取締役社長就任。現業に至る。

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